【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会副会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「俳句大学」学長 「火神」主宰 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞受賞

俳誌「火神」第75号

2022年07月30日 11時14分53秒 | 「火神」

俳誌「火神」第75号よりのお知らせ!

 

〜発行(7月30日)〜

 

● 総ページ:96P

◉特集「永田満徳句集『肥後の城』39P〜76P(37p)

多くの方から句評を頂き、ありがとうございます。

▽「俳句界」(11月号)に、永田満徳さんの『肥後の城』が特集「ピックアップ注目の句集」として取り上げられた。

永田満徳が『肥後の城』から自選五句とプロフィール、エッセイ「わが句集を語る」、岸本尚毅氏が『肥後の城』句集鑑賞(総論) 、 仲寒蟬氏と堀田季可氏が『肥後の城』一句鑑賞をご執筆。

 

【「火神」巻頭句】 晴天の氷柱   永田満徳

振り回すおもちやのバット憂国忌

ぐるぐると尾を追ふ猫や小六月

足掻きの水浄めゆく真鴨かな

水鳥を追ふけんかともあそびとも

百合鴎いづれの鳥が業平か

霜柱踏んでよろこぶ足裏かな

夕日の海へ迂回する五日かな

晴天の氷柱となりて光りゐる

戦死とは数字にあらず梅ふふむ

恋猫のたかぶるままにたかぶりぬ

 

「火神」(命名:鍵和田秞子「未来図」元主宰)

「火神の会」とは、

一、本会は写生を基本とし、直感·連想によって自然·生の実相にアプローチする俳句を目指します。

一、会員は、 句会に参加し、俳誌「火神」に作品を発表できます。

一、同人は、句会·吟行·講演会等各種集まりや、俳誌「火神」を通して相互研鎖を積み、俳句深耕を計ります。

画像:表紙と火神抄と巻頭句

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Facebook「華文俳句社」 〜【俳句界】2022.8月号〜

2022年07月27日 01時18分22秒 | 月刊誌「俳句界」
俳句大学国際俳句学部!
 
Facebook「華文俳句社」
〜【俳句界】2022.8月号〜
 
◆2022年『俳句界』8月号が発行されました。
◆華文圏に俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載しています。
◆どうぞご理解とご支援をお願いします。
 
俳句大學國際俳句學部的通知!
~Facebook 「華文俳句社」Kabun Haiku 2022・8〜
◆2022年『俳句界』8月號已出版。
◆於華文圏提倡包含俳句的基礎「一個切」和「兩項對照組合」的二行俳句。
◆請各位多多支持指教。
 
華文俳句【俳句界】2022,8月号
永田満徳選評・洪郁芬選訳
 
翻臉無情的臉友
查某雨
明月
〔永田満徳評論〕
「查某」是台灣閩南語的「女人」。「查某雨」指啓蟄至啓蟄後四十九日之間的雨,是台灣季語,形容女人的心情般善變的雨,又稱陰陽雨。臉書上的交友可以很輕鬆,似乎有了衝突,便可以馬上解除朋友關係。以季語「查某雨」為兩項對照組合的這首俳句,正是形容當今社會輕薄,善變的現代風俗。
友変はるフェイスブックや查某雨
明月
〔永田満徳評〕
「查某」は閩南語(台湾の方言)で「女」のことである。「查某雨(ツアーボオホオ)」は啓蟄から49日の間に起こる、台湾の季語で、女のようにお天気屋のような雨、日照り雨のこと。「フェイスブック」では手軽に友達になり、仲違いをすれば、簡単に友達を解除する。「查某雨」と取り合せることによって、軽薄な現代の風俗をうまく切り取っている。
啟開陳年老甕
涼風
鄭如絜
〔永田満徳評論〕
「陳年老甕」指長久時間貯藏釀酒的罈子。華語「陳年」有「古老」,「日經月累」等意義。「陳年五年」便是指貯藏五年的意思。這裡的「酒」可能是紹興酒,釀存於老甕,愈陳愈香醇。俳句的場景或許是與同好的飲酒聚會。在涼風吹拂中,一同享受剛啟開的老酒,真是人生一大樂事!
涼風や古き酒甕開きたる
鄭如絜
〔永田満徳評〕
「陳年老甕」とは、長い年月を経た酒の甕。「陳年」とは中国語で「古い」「長い年月を経た」といった意味で、陳年5年は熟成期間が5年ということになる。「酒」は紹興酒のこと、「甕」で貯蔵し、長く熟成させるほどいい紹興酒ができあがる。利き酒会の場面であろうか。「涼風」の吹き渡るなか、蔵出しのお酒を楽しんでいるところがいい。
仰聽七星潭夜潮
夏北斗
胡同
〔永田満徳評論〕
「七星潭」是台灣花蓮縣的礫石海灘,位於台灣東海岸,是俯瞰美麗鈷藍色大海的旅遊勝地。夜晚時,幾乎感受不到光害。滿天星斗鋪張開來,可觀測星座,可仰天遐思。生動清晰的「夏北斗」和輕輕湧動的「夜潮」聲,場景無限遼闊,視覺和聽覺的描繪使海灘的美景脫穎而出。
夏北斗七星潭で聞く夜潮
胡同
〔永田満徳評〕
「七星潭」は台湾の花蓮県にある礫石の海辺。台湾東海岸に位置しており、コバルトブルーの綺麗な海を望む観光名所である。夜は夜で、ほとんど光害がなく、満天の星空が広がり、星空観察におすすめである。くっきりとした「夏北斗」と、やさしく打ち寄せる「夜潮」の音とを描き、視覚と聴覚によって、美しい海浜の一情景をよく浮き上がらせている。
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国際俳句〜Facebook「Haiku Column」〜【俳句界】2022年8月号

