My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

独占企業の方が、研究開発は盛んになる (15.013 Industrial Economics)

2009-12-18 10:38:29 | MBA: MBA授業

このブログでも何度も取り上げてきた、Pindyck先生の産業経済学だが、
個人的に最も面白く、考えさせられたのは、最後の授業のこのコメントだった。

「一社独占の産業と、競争の激しい産業では、どちらが研究開発への投資がなされ、開発が盛んになると思うか?」
この問いに対して、クラスの9割の学生が、「競争が激しい方が開発が進む」と答えたが、先生の答えはNoだった。

実は、独占企業の方が、研究開発により多くのお金が投資し、その結果、技術開発も進む。」

これは一瞬、直感に反するよね。
独占企業は、競争がないのだから、わざわざ研究開発に投資する動機に乏しいんじゃないか、と思う。
逆に競争が激しいほど、研究開発に投資して、他社を先んじようとするのではないか、と直感的には思う。

ところが、歴史を見ても、研究開発により投資して来たのは独占企業なのだ。

実際、1970年代から世界の研究開発を引っ張ってきたのは、全て独占企業だった
例えば、アメリカの電話産業を独占していた、AT&T(ベル研)。
メインフレーム市場を独占していた、IBM。
カメラフィルム市場を独占していた、Kodak。
コピー機市場を独占していた、Xerox (Parc)。
こういったところは、独占時代はいわゆる「中央研究所」を作り、多額の研究投資をし、ノーベル賞を大量に出し、現代のIT社会の基礎技術を作ってきた。
しかし、分割やら何やらで、独占的地位を失うとともに、研究開発費は圧倒的に削減されていった。

確かに、これらの例を見ると、市場独占の度合いと研究開発費は比例しているようだ。

授業では時間の問題でここまでだったのだが、興味があったので、更に調べたり、考えたりしてみた。

1.独占企業は、高い利益率のために、原資があるから、研究開発に多額の投資が可能。
一方で競争が激しい分野は、利幅が薄いので、研究開発に投資が出来ない。

AT&T、IBM、コダックといった企業が、研究開発に多額の投資が出来たのは何故か、を考えると、ひとえに独占であることで得られていた莫大な利益率のおかげだ。
往時のコダック社の、研究開発を除く営業利益率なんて、80%を超える(粗利は90%)というし、
IBMのメインフレームも60%近くに達していたという。
(数字は要確認。でも感覚的にはそんなにずれてないだろう。)
この莫大な利益率が、毎年収益の10%~20%などという、
莫大な研究開発費を支えていた。

一方、競争の激しい産業では、当然価格競争も激しいから、高い利幅を維持するのが大変難しい。
その結果、研究開発費に収益の10%以上も掛けるなんて不可能だ。
複数社集まったって、割合が低いことには変わりない。

そうすると、単純に独占企業のいる産業では、産業全体の収益の多くを研究開発に投資できるが、
競争の激しい分野では、そもそも市場全体の収益のほんの一部しか研究開発に投資できない、ということになる。

また、今まで独占企業で利幅が大きかったために、研究開発に多く投資できていた企業も、
独占状態が解消されれば、AT&TやIBMがそうだったように、研究開発費を大きく削減していかなくてはならなくなるのだ。

2.独占企業は、自社の独占的地位を守るため、多大な参入障壁を築くために、研究開発に莫大な投資をする

調べてみたら、下記の著名な論文を発見。
独占企業は、研究開発に大量の投資が出来るぐらい儲かる独占的な地位を維持するため、参入障壁を築くために研究開発に投資するのだ、というのが、下記論文の趣旨。

Preemptive Patenting and the Persistence of Monopoly

Richard J. Gilbert and David M. G. Newbery
The American Economic Review, Vol. 72, No. 3 (Jun., 1982), pp. 514-526

