井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

宿願の知床夏山縦走・2日目

2012-07-16 20:51:01 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
 7月8日(日)
 朝、鳥の声で目を覚まして外を見ると真っ白です。
今日も天気はダメかと思い寝袋の中でダラダラしていました。
するとテントに陽が当たります。
何と雲が切れて青空がのぞいてきます。

 あわてて朝食を掻き込み登山準備をします。
   
    隣のテントです。まだ寝ている様ですのであまり音を立てないようにテントを畳みます。

   
    オッカバケに掛かっていた雲が無くなっていきます。

   
    ドンドン晴れてきます。

 さあ、今日は頑張って硫黄山を登り下山しなければなりません。

 4:55分、二つ沼のキャンプ地を出発します。
まずは沼に流れ込んでいる雪解け水が川のような登山道を登らなければなりません。
ハイ松に掴まりながら上の沼を目指します。

 上の沼はまだ雪渓の中です。
その雪渓から水が流れ出しており、一面に溜まっています。
雪渓の上に登りにはどうしてもこの水溜まりを越えなければなりません。
仕方がないので濡れるのを覚悟して飛びます。
何とか雪渓の上に上がることができました。

 ここからは、雪渓に上に向かって真っ直ぐ歩きます。
ハイ松に枝に赤い目印が付いています。
そこからはハイ松の登山道を歩きます。
今日は朝露に濡れた枝から服が濡れるのを防ぐために雨具を着ています。

 しかし、靴の中に水が入りグチャグチャになります。
これを気にしていたのでは歩けないので、濡れるに任せて登ります。
   
    やっと稜線に出ましたが、硫黄山方面は雲に隠れて見えません。

 後ろを振り返ると二つ沼のキャンプ地が見えています。
   

  
   イワキキョウが咲いていました。

 5:40分、南岳に到着です。
身体の方は快調です。
南岳を過ぎて少し行くと砂礫地があります。
   
    ここにシレトコスミレが1株ありました。
   
    今回ここにしかなかったスレトコスミレです。

   
    ガスがでてきました。
 登山ルートは白い杭などがあるので見失わないように歩きます。

   

 知円別分岐に到着です。
ここから先はルートが分かりづらいので注意しながら歩きます。
標識を左に曲がると急なガレガレの斜面をトラバースしなければなりません。
踏み跡が不明瞭になってきます。
私は少し知円別の山頂に向かって登りすぎたようなので慎重に斜面を降ります。
浮き石だらけの斜面ですので慎重に降ります。
5~6メートル降ると踏み跡がしっかり付いてます。

   
    こんな感じで視界が無くなっています。

 ここを歩いていると左下の方から人の声が聞こえてきます。
どうやら先日二つ沼に先行していた人達のようです。
するとここが第3火口のようです。

 ここから岩尾根の様なところを歩きます。
   
   
   高山植物の花々が緊張を和らげてくれます。

   

   
   ガスが少し晴れると硫黄山の火口が見えてきます。

 7:35分、やっと硫黄山山頂下に到着です。
   
    この火口壁を降ってきました。正面左側のガレ場です。
 
 急な斜面を登り左へ少しトラバースします。
そこからガレガレの岩場を登らなければなりません。
この岩場は浮き石だらけなので注意しながら登ります。
 
 7:45分、硫黄山の山頂に到着です。
   

 羅臼岳方面を見ますが厚い雲に覆われています。
   
 
 山頂のお花畑に咲いていた花です。
   
   
   

 山頂からの降りは慎重の上にも慎重にと自分に言い聞かせて降ります。
ガレ場を降り終えてホット一息つきます。

 山頂下にデポしておいたザックを背負い、ここからは昨年降った登山道ですので気持ちも軽くなります。

   
    硫黄沢の源頭部です。昨年はここにシレトコスミレの群落がありましたが・・・
今年はすでに咲き終えたようです。

   
     雪渓の上に厚く砂利が落ちています。
厚い砂利に足を取られないように歩きます。 

 やっと雪渓が顔を出してくれます。
今回この雪渓を歩くために軽アイゼンを用意してきましたが、表面が軽く融けているので使わずにドンドン降ります。

 下から登ってくる人が多くなってきます。
今日は日曜日ですので硫黄山だけに登ってくる人達です。

 雪渓の上で休んでいる人達がいます。
私に「アイゼンは付けないのですか?」と聞いてきます。
「この程度の斜面なら私は付けないでも大丈夫です。」といいましたが、話しかけた人に「持っているなら軽アイゼンを付けた方がいいですよ!」というと、あわてテザックを置きアイゼンを出しました。

