雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

お疲れ様でした

2024-05-06 18:42:47 | 日々これ好日

      『 お疲れ様でした 』

    海外に出向かれたお方 帰郷なさったお方
    安近短を心がけたお方 ひたすらお籠もりのお方
    それぞれ違う形でも いつの間にか 非日常であった
    ゴールデンウィークも 終る
    少しばかり違う 明日からにしたいと 思う

                   ☆☆☆ 

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どれだけ捨てることが出来るのか ・ 小さな小さな物語 ( 1764 )

2024-05-06 08:00:52 | 小さな小さな物語 第三十部

ゴールデンウィークも最終日となりました。
今年は10連休になったお方も多かったようですが、暦通りで前半後半と分断されていたお方でも、出勤の日も含めて日ごろとはかなり違った時間を過ごされたのでしょう。それは、万年ゴールデンウィーク状態の私などでも、世間様に付いて行こうというわけではないのですが、何か特別なことをしなくてはいけないような気がしますし、他の人の行動の影響を受けることも少なくありません。

私たちは、日々ほとんど無意識に時間を過ごしているような気もしますが、実は、相当細かな計画に縛られて行動しているものです。
仕事や学業を持っているお方は、当然その日のスケジュールなどを頭に描いているでしょうし、手帳などで事細かに記録されているお方も少なくないでしょう。
しかし、ゴールデンウィークのスケジュールとなりますと、そうしたものとはかなり違っていて、家族や友人との綿密な打ち合わせを行ったり、一人で行動する場合でも、やはり、いつも以上に思いをめぐらすのではないでしょうか。

数年間のコロナ騒ぎでレジャーがしぼみ気味でした上に、ようやく回復してきたとはいえ、今度は円安や物価高もあって、このゴールデンウィークも「安・近・短」傾向が強いとも報道されていました。
ただ、テレビの報道を見る限り、海外へ飛び立つ人や交通渋滞の様子からは、それぞれに計画に従って大勢の人が移動したようです。
「安・近・短」の何倍も質素なゴールデンウィークを過ごしている身ですが、ふだんの生活圏内と言えるような地域内にも、意外に興味深い場所はあるものです。寺社や歴史的な記念碑や伝承、昔の街道の断片等々、その気になればいくらでも浮かび上がってきます。それらのほとんどは、これまでにも何度も訪れている所ですが、改めて見直してみますと、幾つも新しい物が見えてきます。これまで、いかにも知っていると思っていた所や事象が、実はごくごく一部に過ぎない事を痛感しました。
そう考えますと、例えば、何度か訪れた街や名所などについて、仲間内で話題になると、まるで何もかも知っているかのように振る舞っていたことが恥ずかしくなってきます。

かつて、ある著名な女流作家の講演をお聞きしたことがあります。そのお方は、すでに故人になられましたが、直木賞作家でもあり、時代小説を中心に多くの作品を残し、その中には、大ベストラー作品もあります。
そのお方が、小説を書く当たっての心構えとして、こんな話をなさいました。
「あるテーマが決まれば、可能な限り、徹底して調べたり取材をします。どんなに小さな事でも、一見無関係に見えるような些細な事でも、出来るだけ多くの『材料』を集めます。その上で、いざ作品として書き進めるに当たっては、その『材料』のうち、いかに多くの物を捨てることが出来るかということで、作品の質が決まってくると考えています。可能な限り多くの『材料』を集め、その中から珠玉の物だけを磨いていく事が大切だと考えています。初心者の方は、ややもすると、少ない『材料』をいかに大きく膨らませるかに腐心されているように見えるのです」と言った内容でした。
このお話を時々思い出します。そのお方の制作方法と比べることなどおこがましい限りですが、このコラムを書くに当たっても、「小さな材料を必死に膨らませている自分」に気付くことが度々あります。
このゴールデンウィークの私の唯一の収穫は、このお話を思い出したことかもしれません。




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