30年前の論文だけど、今でも色んなところに引用され、学ぶところの多いものだ。
要は、今は独占状態であっても、いつ新規参入者が入ってくるか分からない。
だから、入ってこないように参入障壁を大きくするため、研究開発にいそしむのだという

研究開発は、多くの分野では、実際の競争によって推進されるのではなく、「参入者が入ってくるかも」という脅威によって推進される、ということであった。
(もちろん例外もあり、それも他論文で議論されている)

------------------------------------------

というわけで、単に研究開発を進ませる、という目的なら、実は独占状態の方が理想的なのだ。
それだけ投資できるお金があるからね。
たくさんのイノベーションを生んだ、ゼロックスのパロアルト研や、AT&Tのベル研のようなものが理想なら、
独占市場にもう一度ならなければ難しい、という、現代の競争志向とは全く逆の結論が出てくるのであった。

ちなみに、これを国を挙げてやってるのが中国らしい。

例えば携帯電話業界では、敢えて世界標準の技術ではなく、中国独自の技術を開発することで、他社の中国市場への参入を防ぎ、中国企業による、独占状態を作り出しているのだという。
しばらく独占状態を続けることで、中国企業に莫大な利益を上げさせ続ける。
こうすることで、5年後・10年後には、国からの援助がなくても民間だけで、世界の標準的技術をリードできるだけの、研究開発の原資を作ってあげてる、ということだ。

日本企業が、このような護送船団で、研究開発費を確保する方向に行くことはもうありえない。
しかし、これからも日本の製造業が勝ち続けていくためには、無駄な競争で研究開発の原資が減るようなことにならないよう、ある程度も業界再編も重要、ということだろう。

まあ、最もこれからはビジネスモデルのイノベーションが鍵、という話もあるからね。
むやみに研究開発費を投じることが真のイノベーションにつながるのか?というのは要議論。

追記)数々の破壊的イノベーションも、それ自体は、IBM、XeroxやAT&T、RCAなどの独占大企業から生まれてきたと言うことには注目すべき。
したがって、独占大企業が破壊的イノベーションを生みだせない、というよくある議論は間違い。
(HPのインクジェットプリンタ、Xeroxの数々、RCAの液晶、Kodakの有機EL然り)
これらの破壊的イノベーションは、実は独占企業の多大な研究開発費から生まれた基礎技術に拠っていることが多い。
問題は、彼ら自身はイノベーションを生みながらも、組織的な理由でそれを商品に出来ないこと。
→ 過去記事「自社事業を破壊するイノベーションが出てきたとき」参照。

追記2) ローゼンブルームの「Engines of innovation」に、米国の独占企業が研究開発に力を入れる理由には、Anti-trust法(独占禁止法)の脅威もある、とあります。
要は現状で利益を上げている独占事業が、いつAnti-trust法に引っかかって分割命令が出るか分からないので、新たな利益の柱を作らなければ、ということで研究開発にお金をつぎ込む、ということです。

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Unknown (kinokomushi)
2009-12-18 13:21:32
はじめまして、興味深く拝見いたしました。勉強になります。
独占していることが原因で研究開発が進むのだけでなはく、独占した結果研究開発が進みやすいということなのでしょうか?競争があったからこそイノベーションが生まれ独占企業となったということと、独占企業になったから研究開発がより進めやすくなる、というのはどちらも理屈上正しいのではないかと思います。物事には原因と結果がありはっきりと区別できると思われがちでありますが、実際には、原因と結果がフィードバックしていて、何が原因で何が結果なのかを定義することすら難しいということが少なくないと思います。たとえば、管直人氏が主張する第三の道と小泉竹中路線の考え方もどちらが間違いということはなく、需要と供給のフォードバックを考えれば理屈上、どちらの可能性も否定できないと思われます。しかしながら、どちらか一方は必ずケースバイケースで間違っているということではないでしょうか。研究開発の進歩と独占企業の関係もそのような原因と結果がフィードバックする一例ではないかと感じました。フィードバック速度が非対称であれば、どちらかが原因もしくは結果のどちらかにになるケースが多かったりするのかもしれませんが。
cool war (Willy)
2009-12-18 16:10:11
戦後日本の「護送船団+国際競争」のモデルを見ても、独占のどこかに競争の要素が入るのがベストなのかなぁ、と思います。米ソの冷戦も、技術開発という点で見ればこの上ない状況だったのではないでしょうか。
Unknown (bb)
2009-12-18 19:40:57
シュンペーター仮説だね。
逆U字仮説の方が実証の当てはまりがいいよ
イノベーション (資本家)
2009-12-18 22:27:46
イノベーションで重要な点は研究開発からいかに次のイノベーションの種を見つけてくるか?に尽きます。

