水の丘交通公園

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万葉線 デ7000形電車

2013-06-28 13:33:05 | 電車図鑑・路面電車
万葉線の前身である加越能鉄道が高岡軌道線向けに導入した車両である。
デ7000形、デ7060形、デ7070形の3種類がデ7000形に総括されており、デ7000形が昭和36年に3両、
デ7060形が昭和40年に2両、デ7070形が昭和42年に6両製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛である。
なお、デ7000形は富山地方鉄道市内線で運用されている同社のデ7000形と車番が重複しないように
7051~7053号を附番されている。

車体は都電8000形電車をベースとした軽量構造の普通鋼鉄製で既述の通り富山地方鉄道市内線の
デ7000形の設計を流用してドアの位置を変更したものとなっている。
正面は中央部をやや広くとった浅い3つ折れ構造でヘッドライトは正面中央窓下に設置されている。
左右の窓上部には通風口が設けられていたが、雨水などの影響で腐食することから後の車体修理の際に
埋められている。
塗装は登場時がアイボリーにグリーンのツートンカラーで正面は金太郎塗りであったが、
当時直通運転を行っていた富山地方鉄道射水線の車両との判別を付けやすくするため、
すぐにオレンジとアイボリーのツートンに変更されている。
万葉線引継ぎ後はイエローにホワイトとブルーのパッチワーク調の塗り分けに変更された。

車内はロングシートで7000形と7060形は7070形と比べると設計の関係で座席が若干短くなっている。
ドア配置は前後式で扉は片引き戸である。
側面窓は上段をHゴム固定、下段を上昇としたバス窓であるが、デ7000形とデ7060形は富山地方鉄道
デ7000形の設計を色濃く残し、車体中央付近に長方形の下降窓(富山地方鉄道デ7000形では
車掌台のある部分)がになっているが、デ7070形では側面の窓配置の適正化と座席の延長を行ったため、
全てバス窓となった整った外観となった。
なお冷房装置についてはデ7070形の7071号車及び7073号車にのみ搭載されているが他は非冷房のままである。

主制御装置は抵抗制御で間接非自動制御方式を採用し、ブレーキは発電ブレーキと
空気自動ブレーキである。
このうちデ7060形では射水線への直通運転のため、総括制御機能と連結器を有していたが、
富山新港建設に伴う射水線の短縮に伴い、直通運転が廃止されたためそれらの機器類は
撤去されている。
台車は軸守式のコイルばね台車でモーターの駆動方式は吊り掛け駆動である。
運転台はツーハンドル式でワンマン運転の方式は後ろ乗り前降りの整理券式である。

昭和46年にデ7070形が増備されて間もなく全車がワンマン化され、高岡市内線及び新湊線で運用される
車両の全てが本形式で統一された。
平成14年に加越能鉄道から富山県や沿線自治体が出資する第三セクターの万葉線に引き継ぎ後も
主力の座を守っていたが平成15年に36年振りの新型車両となるMLRV1000形の投入が開始され、
平成20年までに7000形及び7060形は全車が廃車、7070形も冷房装置の無い7072号車が平成24年に
廃車されている。
廃車となった車両のうち7052号は千葉県のぽっぽの丘、7061号車は二塚かっぱ村、7062号車は石川県内の
ぶどう園にそれぞれ保存されている。
7072号車はアニマル電車(正面に猫が大きく描かれてたことから「猫電車」と呼ばれる)になっており、
人気が高いことから現在のところ米島口車庫で保管されている。
なおアニマル電車の塗装は7073号車に引き継がれた。
現存する7070形については土日は基本的に運用に就かず、平日ラッシュ時のみの運用となっている。


〇デザイン電車となっていた頃のデ7052号。現在は塗装を加越能鉄道時代のものに復元したうえで
 千葉県のポッポの丘で保存。


〇イオンの広告電車となっていたデ7062号。石川県内のぶどう園に保存。


〇現存する7070形電車。右が2代目「アニマル電車」の7073号車。