(写真:熊本駅に到着した寝台特急「はやぶさ」の機関車)
これまで数回に渡り挑戦し続けてきた、JR九州の駅と列車内に設置された20個のスタンプを集める「スタンプラリー20」の旅
(詳細はこちら→JR九州公式サイト http://www.jrkyushu.co.jp/20th/stamp.jsp)。
今までコツコツと地道に九州各地の駅を廻り、スタンプを集め続けてきたが、ここにきて遂に伝家の宝刀を抜く時が来た(何か最近伝家の宝刀が多いな)。
このスタンプラリーに合わせて売り出された特別きっぷがあるのだ。その名も「九州特急フリーきっぷ」!
2日もしくは3日間、JR九州の全路線で特急列車の自由席が乗り放題になるというこのきっぷ、スタンプラリーに執念を燃やす鉄道ファンの為に売り出された最強のきっぷなのだ。それにしても、目的のためなら手段を問わない鉄道ファンなら無条件に購入してしまうであろう商品を周到に用意する辺り、JR九州もなかなか商売上手だなぁ。
これが今回使用する「九州特急フリーきっぷ(3日間用)」、2万5千円也。
実はこれ、通常版とは別に枚数限定で先行販売された特別バージョンの「硬券仕様」。鉄道ファンはクラシカルな硬券きっぷの魅惑に弱い。僕もしっかり入手してJR九州に貢献してしまった。
昨年暮れに、東欧バルカン旅行に出発する前日にJR博多駅で購入してそのまま東欧・トルコまで持って行ってしまい、帰国後もそのまま保管し続けていたのだが、今日からいよいよこのきっぷを使って3日間に渡って九州を駆け回り、まだ入手していないスタンプを一気に集めてしまおうという訳だ。
平成19年5月12日(乗り放題1日目)
早朝、自宅最寄りの駅で「九州特急フリーきっぷ」に入鋏。
顔見知りの駅員氏が「え~っと、日付は…ここに記入するのか」とか言いながら物珍しそうにきっぷを見ている。このきっぷ、手のひらサイズでデカいし硬くてゴツイし、とにかく目立つのだ。
熊本駅で博多行き特急「有明」に乗り換え。この列車、つい2週間前に台湾へ出発する前に乗ったばかり。2週間前と同じ景色を眺めて、同じように眠くなり居眠りをして、同じように博多駅に到着。
博多で大分行き特急「ソニック7号」に乗り換える。1時間足らずで小倉に到着。ここでソニックから下車。
予定では小倉から寝台特急「富士」に乗り換えて大分へ向かうつもりだったのだが、あれ?大分方面の発着案内表示に「富士」が出ていないぞ?改札で事情を聞くと「本州で人身事故があって2時間遅れてますよ」何ーーー!?
出発から3時間程で早くも予定が狂ってしまった、さてどうするかとホームで立ち食いの「かしわうどん」を食べながら考えていると、目の前に次の大分行き特急「ソニック」が入ってきたので何となく乗車してしまう。
本来の予定では寝台特急「富士」で大分に向かい、大分到着後はすぐ「ソニック24号」で中津駅まで戻りスタンプをゲットするつもりだった。何で一度中津を通過して大分まで行ってしまうのかと云うと、「だって、寝台特急にはゆっくり終点まで乗ってブルートレインの旅を楽しみたいじゃないか!」つまりはそういう事だ。
しかし寝台特急「富士」に乗れないとなるとわざわざ大分まで行く必要はない。中津でさっさと降りてスタンプをゲットする。スタンプを手に入れたら中津には用はないのですぐに上り博多行きの「ソニック」で小倉に戻る。
つい2時間ほど前にうどんを食べた小倉駅のホームに降りると、「遅れておりました寝台特急『富士』到着します」との案内放送が。
「今頃到着したのか…乗っちゃえ!」
という訳で、改めて寝台特急「富士」に乗り込み大分へと向かう。
「富士」の車内は空いているので、B寝台の1区画を悠々と占有して白昼のブルートレインの旅を満喫。
昼下がりの大分駅に到着。
すぐに上り特急「ソニック」で博多へと引き返す…って、今日は一体何回「ソニック」に乗ってるんだ?