 雪渓が切れそうな場所になりました。
ここは雪渓の踏み抜きに注意しなければなりません。
踏み抜いて足首を捻挫したりしたら大変です。

 9:00分、沢の出合いに到着です。
ここまで来ればあと少し登れば新噴火口です。
ちょっと休みます。

 30分ほど歩くと噴火口最上部の標識が見えました。
カムイワッカの沢に湯気を上げているところが見えます。
   

 岩尾根を降り硫黄の採掘場跡まで来ました。
   
   
 ここまで来ると硫黄山の登山口も間近です。

 白樺林の気持ちいい登山道を歩きます。
   
     この辺りは本当に気持ちよく歩けます。

 そして最後のジグを降りきると登山口です。
   
 10:45分、登山口に到着です。

 これで宿願だった知床の夏山縦走が終わりました。
天気に恵まれず眺望が悪かったのが残念です。
しかし、雨には降られずに歩けたのですから贅沢はいえません。

 ここから登山口までヒッチハイクで戻りました。
岩尾別まで車に乗せていただいたのは、神奈川から観光に来ていた若いご夫婦でした。
2歳くらいの可愛い女の子がいるご夫婦でした。

 そして、岩尾別からホテル地の涯まではバイクの後ろに乗せてもらいました。
和歌山から来ていた大型バイクのおじさんです。

 皆さんのお陰でそれほどの時間をかけずに登山口に置いた車まで戻ることができました。
この親切な皆さんに巡り会えただけでも成功といえる知床夏山縦走でした。
  

       
   

宿願の知床夏山縦走・1日目

2012-07-14 20:57:02 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
 私にとって夏山の知床縦走は長年果たせなかった縦走の一つでした。

 高校時代は山岳部に在籍していましたが、私の学校では夏山合宿を大雪山と知床の縦走を交互に行っていました。
 1年生の時の夏山合宿は大雪山の黒岳から入山してトムラウシ山までの縦走の予定でした。
しかし、悪天のため黒岳石室に2泊、旭岳と白雲岳のキャンプ地にそれぞれ1泊して赤岳へ下山するという散々な縦走でした。

 そこで2年生となった私達は夏山合宿の行き先を再度大雪山の縦走として知床縦走をあきらめることにしたのです。

 この時の大雪山縦走は入山口を愛山渓、下山口は天人峡としました。
しかし、この合宿でも後半部分が悪天のためトムラウシ山は山頂に立つことが出来ませんでした。でも、高根ヶ原から見たトムラウシの山容は大きく、大雪山を満喫できた満足のいく合宿だったのです。大雪山の大きさを肌で感じることのできた合宿でした。

 この後も羅臼岳と硫黄山に登ったことがありますが、なぜか羅臼岳から硫黄山の縦走を行うことが出来ずにいました。

 昨年で日高の夏道をほぼ歩き終えました。
今年の夏は時間が出来たので今年こそ知床の縦走を何としても行いたいと考えていました。
いつものメンバーを誘ったのですがそれぞれの都合で参加が出来ず、今回は単独での縦走となりました。

 6月6日(金)の朝に札幌を発ち、午後3時には岩尾別にあるユースに到着。
今夜はこのユースで1泊します。

 夕方ユースの前を散歩していて戻ろうとしたときのことです。
ユースの横にある山の斜面でガサガサと音がします。
鹿が餌の草でも食べているのだともってそちらを見ると、何と熊ではありませんか。
私と熊との距離は約10メートル、熊は一心に草を食べています。
私は熊の方を見ないようにしてユースの玄関へ向かったそっと歩きます。
熊の方も私の存在に気が付かないように草を食べ続けています。
お互いの存在に気づきながら何事もないように別れます。

 玄関に入り、ユースの女性にすぐ横に熊がいたことを告げましたが、「最近よく出るのですよ!」と特段びっくりすることもありません。
 これが、知床で野生動物と接する感覚なのかと改めて考えさせられました。

 6月7日(土)

 朝4時に目を覚まし食堂でカップ麺とおにぎりで朝食とします。
ユースから4キロほど先の登山口となるホテル地の涯へ向かいます。

 ホテルの駐車場で沢山の登山客が体操をしています。
羅臼岳登山を行うツァー客の皆さんのようです。
その合間を縫ってホテルの横へ進みます。
木下小屋の前にある駐車場はすでに満杯なので邪魔にならないように幅を寄せて通路に車を駐車します。
   