それができるのは多くの場合才覚のある個人です。
ビジネスモデルの場合も同じです。

組織論としてはどうやって才覚のある個人を見つけるか?
もしくはどうやってそれを生かすか?が問題になってきます。
既存のモデルとの整合性でイノベーションが起こせないのではなく
そもそもイノベーションの種である事がわかってない
つまり目利きできる個人がいないそういう問題だと思います。
コメント色々有難うございます (Lilac)
2009-12-19 01:51:46
>Kinokomushiさま

はじめまして。
>独占していることが原因で研究開発が進むのだけでなはく、独占した結果研究開発が進みやすいということなのでしょうか?

えっと後者は「研究開発が進んだ結果独占が進みやすくなった」と書かれようとしたのかな?
(じゃなきゃ両者同じ意味デスヨ)
ええ、そうだと思います。
でも、そんな状態になっても、政府が「分割」の形で介入してくるのではなく、イノベーションのジレンマによって大企業自体が淘汰されていくことがあります。

>Willyさま
>独占のどこかに競争の要素が入るのがベスト

それは全くおっしゃるとおりで、基本競争環境だから、独占状態でもそれを維持するために努力しなくてはならないということです。
本当に競争がなかったらこうはならない。

>bbさま
はじめまして。
>シュンペーター仮説だね。
ええそうですね。シュンペーターは偉大です。

>逆U字仮説の方が実証の当てはまりがいいよ
ん?それって大規模になると効率が悪化してサチると言うことを言いたい?
その部分は要議論ですが、逆U字(規模が大きくなると研究開発の成果がゼロになる)にはならないんじゃないの?
よーく考えてみてください

>資本家さま
はじめまして。
>それができるのは多くの場合才覚のある個人です。
それは全くその通りだと思います。

しかし、
>既存のモデルとの整合性でイノベーションが起こせないのではなく、そもそもイノベーションの種である事がわかってない、つまり目利きできる個人がいない

これは本当にそうか?
数々の事例を見るに、イノベーションの種であることも分かり、それに投資を始めていながらも、結果としてイノベーティブな商品が世に出せない、ということの方が圧倒的に多いと思います。
クリステンセンの「Innovator's Dilemma」が良いまとめになっていると思います。
研究開発 (freedom)
2009-12-19 02:53:46
>独占企業の方が、研究開発は盛んになる
例外も多数あるが結果事実としては概ねそういうことなのでしょうね。
でも大企業についていえる(しかもアメリカの)ことで社会には中小企業も存在していますよね。
日本では中小企業が95%を占め、特定の分野で世界シェアの70%~80%を押さえている中小企業が多数存在していて日夜研究開発を行い日本の産業基盤を支えていますよね。でも個々の研究開発費は額では大企業と比べようもないほど微々たるものですよね。
(お向かいの国では1社がGDPの25%を占めていたりしますが日本では1%程度がせいぜいでこれだけの独占は現在では不可能だと容易に想像できます。資本主義経済でも全部を独占することもありうることの例です。ここでの独占とは意味が少し違いますが大部分を占めれば結果は同じことになります。)
グローバルになった現在社会では、世界の名立たる大企業が血道を上げて研究開発を行っていたにもかかわらず、最終的に技術開発に成功したのは日本の地方の中小企業であった日亜化学工業であり、今や世界に冠たる大企業になったなんて例もあります。
例外中の例外ともいえますが、元は水あめ屋さんで恐竜やチンパンジーの研究をしている企業が、食品、化粧品や医薬品に添加され今や全ての加工食品に添加されていると言ってもよいトレハロースの生産技術開発に成功したなんて、なんでもありの研究開発をしている林原のような企業も存在していますよね。水あめが斜陽になり倒産寸前であったものが研究開発が盛んであったため、起死回生を成し遂げた例ですね。中小企業ではぬるま湯の研究開発とはちょっと趣が違いますよね。(結果先行者優位で独占企業になり研究開発が更に盛んになった例とも解釈はできますが。)
大企業と中小企業 (Lilac)
2009-12-19 04:35:09
>日本では中小企業が95%を占め、特定の分野で世界シェアの70%~80%を押さえている中小企業が多数存在していて日夜研究開発を行い日本の産業基盤を支えていますよね。