博多駅から長崎行きの「かもめ」に乗り換える。この時点で当初の予定よりキッチリ2時間遅れ。予定では長崎ではなく佐世保に向かいスタンプを入手して、すぐ肥前山口経由で長崎に移動、ここでもスタンプゲット…と考えていたのだが、佐世保は後回しにして長崎に直行する事にする。
すっかり暗くなり、雨の降り始めた長崎に到着。スタンプを入手後、雨のそぼ降る暗いプラットホームに入線してきた京都行きの寝台特急「あかつき」に乗車。
佐世保を後回しにしたのも、この「あかつき」に乗りたかったから。つまりはそういう事だ。
ブルートレインに乗っているとついこのまま終着駅まで行ってしまいたくなるが、生憎「九州特急フリーきっぷ」は九州内でしか使えない。門司駅で「あかつき」と別れ、小倉駅に戻ってから今夜の宿となる宮崎空港行き特急「ドリームにちりん」に乗車。
結局、今日は佐世保駅のスタンプを捺し損なってしまったが、明日以降挽回出来る筈だから気にしない。
平成19年5月13日(乗り放題2日目)
小倉から1時間半程、「ドリームにちりん」は深夜の大分駅に到着。ここで下車。
小一時間ほどでやって来る上り博多行きの「ドリームにちりん」に乗り換える。
所謂「返し」と呼ばれるテクニックである。一般的な旅しかしない世間の方々には想像もつかないだろうが、鉄道に乗ることそのものを目的とした「乗り鉄」の世界には時刻表トリックさながらの様々な超絶テクニックがあるのだ。「返し」はその中でも基本中の基本みたいなもので、まあ要するに夜行列車の途中駅で上り列車と下り列車を相互に乗り換えることで翌朝には再び出発地に戻る事が出来るというもの。
乗り放題のフリーきっぷと組み合わせて使用すれば宿泊費を浮かせることが出来るのでそれなりに便利であり、各地で様々な周遊きっぷ・フリーきっぷと夜行列車の組み合わせでで様々な「返し」のパターンが日々研究・実践されている。
ちなみに僕は十年以上前の学生時代に「信州ワイド周遊券」を使って夜行急行「ちくま」号の木曽福島返し5連荘を実行した事があるがあれはきつかった…「返し」は「睡眠時間が著しく阻害される」という弊害があるので、体力のある高校生大学生でも3日以上の連荘は健康上危険なんだよな…僕もあれで体重が4キロ減ったし…
などと大分駅周辺のコンビニを覗きながら輝かしい過去の栄光を思い出しているうちに、上りの「ドリームにちりん」が到着。小倉に戻る…って、結局昨日からこの区間だけで何往復してるんだ!?
小倉駅から門司港駅に移動。ここでスタンプをゲット。すぐに引き返し、門司駅から関門トンネルをくぐって下関駅へ。
下関駅は「九州特急フリーきっぷ」で立ち寄る事の出来る唯一の九州外の駅。関門トンネル区間がJR九州の管轄なので、例外的にJR西日本の下関駅への下車が認められている(しかしこれは「九州特急フリーきっぷ」購入時に駅で問い合わせて解かった事で、券面には一切謳われていない)。
下関駅から乗車するのは…
東京駅から夜の東海道・山陽本線1000キロを駆け抜けてやって来た、寝台特急「はやぶさ」と「富士」。今日は途中で人身事故にも巻き込まれず、定刻に到着できたようだ。
昨日は「富士」に乗ったので、今日は「はやぶさ」に乗車する。
B寝台のベッドでくつろいでいると、猛烈な睡魔に襲われて結局熟睡。昨夜寝てないからなぁ。。。気がつくともう終着の熊本だった。ああ良く寝た!