   木下小屋です。この小屋には温泉があります。

 4:40分、準備が出来たので私も出発します。
天気はあまりよくありません。
雲の中なのか乳白色で視界もあまりありません。
しかし、空気がしっとりとしているので呼吸は楽です。

 しばらく振りに1泊装備を背負っての登山ですが、ピリカヌプリへ行ったときと比べるとザックが軽いので気持ちも軽くなります。

 寝不足気味の身体ですのでゆっくりゆっくりと言い聞かせて登ります。
程なく団体さんに追いついてしまいました。
   
 ラストを歩いているガイドさんに「先に行きますか?」といわれましたが、もうすぐ休憩すると思いましたので、「いいえ、気にしないでください」といって、後を歩きます。

しばらく後ろについて歩いていると団体さん土地が休憩に入ります。
この隙に追い抜きます。

 狭い登山道で団体を追い抜いたりすれ違うときには神経を使います。
気の利いたガイドなら自分の客を止めて通してくれたりするのですが、それがなければ我慢して休憩するまで後ろを歩かなければなりません。

 560m岩峰手前の標識です。
   
この標識を見ると知床へ来たんだな~ぁと思います。

   
   6:05分、弥佐吉の水場です。
 ここまで快調に歩いています。
ガスの中ですが、結構汗をかいています。
給水に気を付けて十分に弥佐吉の水を飲みます。

   
   6:55分、銀明水です。

   
  ここから羅臼平までは大沢の雪渓を歩きます。

 ガスで先が見えません。
それほどの傾斜でないので持ってきた軽アイゼンは使わずに登ります。

 7:40分、羅臼平に到着です。
   
相変わらずガスの中です。
ここからはザックを置いて空身で山頂を目指します。

 すでに咲いている高山植物の花々が目を楽しませてくれます。
 
 
 
 
 

     
  岩清水です。
岩から細い流れとなって水が落ちています。
この水は美味しかったですね。
この水で力をもらい最後の登りを頑張ります。

 
 

 最後の雪渓です。
   
    この雪渓の上からは岩が折り重なった岩場となります。
   
    山頂がうっすらと見えています。

 途中で見つけたイワヒゲの花です。
   
    私の好きな花です。

 最後の岩を越えると山頂です。
 8:50分、羅臼岳の山頂に着きました。
   
    一昨年のGWに南西ルンゼから登った以来の山頂です。
しかし、残念ながらガスの中です。
眺望はゼロです。
しかし、山頂は風もなく穏やかです。
20分ほど滞在して下山します。
   

 9:25分、羅臼平に戻りました。
さあ、ここから硫黄山に向かって縦走の始まりです。
まずは三峰に向かって樹木の覆い被さった登山道を登ります。
登るとほどなく灌木に付いている水滴で全身ずぶ濡れになります。
靴の中にも水が入りグチャグチャですが、気温は高く風もないのでそのまま歩きます。

 9:55分、ガスの中ですが三峰のキャンプ場に到着です。
    
 三峰のキャンプ場からサシルイに向かう登山道が分かりづらいです。
視界がないので何本かある枝道のうちサシルイに向かっていると思われる細い道を進みます。 

 10:25分、サシルイ手前で休憩します。
一人で歩いているとついつい休憩を取らずに歩いてしまいます。
今日のようにガスの中だと眺望もないので先を急いでしまいます。
こんな時には高山植物の花を写して歩を止めます。

   
    サシルイとオッカバケの中間にある沼です。

   

  11:25分、オッカバケ山頂付近で休憩します。
    
    

 サシルイの降りとオッカバケの降りに大きな雪渓があります。
この雪渓には神経を使いました。
というのは、雪渓を降っていると雪渓の下部にある登山道を見つけるのが難しいのです。
今日は、誰か歩いたトレースがあるのでそのトレースを上手く見つけながらルートを外さないようにします。

 11:50分、二つ沼のキャンプ地に到着です。
 
 二つ沼には先行者のグループが休んでいました。
男性3人、女性1人の4人グループです。

 前泊は三峰だといいます。
丁度、昼食を取っているところでした。

「今日はここでキャンプですか?」と聞きますと、「三峰からだからもう少し先まで歩きます。硫黄山の第3火口でキャンプの予定です」と教えてくれます。

 私の予定は、この二つ沼でのキャンプです。
時計を見るとまだ12時ですが、ここでキャンプすることにしました。
それは、このまま私も硫黄山のキャンプ地まで歩くことはできると思いましたが、そんなに先を急ぐ必要のないこと、明日は天気が回復するかもしれないと思ったためです。