これは確かにご指摘の通り。大企業と独占企業は分けて議論する必要がありますね。
記事中の例も、「大企業による独占」を書いてしまいましたが、引用した論文で書かれてるのは独占企業の話。
必ずしも大企業である必要はないわけです。
だから、例えば日亜が中小企業でも(今は巨大ですが)、青色レーザ・ダイオードの独占(最近は厳しいですが)を守るために、特許を出しまくる、そのために研究開発費を出しまくる、
というのがいい例だったのだと思います。

私のライフワークのテーマのひとつが、日本(もしくは東アジア地域)で、
イノベーションを起こし続ける仕組みを作るにはどうするか、と言うことなのですが、
そのためにどこでイノベーションが起こっているのか正確に把握する必要があるなとは思いました。
要は、大企業にイノベーションが起きるようにしていくのが解なのか、アメリカシリコンバレー型なのか。
目指す産業によっても違いますけど。

>資本主義経済でも全部を独占することもありうることの例

全く余談ですが、日本のM菱系列の企業を全部足すと日本のGDPの何%になるんでしょうね。
(Freedamさんに習ってイニシャルにしてみた)
それでも1%以下かな・・・日本は系列外の製造業が大きいですからね。
Unknown (通りすがり)
2009-12-19 09:31:36
なるほど。おもしろいお話ですね。
たしかに余裕がなければ研究費にお金は回せないですね。
競争のメリットは色々なアイディアでしょうかね。
研究者の気づきにくい小手先の技術。
(まあそれも大事ですが。おもしろいのはそっちだったりしますからね)
でも基礎的な技術はやはり研究の方が進むんでしょう。
あー、、国として支援してあげたい。
オレの払った税金そういうことに使ってもらいたい。。
独占業界の例とイノベーションの源泉 (MK)
2009-12-19 10:53:33
このお話が継続的に起こっているのは製薬業界ですね。特許が有効な間は高い価格が許容され、参入障壁を築くために特許が失効する前に次世代製品を開発すべく投資を重ねます。研究開発投資比率は平均すると売上高の15%程度に相当し、本稿の例とちょうど近い比率になりますね。
製薬業界のユニークなのは特許によって、分野ごとに独占企業が現れることです。各社がそれぞれ本稿の独占企業のポジションを取る仕組みになっています。
さて、ここでイノベーションの源泉はこの業界でどこであるかという議論ですが、それは80年代以降ベンチャーと大学に移っています。研究開発型の代表格と見られるジェンザイムにおいても、シーズのインライセンス比率は50%を超えています。これはジェネンテックという今は武田を凌ぐ時価総額のベンチャーの功績が大きく、ベンチャーに投資しても「儲かる」ということがわかり、投資循環ができたことが要因となっていると思います。コメント欄に議論にあるような中小企業が特許ビジネスでは十分にイノベーションの源泉になる一例だと思います。
ただし、製薬業界モデルがイノベーションの成功事例かというと議論のあるところです。HBSでクリステンセンと同じ科目のイノベーションのジレンマを教えるゲーリー・ピサノは著書"Science Business"においてROIの観点ではバイオテックは成功した業界とは言えないと断じています。
ところでLilacさん、このピサノはイノベーション研究の中ではどういう立ち位置の人ですか?一応、クリステンセンと同じ講座を教えていますが、イノベーション研究でとりたてて自分の立ち位置を確立しているようにも見えないですが。最後に脱線で恐縮ですが教えてください。
で、成果が出ない (golgo139)
2009-12-19 14:20:12
AT&T(ベル研)、IBM、Kodak、Xerox (Parc)、全部、イノベーションで破壊された企業ですよね。それだけ研究開発に投資しても、次のイノベーションにつながる成果を出せなかったと言っていいでしょう。学術的な成果は別として。やっぱり、イノベーションは外で起こるものなのだな、と改めて感じました。
横槍失礼します (chaos)
2009-12-19 14:32:59
golgo139さん、いったい何を言っているのでしょうか。