熊本駅で後続の「リレーつばめ41号」に乗り換え、更に新八代駅で九州新幹線「つばめ41号」に乗り換える。
先々週、台湾新幹線(台湾高速鐡路)に乗車したばかりだが、同じ700系ベースの車両なので当たり前だが乗り心地は同じだ。
「九州新幹線と台湾新幹線は姉妹だな。」
新八代からほんの10分程で水俣駅に到着。ここでスタンプを捺すべく下車。
新水俣駅は水俣市外からは離れた山の中に造られた新興駅だが、駅舎のデザインは凄い。
そのアバンギャルドなエクステリアはとても駅とは思えない。
しかし駅の周りには殆ど何もないので、スタンプを捺したらさっさと退散する。「つばめ46号」で新八代へと引き返す。
新八代から「九州横断特急6号」に乗り換えるのだが、時間があるので「つばめ43号」から「48号」へと乗り換えて新水俣までもう1回往復。せっかく新幹線も乗り放題のきっぷを持っているのだから、時間のある限り乗り続けてないともったいない。
改めて新八代から「九州横断特急6号」に乗車。阿蘇駅へと向かう。
阿蘇駅到着後すぐにスタンプを捺す…つもりなのだが、改札口周辺にスタンプが見当たらない。
阿蘇駅のホームには既に次に乗る予定の「あそ1962」が停車しているので、間に合わないんじゃ…?と気が気ではない。
「あの~スタンプどこですか?」と改札の駅員氏に聞くと
「そこのガラスのショーケースの中ですよ」
何でそんな妙な場所に設置しているんだ?
何とか「あそ1962」の発車までにスタンプをゲットして、やれやれと乗車。
この観光列車に乗るのも久し振りだねぇ。という訳で、自転車置きスペース兼ビュッフェ(凄い組み合わせだ)に設置されているスタンプを捺したら早速、車内販売の阿蘇地ビールを買ってそのまま乾杯。
「あそ1962」の終着駅熊本に到着後、「リレーつばめ19号」から「つばめ19号」と乗り継いで、今度は九州新幹線を終点の鹿児島中央まで乗り通し、鹿児島中央駅から日豊本線の普通列車で本日最後のスタンプ目的地・霧島神宮駅へ。
霧島神宮駅は山の中の小さな駅だった。
まだ午後7時半なのに、駅の周りは真っ暗で静まり返っていて、どこからか河鹿(かじか)蛙の鳴き声が聴こえてくる。
駅の待合室も静まり返っていて、既に窓口も閉まっている。
「あれ?この駅では終列車までスタンプが捺せる筈なんだが…窓口の中にスタンプが引き上げられてたら困るな。」
しかし心配するまでも無く、窓口の前にはスタンプがポツンと置かれ旅人を待っていた。
「何だか侘しいなぁ。。。」
ともあれ、無事に霧島神宮駅のスタンプをゲットして、本日の予定は終了、同時にスタンプも昨日捺し損ねた佐世保駅を残すのみとなった。
今日は一旦、熊本の自宅に帰る。明日は残る佐世保駅のスタンプをゲットして見事コンプリートを目指す!
平成19年5月14日(乗り放題3日目/最終日)
朝から新八代駅に向かい、博多行き特急「リレーつばめ34号」に乗車。
一晩だけでも実家に戻って慣れた寝床で休んだので、かなり体力を回復した。以前は夜行列車での連泊も平気だったのだが、三十路を越えて体力も下り坂のせいか最近では「夜汽車疲れ」を覚えるようになった。我ながら哀れなものだ。
「齢は取りたくないね。。。」
博多駅からは寝台特急「はやぶさ」に乗車。昨日も乗ったが、ずっと寝ていたので今日もう一度乗り直す。
特急「リレーつばめ」「有明」で乗るのとは一味違う鹿児島本線の旅を楽しんで、正午前に熊本駅に到着。
「7月21日のJAXA宇宙科学研究本部相模原キャンパス一般公開には、はやぶさに乗って行こう。今度はヒルネ(昼間の寝台車の座席利用)じゃなくて、ちゃんと夜に寝台車のベッドで寝るぞ。」
熊本駅到着後、熊本市内で野暮用を済ませてから博多行き特急「リレーつばめ12号」に乗車。鳥栖駅で佐世保行き特急「みどり17号」に乗り換える。
いよいよJR九州20周年記念「スタンプラリー20」の旅も最終目的地へのアプローチに入った。この列車の終点・佐世保駅で一昨日捺し損ねたスタンプをゲットすれば目出度く20個コンプリート!