 二つ沼から4人組のグループが立ちます。
しかし、ルートが見つけられないようでウロウロしています。
やっとルーツが見つかったようです。
それは、私の張ったテントの先にある上の方から川のように水が流れている場所がルートのようです。
鈴の音がドンドン小さくなっていきます。

 後は鳥の声が聞こえるだけです。

 私は、濡れた服を脱いで着替えてからテントの中で寝袋に足を入れてウトウトしていました。
ラジオを聞いたりして時間を潰します。
時々テントに陽が射してきます。
するとテントの中の気温が一気に上がります。
その暖かさを背中に受けて冷えた身体を暖めます。

ガスが晴れてきました。明日は晴れるかな?

 5時半過ぎに夕食を終えてテントの中でボーッとしていました。
すると、人の声が聞こえてきます。
最初は空耳かと思っていました。
もうすぐ日暮れをむかえる時間です。
こんな時間に来る人がいるはずがありません。

 しかし、声が大きくなってきます。
それも数人の声が聞こえます。
どうやら、硫黄山方面から二つ沼に降ってきているようです。
直ぐ近くでコースを見失っているようです。

 そこで、「こちらへ向かってきてください!」と声を掛けます。
水の流れているところを降ってきてくださいというとやっとルートが分かったようです。
半信半疑で川に沿って降ってきます。

男性3人、女性1人のグループでした。
朝8時過ぎに硫黄山の登山口から出発して来たようです。
知円別分岐で少し迷ったようなことを言っています。

 でも、日没間際に何とかこのキャンプサイトに到着できたのは良かったです。
日没になれば適当な場所を探してビバークせざるを得ないとこでした。

わたしも一人でこのサイトに1泊するのは熊のこともあり心細かったのでホット一息です。

これで、安心して寝られます。
明日の天気を期待しながら寝袋のジッパーを閉めます。

知床・硫黄山 11年7月

2011-07-06 14:22:07 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
 今年は、知床公園線の交通規制が6年振りに一部解除されることになりました。
 今までは、カムイワッカの先が交通規制により立ち入り出来なかったために羅臼岳から硫黄山へ縦走しても折り返しで羅臼岳側に戻ってこなければなりませんでした。

それが、今年の6月25日から8月25日までの2か月間、カムイワッカから硫黄山の登山口までの6百メートルが登山者に限り立入制限が解除されることになりました。
このため、ウトロから羅臼岳に登り硫黄山を経由してカムイワッカに下山するという縦走が可能になりました。

 この立入制限区間に関しては事前申請などいろいろな手続きがあります。

 詳しくは、http://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/kk/akk/shiretoko_riyou.htm を参照してください。

 さて、知床硫黄山にはシレトコスミレという白い可憐な花が咲いています。
この花に特別な思いを寄せているIさんと一緒に硫黄山を登ることになりました。

 私は、40年ほど前にこの硫黄山の方まで登っていますが、この時は山頂は登っていません。
そんな訳で、山頂を踏んでいない私と山頂近くに咲くシレトコスミレを見たいIさんとの山行になりました。

 
 7月2日、札幌を朝8時に発って一路斜里町ウトロを目指します。
高速道路の休日千円が無くなったので高速料金を心配してましたが、休日50%割引の適用で1,800円とそれほどの負担ではなく、ホット一息。

それにしてもウトロまで400キロ、約7時間掛かりました。
今夜は、ウトロの道の駅駐車場でテント泊です。
駐車場には土曜日の夜とあってキャンピングカーや車中泊をする車が20台以上が駐車しています。
きっと、夏休みにはいると車中泊の車で埋まってしまうことでしょう。


 7月3日、朝、目を覚ますと快晴です。
天気予報では曇りだったのですが、天は私達に味方してくれたようです。

早速、昨夜向かいのコンビニで買い求めた弁当を食べて出発の準備をします。

そして、カムイワッカの登山口を目指して車を走らせます。
知床峠の分岐点を左に曲がり、知床五湖の分岐点を過ぎるといよいよ林道を走ります。
それにしても、この林道は良く整備されています。
日高の林道とはエライ違いです。
木漏れ日指す林の中の林道を快適に走ります。

5:40分、カムイワッカに到着です。
ここには、管理詰所が設けられています。
    
 この詰所に備えられているポストに「道路特例使用承認書」のコピーを入れて規制区域に入ります。
硫黄山の登山口はこの林道を左手に進んだ先にあります。

 林道を歩いていると、早速、鹿君のお出迎えに逢いました。
   
  この鹿くん、まったく我々の存在を意に介さないようです。
このように知床ではどこにでも鹿が現れます。
ハッキリ言って鹿は増え過ぎです。
早く適正数量に駆除をしないと森林破壊も進み大変なことになります。
それほど、鹿の食害が深刻な問題となってきているのです。 