それだけ研究開発に投資しても、次のイノベーションにつながる成果を出せなかったと言っていいでしょう

そういうことを言う人はAT&Tが開発した半導体を使っている携帯電話やパソコン、Xeroxの開発したマウスやIBMが開発したインターネットを使わずに生きてみてはいかがでしょうか?これらの企業が出したのは学術的成果だけではない
志向の違いというか (haru)
2009-12-20 00:06:13
アマチュアの価値とアマチュアイズムをきちんと理解できているかどうかってところでしょう。
アマ=そのものが目的の人=種、プロ=職業としてお金を作る人=熟成って言う基本がわかってるとこならうまくいきます。
独占企業だといい具合に企業内アマチュアが残せるんでしょうね。
競争が激しくなるとどんどんプロ化していって育てる種がなくなってしまう。

日本の場合だと根強くプロフェッショナリズムコンプレックスがあるのでこの先厳しくなるかもしれませんね。アマチュア=素人みたいな訳を広めた人は大罪です。(もちろんプロ志向の素人もアマチュアではありません)

オープンソースの開発なんか見てると面白いですよ。プロ志向の人が参加してそっち系の技術が入ってくるととたんに収束方向に向かって行くのがよくわかりますから。
Unknown (chun)
2009-12-20 01:57:19
興味深い話題ですね。私も近い考えがあり、独占企業の崩壊→安価な製品を出す企業への研究開発の人材の拡散→研究開発の鈍化・更に業界の低迷という流れがあるのではと思っていました。
具体的には日本の半導体産業の技術者の海外流出なのですが、予想以上に深刻ではないかと危惧してます。
系列 (freedom)
2009-12-20 03:29:04
三菱系列といってもどこまでを三菱系列とみるかで全く違ってきますよね。三菱UFJフィナンシャルグループ関係社を全部合わせれば1%を超えて数%になると思いますが、経営上も資本上もほとんど関係していない会社もあるのでここではあまり意味のないことになりますね。前会長(疑獄で肩書きに前はついてるが)が全ての会社に影響を及ぼすお向かいの企業系列とは全く違うものですね。
系列そのものも近年の合従連衡が複雑すぎて不明瞭ですし、三菱と名前がつくかどうかで見るのも三菱の本体である日本郵船は三菱はつかず、三井までからんでくるし、三菱資本であっても旧日産コンツェルンであった日立製作所なんかを三菱系列とみなす人は少ないですよね。(フォーブスは三菱はコングロマリットとはみなしていませんが、日立グループはコングロマリットとしています。)