途中、昨年秋に小惑星探査機「はやぶさ」の講演会を聴きに行った佐賀県立宇宙科学館の最寄り駅・武雄温泉駅を通り(高架化工事がだいぶ進捗してるな~)、早岐駅で進行方向を変え、漸く傾きかけた夕陽に向かって佐世保駅のスタンプに向かってハイパーサルーン「みどり」号はラストスパート!
17時12分、「みどり17号」は定刻に佐世保駅に到着。すぐにプラットホームの階段を駆け下り、改札口近くにある筈のスタンプを目指す!
20個目の、最後のスタンプをパスポートに捺す。
「スタンプ、コンプリート!」
終わった…
JR九州20周年記念「スタンプラリー20」の旅、完了!!
最後のスタンプには佐世保名物「佐世保バーカー」が描かれている。
「ここは一つ、旅の終りを記念して美味しい物でも食べるか!」
佐世保駅の観光案内所で駅に近い佐世保バーガーの有名店を教えてもらい、商店街のアーケードまで歩いて買いに行く。世界中どこでも同じ店構え同じ味の大手チェーン店とは違い、スタッフのこだわりが感じられる店でハンバーグを焼くところから作ってもらった本物の佐世保バーガー。佐世保駅構内のスーパーでビールも買って、折り返し「特急みどり22号」の早い者勝ち展望かぶりつきシート(自由席なのだ)に陣取り、さあ始めよう。
「スタンプラリー20完了万歳、乾杯!」
ハイパーサルーン先頭車かぶりつきで前面展望を満喫しながらかぶりついた佐世保バーガー、大変美味しゅう御座いました。
今日のはやぶさ:提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
天燈茶房TENDANCAFEは日本の小惑星探査機「はやぶさ」を応援しています
天燈茶房TENDANCAFEは日本の小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」を勝手に応援しています
hayabusa in the JAXA by dowango2001 さん
これまで数回に渡り挑戦し続けてきた、JR九州の駅と列車内に設置された20個のスタンプを集める「スタンプラリー20」の旅
(詳細はこちら→JR九州公式サイト http://www.jrkyushu.co.jp/20th/stamp.jsp)。
今までコツコツと地道に九州各地の駅を廻り、スタンプを集め続けてきたが、ここにきて遂に伝家の宝刀を抜く時が来た(何か最近伝家の宝刀が多いな)。
このスタンプラリーに合わせて売り出された特別きっぷがあるのだ。その名も「九州特急フリーきっぷ」!
2日もしくは3日間、JR九州の全路線で特急列車の自由席が乗り放題になるというこのきっぷ、スタンプラリーに執念を燃やす鉄道ファンの為に売り出された最強のきっぷなのだ。それにしても、目的のためなら手段を問わない鉄道ファンなら無条件に購入してしまうであろう商品を周到に用意する辺り、JR九州もなかなか商売上手だなぁ。
これが今回使用する「九州特急フリーきっぷ(3日間用)」、2万5千円也。
実はこれ、通常版とは別に枚数限定で先行販売された特別バージョンの「硬券仕様」。鉄道ファンはクラシカルな硬券きっぷの魅惑に弱い。僕もしっかり入手してJR九州に貢献してしまった。
昨年暮れに、東欧バルカン旅行に出発する前日にJR博多駅で購入してそのまま東欧・トルコまで持って行ってしまい、帰国後もそのまま保管し続けていたのだが、今日からいよいよこのきっぷを使って3日間に渡って九州を駆け回り、まだ入手していないスタンプを一気に集めてしまおうという訳だ。
平成19年5月12日(乗り放題1日目)
早朝、自宅最寄りの駅で「九州特急フリーきっぷ」に入鋏。
顔見知りの駅員氏が「え~っと、日付は…ここに記入するのか」とか言いながら物珍しそうにきっぷを見ている。このきっぷ、手のひらサイズでデカいし硬くてゴツイし、とにかく目立つのだ。
熊本駅で博多行き特急「有明」に乗り換え。この列車、つい2週間前に台湾へ出発する前に乗ったばかり。2週間前と同じ景色を眺めて、同じように眠くなり居眠りをして、同じように博多駅に到着。
博多で大分行き特急「ソニック7号」に乗り換える。1時間足らずで小倉に到着。ここでソニックから下車。
予定では小倉から寝台特急「富士」に乗り換えて大分へ向かうつもりだったのだが、あれ?大分方面の発着案内表示に「富士」が出ていないぞ?改札で事情を聞くと「本州で人身事故があって2時間遅れてますよ」何ーーー!?