2022年07月25日 01時02分58秒 | 月刊誌「俳句界」
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
 
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年8月号〜
 
注目記事:『ウクライナ侵攻】(今月の秀句)
 
◆俳句総合誌『俳句界』2022年8月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】、2022年6月には【冬・新年】を出版しました。「HAIKU」6号と「歳時記」春・冬・新年は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
 
The August issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the August issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Août aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Août de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
 
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
 
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  
(Facebook「Haiku Column」より)
 
Angela Giordano(Italy)
poppy -
macchie di sangue sulle mani dei combattenti
papaveri-
bloodstains on the fighters' hands
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The daisy is an annual plant of the poppy family native to Europe. It is simply called poppy, including other poppy plants. With 'sleep' in the language of flowers, the 'poppies' clasped in the hands of Ukrainian war dead are a wish for repose in death. The contrast between the redness of the 'blood' and the whiteness of the 'poppies' appeals to the ruthlessness of the battlefield and is sympathetic.
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
ポピー咲く戦士の手には血の汚れ 
〔永田満徳評〕
ヒナゲシはヨーロッパ原産のケシ科の一年草。他のケシ科の植物も含めて単にポピーという。花言葉に「眠り」があることから、ウクライナの戦死者の手に握りしめられた「ポピー」には死の安息への願いが込められている。「血」の赤さと「ポピー」の白さとを対比することによって、戦場の非情さを訴えていて、共感できる。
Patric Sompru(France)
vacances d’été
50,000 obus par jour
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Les vacances d'été en Ukraine durent trois mois, de juin à août. Selon le ministère ukrainien de la défense, le 10 juin (heure locale), les troupes russes tiraient environ 60,000 obus et roquettes par jour. J'aime le fait que le film exprime fortement le sentiment anti-guerre en découpant le quotidien d'un enfant ukrainien, dont la vie est en danger, non pas le temps de vacances, mais pas un seul jour de tranquillité d'esprit.
パトリック ソンプル(フランス)
砲撃は一日五万夏休み 美音
〔永田満徳評〕
ウクライナの夏休みは6~8月の3ヶ月間。ウクライナ国防省の発表によると、6月10日(現地時間)、ロシア軍は1日約6万発の砲弾とロケットを撃っているという。休暇どころでなく、心休まる日は一日たりともない。命の危機にさらされているウクライナの子どもの日常を切り取って、反戦の気持を強く表しているところがいい。
Nuky Kristijno(Indonesia)
blue sky of Ukraine
children on wreck of a war tank
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
The number of Russian tanks destroyed since the start of the invasion of Ukraine is said to number in the hundreds. The scene is of children jumping on and off the wreckage of tanks left behind in a city reduced to rubble under a blue sky. By depicting the innocent play of a child who does not know the cruelty of war, this haiku captures the essence of war.
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
ウクライナ破損戦車に子ども達 
〔永田満徳評〕
ウクライナ侵攻の開始以降、破壊されたロシア軍の戦車は数百台に上るという。あくまでも青い空のもと、瓦礫と化した街に取り残された戦車の残骸に子どもが飛び乗ったり、飛び降りたりしている情景であろう。戦争の残酷さを知らない子どもの無邪気な遊びを詠むことによって、かえって戦争の本質を捉えた句である。
 
【今月の季語(Kigo of this month】     
(Facebook「Haiku Column」より)
 