MKさんは相変わらず鋭いところをついてこられますね。静観せずに面白くなるからどんどん参入してほしいですね。

P.S.皆がわかった上で隠語を用いて楽しむという日本の伝統的表現である連歌や俳句にも通じる現代的表現をケンブリッジで広めていただきありがとうございます。私の方はここ最近は意図をばらしてしまって面白くないので日本語的It-that構文を使用していますが(そのため読みにくいかも)そのうち復帰します。
みなさまコメント有難うございます (Lilac)
2009-12-20 04:18:28
なんか盛り上がってますね。すごい量だから全部に返事するのは大変・・・

>通りすがりさん

>でも基礎的な技術はやはり研究の方が進むんでしょう。
ええ、イノベーションを起こすにはある程度基礎的な技術が必要。
今までの担い手はお金のある独占企業の中央研究所でしたが、それがなくなってきた今は、大学が再度その役割を果たしうるか、
がポイントになると思っています。

>MKさん
ええ、製薬業界は面白い例ですね。

>ここでイノベーションの源泉はこの業界でどこであるかという議論ですが、それは80年代以降ベンチャーと大学に移っています。

ここですが、賛成と反論がありますね
1.製薬業界ではもともとイノベーションの源泉は大学にあり、「移っている」というのは 認識違い
2.90年代以降、Biotechでベンチャーの重要性が高まっている、というのは本当だが、今後もそれがベストかは分からない
3.情報・エレクトロニクスなどではイノベーションの源泉がもともと中央研究所だったが、
 今はそれが縮小しているため、大学に移らざるを得なくなっている、というのは本当

1.はマンスフィールドの著名な研究があるので是非参考にして欲しいのですが、
Edwin Mansfield "Academic Research and Industrial Innovation" Research Policy (1991)
1970年代からの調査ですが、業界平均に比べ、製薬業界のアカデミアへの依存率は3倍以上。
経営者インタビューでも新薬の開発・製造のどちらでも大学の研究が欠かせないと答えています。
ブッシュのリニア・モデルにも最もはまるのは製薬業界ですしね。

2.製薬、というより所謂Biotech分野でのベンチャーの寄与が高まってきたのは90年代でしょう。
これはBiotechが新しい分野だから起こったことだと思います。
こんごGenzymeのような企業が大企業化した後、Ciscoのようなベンチャー買収を主とするモデルを続けるか、
GoogleやMSのような(主に)自社開発リソース系になるか、分からないでしょう。
問題は何がこの業界にとってベストなモデルなのかですが、現在は、参入障壁の低さ、研究投資リスクの高さから、
前者のモデルがベターですが、今後産業が成熟してくると、後者のモデルに移行する可能性があります。

3.これは「中央研究所がなくなった今誰がイノベーションの担い手になるのか」というハイテク産業全体の問題。
私も解があるわけじゃないので、是非議論を続けたいです。(Freedomさんもどうぞ)

>golgo139さん
「成果」という言葉が何をさしてるかによりますが、いずれにせよ、AT&TやIBMの事例を勉強して書いてください、という感じはありますね。
事実を知れば、そんな一般化は出来なくなるでしょう。

問題は中央研究所の方はイノベーションにつながる成果を出しているが、それが商品化されなかったり、売れる商品にならなかったりということです。
イノベーション自体は中で起こるのです。もちろん大企業の外で起こるものもありますが。
問題はバリューキャプチャーできるのが、外の企業がやりやすいことがある(イノベーションのジレンマ)と言うことです。
しかしそれが全てでもなく、IBMやGEのように次の事業に舵を切ることに成功した大企業もあります。

>chaosさん
確かに現在のIT社会の技術の多くはこれらの独占大企業の中央研究所で開発された技術に依存しているのですよね。
Xeroxなどサーバ・クライアントアーキテクチャやXウィンドウ、GUI、オブジェクト指向などを、
コピー機をハイエンド化する目的で生み出したのだからすごいことです。
そして、その中央研究所が縮小されている今、次は誰がそのイノベーションの基礎的な役割を担うのか、が問題だと思います。
それが、大学なのか、ベンチャー企業なのか、または大・中企業であり続けるのか。