出発から3時間程で早くも予定が狂ってしまった、さてどうするかとホームで立ち食いの「かしわうどん」を食べながら考えていると、目の前に次の大分行き特急「ソニック」が入ってきたので何となく乗車してしまう。
本来の予定では寝台特急「富士」で大分に向かい、大分到着後はすぐ「ソニック24号」で中津駅まで戻りスタンプをゲットするつもりだった。何で一度中津を通過して大分まで行ってしまうのかと云うと、「だって、寝台特急にはゆっくり終点まで乗ってブルートレインの旅を楽しみたいじゃないか!」つまりはそういう事だ。
しかし寝台特急「富士」に乗れないとなるとわざわざ大分まで行く必要はない。中津でさっさと降りてスタンプをゲットする。スタンプを手に入れたら中津には用はないのですぐに上り博多行きの「ソニック」で小倉に戻る。
つい2時間ほど前にうどんを食べた小倉駅のホームに降りると、「遅れておりました寝台特急『富士』到着します」との案内放送が。
「今頃到着したのか…乗っちゃえ!」
という訳で、改めて寝台特急「富士」に乗り込み大分へと向かう。
「富士」の車内は空いているので、B寝台の1区画を悠々と占有して白昼のブルートレインの旅を満喫。
昼下がりの大分駅に到着。
すぐに上り特急「ソニック」で博多へと引き返す…って、今日は一体何回「ソニック」に乗ってるんだ?
博多駅から長崎行きの「かもめ」に乗り換える。この時点で当初の予定よりキッチリ2時間遅れ。予定では長崎ではなく佐世保に向かいスタンプを入手して、すぐ肥前山口経由で長崎に移動、ここでもスタンプゲット…と考えていたのだが、佐世保は後回しにして長崎に直行する事にする。
すっかり暗くなり、雨の降り始めた長崎に到着。スタンプを入手後、雨のそぼ降る暗いプラットホームに入線してきた京都行きの寝台特急「あかつき」に乗車。
佐世保を後回しにしたのも、この「あかつき」に乗りたかったから。つまりはそういう事だ。
ブルートレインに乗っているとついこのまま終着駅まで行ってしまいたくなるが、生憎「九州特急フリーきっぷ」は九州内でしか使えない。門司駅で「あかつき」と別れ、小倉駅に戻ってから今夜の宿となる宮崎空港行き特急「ドリームにちりん」に乗車。
結局、今日は佐世保駅のスタンプを捺し損なってしまったが、明日以降挽回出来る筈だから気にしない。
平成19年5月13日(乗り放題2日目)
小倉から1時間半程、「ドリームにちりん」は深夜の大分駅に到着。ここで下車。
小一時間ほどでやって来る上り博多行きの「ドリームにちりん」に乗り換える。
所謂「返し」と呼ばれるテクニックである。一般的な旅しかしない世間の方々には想像もつかないだろうが、鉄道に乗ることそのものを目的とした「乗り鉄」の世界には時刻表トリックさながらの様々な超絶テクニックがあるのだ。「返し」はその中でも基本中の基本みたいなもので、まあ要するに夜行列車の途中駅で上り列車と下り列車を相互に乗り換えることで翌朝には再び出発地に戻る事が出来るというもの。
乗り放題のフリーきっぷと組み合わせて使用すれば宿泊費を浮かせることが出来るのでそれなりに便利であり、各地で様々な周遊きっぷ・フリーきっぷと夜行列車の組み合わせでで様々な「返し」のパターンが日々研究・実践されている。
ちなみに僕は十年以上前の学生時代に「信州ワイド周遊券」を使って夜行急行「ちくま」号の木曽福島返し5連荘を実行した事があるがあれはきつかった…「返し」は「睡眠時間が著しく阻害される」という弊害があるので、体力のある高校生大学生でも3日以上の連荘は健康上危険なんだよな…僕もあれで体重が4キロ減ったし…
などと大分駅周辺のコンビニを覗きながら輝かしい過去の栄光を思い出しているうちに、上りの「ドリームにちりん」が到着。小倉に戻る…って、結局昨日からこの区間だけで何往復してるんだ!?