【 初夏 はつなつ hatsunatsu / beginning of summer / début de l’été 】
Mafizuddin Chowdhury(India)
beginning of summer
her old scooty with new tires
マフィズディン チュードハリ(インド)
スクーターのタイヤを替へて夏初め 
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
début de l'été ~
toutes les peaux sont claires la plage
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
初夏や砂浜の肌皆白く   
【 夕凪 ゆうなぎ yuunagi / quiet evening sea / mer calme du soir 】
Ariani Yuhana(Indonesia)
quiet evening sea
fisherman' sons pick fishes from net
アリアニ ユハナ(インドネシア)
夕凪や魚網の魚を子が拾ふ  
Kim Olmtak Gomes(Holland)
quiet evening sea
grandmother rocking in her chair
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
夕凪や揺り椅子に居るおばあちゃん  
【 ハンモック はんもっく hanmokku / hammock / hamac 】
Paul Callus(Marta)
lying on the hammock at night -
shooting stars show for free
ポール カルス(マルタ)
流星の無料のショーやハンモック  
Sylvie Theraulaz(France)
hamac -
les nuages bercés
シルビー テロラズ(フランス)
ハンモック雲に揺らされゐたりけり
【 螢 ほたる hotaru / firefly / luciole 】
Kim Olmtak Gomes(Holland)
luminescence in my heart
my eye catches a firefly
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
ほうたるや心の中にある光 
Veronika Zora Novak(Canada)
even with my eyes closed...
fireflies
ヴェロニカ ゾラ ノヴァック(カナダ)
目を閉ぢて眼裏を舞ふ螢かな 
【 薔薇 ばら bara / rose / rose, rosier 】
Ariani Yuhana(Indonesia)
rose petals
seven months pregnant sister takes a bath
アリアニ ユハナ(インドネシア)
薔薇風呂へ入り妊娠七カ月  
Anna Rimondi(Italy)
resta soltanto l'impronta sul cuscino-
sboccia una rosa
アンナ リモンディ(イタリア)
枕辺の君の痕跡薔薇開く
【 青林檎 あおりんご aoringo / green apple / pomme verte 】
Rina Darsa(Indonesia)
green apple
a kiss on baby's cheek
リナ ダルサ(インドネシア)
青林檎赤子の頬にキスをして  
Francesco Palladino(Italy)
son rire
le son croustillant d'une pomme
フランシスコ パラディノ(イタリア)
青林檎齧りて君の笑まひかな 
【 紫陽花 あじさい ajisai / hydrangea / hortensia 】
Thuillier Françoise(France)
de ma naissance à sa mort ce ciel qu'elle portait –
cet hortensia
チュイリエ フランソワーズ(フランス)
今生の空持ち上ぐる濃紫陽花 
Iwan Setiawan(Indonesia)
blue hydrangea
when blue is blue
イワン セチワン(インドネシア)
青といふ青を極めて濃紫陽花  
【 ラベンダー らべんだー ravenda- / lavender / lavande 】
Angela Giordano(Italy)
grandma's house...
bunches of lavender inside the wardrobe
casa di nonna...
mazzetti di lavanda dentro l'armadio
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
祖母の家ワードローブにラベンダー  
Anne-Marie Joubert-Gaillard(France)
lavande -
dans les draps parfumés sommeil du juste
アンヌ-マリー ジュベール-ガヤール(フランス)
香りたるシーツに眠るラベンダー
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〜季語で一句 32 〜『くまがわ春秋』7月号

2022年07月09日 01時06分28秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

〜季語で一句 32 〜
 
◆『くまがわ春秋』7月号が発行されました。
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。
 ・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

季語で一句(R4.7月号)

梅雨晴(つゆばれ)       「春-天文」
大工原一彦

ベートーヴェンのやうなモップや梅雨晴間
【永田満徳評】
梅雨の合間の貴重な晴れを利用して拭き掃除をしているのである。「モップ」がぼさぼさの髪の毛をしていた「ベートーヴェン」のようだという表現はユーモアがあり、「梅雨晴間」の気分をうまく捉えている。
【季語の説明】
「梅雨晴間」は梅雨の合間の晴れ間のこと。五月(さつき)は旧暦の5月のことであり、梅雨の最中である。長く晴れない時だけにちょっとした晴れ間はありがたい。梅雨は別名「黴雨(つゆ・ばいう)」といい、黴が生えやすい時季。噎せ返る暑さに近いものがある。現在では、新暦5月の晴れを〈五月晴れ〉として使う。

鵜飼(うかひ)      「夏-生活」

西村楊子

生業の命綱なり鵜縄引く
【永田満徳評】
鵜匠が持つ綱は鵜の首に繋がっていて、鵜が口に入れた鮎を吐き出させて、魚を捕る。「命綱」という措辞には、「生業」のすべてが「鵜縄」の一本に掛かっている鵜飼の厳しさを詠んでいて、心惹かれる。
【季語の説明】
「鵜飼」は飼いならした鵜を使って鮎などを獲る伝統的な漁法。逃げるときには丸のみして、喉にためた魚を吐き出す鵜の習性を生かしたもの。鵜飼を行う漁師を、鵜匠(うしょう・うじょう)と呼ぶ。篝火には照明としての役割だけではなく、鮎を驚かす役割がある。長良川、肱川、三隈川の鵜飼は三大鵜飼と呼ばれる。

蟻(あり)        「夏-動物」

西村楊子

行列を外るる蟻のゐやせぬか
【永田満徳評】
「蟻」の姿は働き者の模範。アウトロー的な存在を許さない管理社会に生きる現代人にとって、はみ出す者もいてもいいと思い、「行列を外るる」ことへの憧れを怠け者の蟻に見ているところがおもしろい。
【季語の説明】
「蟻」はアリ科に属する昆虫。人家の近くにも多く、身近な昆虫のひとつ。繁殖のために産卵を担う女王蟻、育児や食事調達を担う働き蟻、餌を得るための狩りや巣の防衛を担う兵隊蟻がいて、大きな群れを形成してくらす社会性がある。怠け者もいて、働き蟻が動けなくなった時に働きだし、コロニーを保っている。

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