長くなったので一度切ります。
はじめまして (いしい のぶお)
2009-12-20 20:12:57
簡単な感想ですが
独占企業でも購買意欲を喚起するイノベーションを構築し続けなければ
商品は魅力を失い故障以外の買い替えが無くなるのでは
製薬の例フォロー (MK)
2009-12-21 13:28:18
盛り上がっていますね。
さて、Lilacさんの意見に若干補足です。
>>1.製薬業界ではもともとイノベーションの源泉は大学にあり、「移っている」というのは認識違い
=>うーん、これはどうでしょうか?確かに「移った」というのは言葉足らずだったと思います。製薬業界は昔からアカデミアとの連携でシーズを生み出しています。ただソースを探していないので曖昧な話になりますが、80年代を境に確実にイノベーションのソースとしての大学とベンチャーの割合は高まっているはずです。理由は二つ、①ケミカルモデルからの転換、②バイドール法の影響、です。
①ケミカルモデルからの転換
製薬企業は合成技術に立脚した企業が多く、合成にかかわる技術はインハウスで開発が進みます。例えばペニシリンはフレミングが発見しましたが、ファイザーとイーライリリーが大量合成法に成功したことで商業化に至ります。昔の多くの薬は低分子化合物であり、これは化学合成できるものという部分によるところが大きいわけです。ところが80年代以降このトレンドはまさにジェネンテックの台頭によって大きく変わります。抗体などの細胞による生合成を必要とする医薬品が増加し、今や低分子医薬品は売上ベースでは全体の半分を切っています。つまり、大企業である製薬企業は化学合成というコアの技術領域で対応できない部分が出てきたため、大学およびベンチャーの技術に「より」依存せざるを得なくなったわけです。また、むしろそれを効率的だと解釈しているはずです。
②バイドール法の影響
80年のバイドール法の制定によって、ベンチャーへのライセンシングが大きく増加します。特に先述のジェネンテックの成功事例などが影響し、エクイティー取得などのインセンティブも伴ない、大学サイドのベンチャーにライセンスする動機も拡大します。抗体に代表される「破壊的イノベーション」は化学合成に立脚した大企業で育てることは容易ではないわけで、大ベンチャー時代がちょうど新たなテクノロジーの台頭と呼応して破壊的イノベーションを育てたと見るべきでないでしょうか。
イノベーションを育てたという意味では投資ファンドの役割も見逃せなく、ジェネンテックの成功事例を見た投資家が、ジェネンテック自体とその他のベンチャーを育てていきます。このことによって、ライフサイエンス産業全体への投資は80年代以降やはり飛躍的に増加したはずです。ただし、その投資効果について議論があるのは前回の投稿でピサノの意見に触れた通りです。
ということで、ちゃんと調べていないのでデータでフォローできませんが、大学およびベンチャーに対する依存度が高まっているのは確実だと思います。
こうした背景や不景気の影響もあり、ファイザーを始めとするメガファーマはここ数年、研究施設を縮小されています。まああまり製薬の議論に飛び込んでも本稿の趣旨と離れるといけませんのでこの辺で。

=>freedomさん
>MKさんは相変わらず鋭いところをついてこられますね。静観せずに面白くなるからどんどん参入してほしいですね。
ははは、Lilacさんにもいつも言われているのですが、どうも筆不精およびITネタは得意でないので、ついつい筆が鈍りがちで恐縮です。freedomさんは、量と質を確保されるコメンテーターで私の遠く及ばないところです。
コメント返信続き (Lilac)
2009-12-22 07:27:41
>Haruさま

>アマ=そのものが目的の人=種、プロ=職業としてお金を作る人=熟成

これは面白い視点ですね。
ソニー中央研の所長だった菊池誠氏が、世界初のデジタルカメラの開発をしていたとき、
研究がある程度進んで、CCDからのノイズがなくなってきた時点で、岩間社長が「ここからはものづくりのプロがやるべき」と言って、中央研究所からプロジェクトを引き離して商品開発に人ごと移してしまった、という話を思い出しました。
岩間さんは「あまり研究開発にモノを置きすぎると、だめになってしまうからね」といっていたそうです。