小倉駅から門司港駅に移動。ここでスタンプをゲット。すぐに引き返し、門司駅から関門トンネルをくぐって下関駅へ。
下関駅は「九州特急フリーきっぷ」で立ち寄る事の出来る唯一の九州外の駅。関門トンネル区間がJR九州の管轄なので、例外的にJR西日本の下関駅への下車が認められている(しかしこれは「九州特急フリーきっぷ」購入時に駅で問い合わせて解かった事で、券面には一切謳われていない)。
下関駅から乗車するのは…
東京駅から夜の東海道・山陽本線1000キロを駆け抜けてやって来た、寝台特急「はやぶさ」と「富士」。今日は途中で人身事故にも巻き込まれず、定刻に到着できたようだ。
昨日は「富士」に乗ったので、今日は「はやぶさ」に乗車する。
B寝台のベッドでくつろいでいると、猛烈な睡魔に襲われて結局熟睡。昨夜寝てないからなぁ。。。気がつくともう終着の熊本だった。ああ良く寝た!
熊本駅で後続の「リレーつばめ41号」に乗り換え、更に新八代駅で九州新幹線「つばめ41号」に乗り換える。
先々週、台湾新幹線(台湾高速鐡路)に乗車したばかりだが、同じ700系ベースの車両なので当たり前だが乗り心地は同じだ。
「九州新幹線と台湾新幹線は姉妹だな。」
新八代からほんの10分程で水俣駅に到着。ここでスタンプを捺すべく下車。
新水俣駅は水俣市外からは離れた山の中に造られた新興駅だが、駅舎のデザインは凄い。
そのアバンギャルドなエクステリアはとても駅とは思えない。
しかし駅の周りには殆ど何もないので、スタンプを捺したらさっさと退散する。「つばめ46号」で新八代へと引き返す。
新八代から「九州横断特急6号」に乗り換えるのだが、時間があるので「つばめ43号」から「48号」へと乗り換えて新水俣までもう1回往復。せっかく新幹線も乗り放題のきっぷを持っているのだから、時間のある限り乗り続けてないともったいない。
改めて新八代から「九州横断特急6号」に乗車。阿蘇駅へと向かう。
阿蘇駅到着後すぐにスタンプを捺す…つもりなのだが、改札口周辺にスタンプが見当たらない。
阿蘇駅のホームには既に次に乗る予定の「あそ1962」が停車しているので、間に合わないんじゃ…?と気が気ではない。
「あの~スタンプどこですか?」と改札の駅員氏に聞くと
「そこのガラスのショーケースの中ですよ」
何でそんな妙な場所に設置しているんだ?
