平日の昼下がり。自転車を飛ばす俺。背中を押すよう吹く風。体を押し戻すよう吹く風。耳元で響く不協和音。
磯の香りに誘われ静かなビーチをひたすら歩けば、俺の人生はどうなってしまうのだろう。投網に捕らわれた魚たちを憐れむ俺がいて、仲間とはぐれた寂しさに暮れる俺もいる。命からがら教室を抜け出したはずなのに、魂は落とし物ボックスに置き去ったままのようで、今も24時間学校のことが頭から離れない。それでいてドロップアウトの事実は決して消えることもなく、いつまでも背中の十字架となるのだろう。
ひとりになりたくて歩いていたらここまで来てしまった。押し寄せる波をただ呆然と眺めてる。案外大丈夫な日があって、今日は何か負けちゃいそうな日もある。人が怖い。時間が怖い。何もかもが怖い。本当に何もない男だけど、せめて数少ない味方に自分の才能を認めてもらいたい。俺はきっと選ばれたんだって、何の根拠があるわけでもないけれど、他人にない感性をひとつ持って、今さらだって輝きたい。
俺はもうここには来ない。どうせまた来たくなるし、結局来てしまうのだろうけど。いつか嫌なことを思い出してきつくなった時も。いつか自分そっくりのおじさんが会いに来た時も。寂びれた私鉄が車輪を軋ませ走るように、空っぽの気持ちを走らせ、どこまでも、どこまでも、星の群れから一番遠い水際にて、閑散とした胸の内、人混みに紛れた頭の中、俺はどこまでも気違いになって、俺はどこまでも駆け抜いて。
風はどこからともなく訪れ、いつとはなしに去って。未知なる世界と通信するように。郵便屋さんのカモメにラブレターを託すように。刹那の若さをそっと抱きしめ、砂に書いたダイイングメッセージが波に溶ける様を臆病な目で追うかのように……。
磯の香りに誘われ静かなビーチをひたすら歩けば、俺の人生はどうなってしまうのだろう。投網に捕らわれた魚たちを憐れむ俺がいて、仲間とはぐれた寂しさに暮れる俺もいる。命からがら教室を抜け出したはずなのに、魂は落とし物ボックスに置き去ったままのようで、今も24時間学校のことが頭から離れない。それでいてドロップアウトの事実は決して消えることもなく、いつまでも背中の十字架となるのだろう。
ひとりになりたくて歩いていたらここまで来てしまった。押し寄せる波をただ呆然と眺めてる。案外大丈夫な日があって、今日は何か負けちゃいそうな日もある。人が怖い。時間が怖い。何もかもが怖い。本当に何もない男だけど、せめて数少ない味方に自分の才能を認めてもらいたい。俺はきっと選ばれたんだって、何の根拠があるわけでもないけれど、他人にない感性をひとつ持って、今さらだって輝きたい。
俺はもうここには来ない。どうせまた来たくなるし、結局来てしまうのだろうけど。いつか嫌なことを思い出してきつくなった時も。いつか自分そっくりのおじさんが会いに来た時も。寂びれた私鉄が車輪を軋ませ走るように、空っぽの気持ちを走らせ、どこまでも、どこまでも、星の群れから一番遠い水際にて、閑散とした胸の内、人混みに紛れた頭の中、俺はどこまでも気違いになって、俺はどこまでも駆け抜いて。
風はどこからともなく訪れ、いつとはなしに去って。未知なる世界と通信するように。郵便屋さんのカモメにラブレターを託すように。刹那の若さをそっと抱きしめ、砂に書いたダイイングメッセージが波に溶ける様を臆病な目で追うかのように……。