雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

他人事ながら

2017-11-28 16:05:21 | 日々これ好日
       『 他人事ながら 』

     ある大病院で 立ち聞きするつもりではないけれど
     「おめでとう」という声が聞こえてきた それも何人もの
     どの程度の闘病だったのかは 知らないが
     重症者の多い病院だけに 他人事ながら 嬉しかった

                        ☆☆☆
  
   

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笛といいましてもねぇ

2017-11-28 07:36:41 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 

               笛といいましてもねぇ  


笛といいましてもねぇ、そりゃあ、様々ですわ。

横笛などは、それはそれはすばらしいものですよ。
妙なる音色が遠くより聞こえて来たかと思いますと、少しずつこちらに近づいてくる時などは、何ともすばらしく胸がときめきさえしますもの。
反対に、近くで聞こえていたものが、少しずつ遠のいていって、ほんの少し聞こえるだけになっていくのも、ああ、どんな君達(キンダチ)が吹いているのだろうと、これはこれで情緒があるものです。

笙(ショウ)の笛となりますと、少し様子が違いますわね。
月の美しい夜、車での通りすがりに聞こえて来たりするのは、これはこれで、なかなか良いものなのです。ただね、近くで見ますとね、何かごちゃごちゃと難しそうで、扱う人が気の毒になってしまうのですよ。それに、吹く時の顔ときたら、もう、こちらまで苦しくなってしまうような表情ですよ。
もっとも、横笛といっても、吹き方次第ですけれどね。

篳篥(ヒチリキ)となりますと、笙どころではありませんわね。
うるさくてうるさくて、くつわ虫の団体みたいなものでしょう。とても近くでなんか聞きたくもありませんよ。特にね、下手な人が吹く時には、腹さえ立ってきますわ。
賀茂の臨時祭などで、横笛がすばらしい音色を奏で始めて、「ああ、すばらしい」と、うっとりなりかけたとたん、途中から篳篥が加わって、これでもかと、がなりたてるのですよ。あれでは、どんなに美しい御髪の持ち主だって、髪が逆立ってしまうような心地がするというものですよ。
まあ、人様々といいますから、笛も様々でいいのかもしれませんが・・・。


(第二百四段・笛は、より)
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