何とか「あそ1962」の発車までにスタンプをゲットして、やれやれと乗車。
この観光列車に乗るのも久し振りだねぇ。という訳で、自転車置きスペース兼ビュッフェ(凄い組み合わせだ)に設置されているスタンプを捺したら早速、車内販売の阿蘇地ビールを買ってそのまま乾杯。
「あそ1962」の終着駅熊本に到着後、「リレーつばめ19号」から「つばめ19号」と乗り継いで、今度は九州新幹線を終点の鹿児島中央まで乗り通し、鹿児島中央駅から日豊本線の普通列車で本日最後のスタンプ目的地・霧島神宮駅へ。
霧島神宮駅は山の中の小さな駅だった。
まだ午後7時半なのに、駅の周りは真っ暗で静まり返っていて、どこからか河鹿(かじか)蛙の鳴き声が聴こえてくる。
駅の待合室も静まり返っていて、既に窓口も閉まっている。
「あれ?この駅では終列車までスタンプが捺せる筈なんだが…窓口の中にスタンプが引き上げられてたら困るな。」
しかし心配するまでも無く、窓口の前にはスタンプがポツンと置かれ旅人を待っていた。
「何だか侘しいなぁ。。。」
ともあれ、無事に霧島神宮駅のスタンプをゲットして、本日の予定は終了、同時にスタンプも昨日捺し損ねた佐世保駅を残すのみとなった。
今日は一旦、熊本の自宅に帰る。明日は残る佐世保駅のスタンプをゲットして見事コンプリートを目指す!
平成19年5月14日(乗り放題3日目/最終日)
朝から新八代駅に向かい、博多行き特急「リレーつばめ34号」に乗車。
一晩だけでも実家に戻って慣れた寝床で休んだので、かなり体力を回復した。以前は夜行列車での連泊も平気だったのだが、三十路を越えて体力も下り坂のせいか最近では「夜汽車疲れ」を覚えるようになった。我ながら哀れなものだ。
「齢は取りたくないね。。。」
博多駅からは寝台特急「はやぶさ」に乗車。昨日も乗ったが、ずっと寝ていたので今日もう一度乗り直す。
特急「リレーつばめ」「有明」で乗るのとは一味違う鹿児島本線の旅を楽しんで、正午前に熊本駅に到着。
「7月21日のJAXA宇宙科学研究本部相模原キャンパス一般公開には、はやぶさに乗って行こう。今度はヒルネ(昼間の寝台車の座席利用)じゃなくて、ちゃんと夜に寝台車のベッドで寝るぞ。」
熊本駅到着後、熊本市内で野暮用を済ませてから博多行き特急「リレーつばめ12号」に乗車。鳥栖駅で佐世保行き特急「みどり17号」に乗り換える。
いよいよJR九州20周年記念「スタンプラリー20」の旅も最終目的地へのアプローチに入った。この列車の終点・佐世保駅で一昨日捺し損ねたスタンプをゲットすれば目出度く20個コンプリート!
途中、昨年秋に小惑星探査機「はやぶさ」の講演会を聴きに行った佐賀県立宇宙科学館の最寄り駅・武雄温泉駅を通り(高架化工事がだいぶ進捗してるな~)、早岐駅で進行方向を変え、漸く傾きかけた夕陽に向かって佐世保駅のスタンプに向かってハイパーサルーン「みどり」号はラストスパート!
17時12分、「みどり17号」は定刻に佐世保駅に到着。すぐにプラットホームの階段を駆け下り、改札口近くにある筈のスタンプを目指す!
20個目の、最後のスタンプをパスポートに捺す。
「スタンプ、コンプリート!」
終わった…
JR九州20周年記念「スタンプラリー20」の旅、完了!!
最後のスタンプには佐世保名物「佐世保バーカー」が描かれている。
「ここは一つ、旅の終りを記念して美味しい物でも食べるか!」
佐世保駅の観光案内所で駅に近い佐世保バーガーの有名店を教えてもらい、商店街のアーケードまで歩いて買いに行く。世界中どこでも同じ店構え同じ味の大手チェーン店とは違い、スタッフのこだわりが感じられる店でハンバーグを焼くところから作ってもらった本物の佐世保バーガー。佐世保駅構内のスーパーでビールも買って、折り返し「特急みどり22号」の早い者勝ち展望かぶりつきシート(自由席なのだ)に陣取り、さあ始めよう。
「スタンプラリー20完了万歳、乾杯!」
ハイパーサルーン先頭車かぶりつきで前面展望を満喫しながらかぶりついた佐世保バーガー、大変美味しゅう御座いました。
今日のはやぶさ:提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
天燈茶房TENDANCAFEは日本の小惑星探査機「はやぶさ」を応援しています
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