吸った揉んだの時代はとうに過ぎ、風に揺れるひまわりは去りゆく夏を憂いながら、きっと温もりに飢えている。
ふたつの影は夕闇に消え、物語は未完のままに終わりを告げた。愛しき人の名を呼ぶ声はひぐらしに掻き消され、この夏は君の想いを知る術さえもなく、今頃きっと誰かの腕の中、姫の秘め事に狂いゆく。
凄惨な過去が人との出逢いさえも遠ざけるようで、ひとり寝の夜、星のない夜空を眺めながら未知なる過ちに怯えてる。天に身を捨つる者の美しさよ、選ばれし者の恍惚は泡沫の夢と消え、願えど祈れどあの日はきっと帰らない。
朝焼けは男の孤独を照らし、風に舞う鳥は流れる小川に影を落とす。交わしたキスさえ無に帰すほどに、若草茂る泉に思いを馳せて。舌に残る蜜の味は街の静寂と消えた。
紡いだ溜め息を言葉に変えて、優しく輝く未来を信じつつ、宛てなき夢追う道すがら。昼はひねもす夜は夜もすがら、亡き骸映すクロスの染みに問いかけながら……。