CCDでカメラを作る、というようなアイディアや技術の種をつくる、それを商品として完成させる、
というのは異なるスキルなわけですよね。

>Chunさま

>日本の半導体産業の技術者の海外流出

これはまさに、育てた研究者・技術者をどう有効活用するか、という問題ですよね。
米国の場合は、シリコンバレーという受け皿があったわけですが、日本にはなくて、台湾や韓国に多数熟練技術者が流出している、というのは残念なことです。
まあ、そこでイノベーションを起こし続けてくれるなら、別にいいんですけどね。

>MKさま
情報色々有難うございます。
読んでいて思ったんだけど、恐らく「製薬業界」の定義が違うため行き違っているのかな、と思いました。
MKさんはバイオテックを製薬業界に含めてるから、「製薬で大学やベンチャーの寄与が高まっている」と見ているのでは?

私は、バイオテックは製薬業界にイノベーションのジレンマを起こしている新しい業界だと見ているので、単に新しい業界だと見てます。
で、前のコメントの2で書いたように、バイオテックでは大学やベンチャーの寄与が大きいのは確かだ、と思っています。
製薬業界自体がバイオテックを無視できなくなり、バイオテックベンチャー投資を始めてる、というところはありますが、まだまだだと思いますね。
しかし、製薬業界自体の大学への依存度は、マンスフィールド含む色んな研究者に研究されてますが、昔から新薬の開発・製造において非常に高かったんですよ。
もちろん多少はベンチャーの寄与が増えてるでしょうが、それは他の分野でも一緒ですから・・・

というわけでそれは定義の違いであって、認識はさほど変わらないのかな、と思います。

そんなことよりも、私が議論したかったのは、前のコメントの、
>こんごGenzymeのような企業が大企業化した後、Ciscoのようなベンチャー買収を主とするモデルを続けるか、
GoogleやMSのような(主に)自社開発リソース系になるか、分からないでしょう。
問題は何がこの業界にとってベストなモデルなのかですが、現在は、参入障壁の低さ、研究投資リスクの高さから、
前者のモデルがベターですが、今後産業が成熟してくると、後者のモデルに移行する可能性があります。

の部分です。
バイオテック分野に造詣の深いMKさんには、この部分でコメントをもらいたかったな、と思います。
そうすか (ピタゴラス)
2010-03-03 17:44:05
今ロン・チャーナウの『タイタン』を読んでますが、独占・トラストの功罪を考えられます。とともに『資本主義とプロテスタンティズム』が本当に現実の話しなのだとも思いました。慈善事業と基礎的研究所、これらは共通の理念なのでしょうか。

歴史は繰り返す。自由競争か社会民主か、どちらも失敗しては一方から一方へ。マスゴミに汚染されてすぐにどちらかに傾いてしまう民主主義って脆いものでかね。

日本語オンリーおっさんです

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独占企業の方が、研究開発は盛んになる - My Life in MIT Sloanこのブログでも何度も取り上げてきた、Pindyck先生の産業経済学 (15.013 Industrial Economics)だが、 個人的に最も面白く、考えさせられたのは、最後の授業のこのコメントだった。「一社独占の産業と、競争...
[経営][徒然] 「高利益率の方が、研究開発も盛んになる」では (カレーなる辛口Javaな転職日記)
http://blog.goo.ne.jp/mit_sloan/e/63c6cd4279b9975e530af704b055faf1 例えば、アメリカの電話産業を独占していた、AT&T(ベル研)。 メインフレーム市場を独占していた、IBM。 カメラフィルム市場を独占していた、Kodak。 コピー機市場を独占していた、Xerox (Par...