 6:00分、硫黄山の登山口(標高250m)に到着しました。
ここから硫黄山(1,563m)の山頂までは、標高差1,300mほどあります。
知床は海岸近くから直ぐ山になっていますので標高自体はそれほどの山ではありませんが思った以上の標高差があります。

この登山口に立つのは、実に40年振りなのです。
   
 40年前に、この林道の少し先にあるウブシノッタという沢を登ったとき以来です。

登山口から登り出すと快適な登山道があります。
    
    珍しく笹のない陽の当たる明るい登山道です。

この登山道を気持ちよく快適に歩きます。
気温が上がっているせいか幾らも歩かないのに汗ばんできます。
ほどなく林を抜けると見晴らしが一気に開けます。
前方に硫黄山が見えてきます。
    
 この登山コースは、カムイワッカの沢と硫黄沢に挟まれた尾根を登り、硫黄沢からウブシノッタの源流部とぶつかる尾根を目指します。

右手に深い沢が見えてきますが、この沢がカムイワッカの沢です。
    
     沢の右岸から温泉水が出ています。

 この温泉水が沢水と混ざり下流の滝壺が天然温泉のお風呂となっています。
これが、有名なカムイワッカの湯の滝です。

 6:45分、硫黄採掘所跡に到着です。
ここは昔、硫黄の採掘を行った場所です。
    
    昔、組んだ石の壁が見えます。

   
    今でも、硫黄の採掘権を所有している人がいると聞いたことがあります。

 ここからは低いハイ松の中を歩きます。
登山道は所々整備されており6年間人が入っていない道とは思えないくらいです。

 7:35分、噴火口に到着です。
あちらこちらからシュー、シューと白い湯気が吹き出ています。
この湯気は亜硫酸ガスです。
硫黄の臭いがたちこめています。
   
  
   
     大きな噴火口が見えます。

   
    この辺りにはイソツツジが咲いています。
    阿寒の川湯にある硫黄山の辺り一面咲いているツツジと同じものです。

        
    ゴゼンタチバナです。

 8:25分、いよいよ小さな沢の中に入ります。
この沢を源頭部まで詰めます。
   
 
 沢に入って3百メートルほどで雪が出てきます。
沢を埋める残雪です。
足元が滑るので、今回は時間節約のために4本歯の簡易アイゼンとストックを使って登ることにしました。

 1,100m辺りで沢が二股になっています。
    
 左の沢を進みます。

 日当たりの良い岩の上にコザクラが咲いています。
    
    
北海道の山は雪解けの進み具合に会わせていろいろな花が一気に咲き出します。

 左股の雪の上に不思議な光景が広がります。
    
     雪の上に落ちた落ち葉などが吹きだまり不思議な模様となっています。

 10:00分、やっと沢の源頭部に到着です。
右手には硫黄山の山頂が見えます。
    
    
 左手には、ウブシノッタの源流部からの尾根とその先には知床岳が見えています。
    
 この砂礫岩の尾根に40年ほど前にウブシノッタの沢を登って来た記憶が蘇ります。
あのときは、GWの残雪期を利用してウブシノッタの深い沢を歩いて登ってきました。

そして、知床岳の思い出も蘇ります。
チャカパパイの沢を登り、知床岳に山頂に続くテッパンベツの沢を降って来たのです。
いずれも、遠い昔の記憶ですが、こうやってそれらの沢や山を目の前にするとあのときの光景が思い出されます。

懐かしさのあまり、ちょっと目頭が熱くなりました。

 さあ、この源頭部にシレトコスミレがあるはずです。

「あっ、あった!」Iさんの声がします。
どうやら念願のシレトコスミレを見つけたようです。
声のする方へ行って地面をよく見るとありました。
思ったより小さな花です。
    
     白い可憐な花を付けています。
      (シレトコスミレは知床の固有種ではありません。)
    
 良く数えると20株以上はあったようです。

 ここから山頂を目指します。
山頂へは羅臼岳側へ回り込むように登ります。

雪渓を利用して登り、そこから左手に回り込みます。
私達の先に4人ほどの登山者がいます。
その人達が降りてきます。

山頂部は、ガラガラの岩場となっており浮き石が沢山あります。
コースも不明瞭です。
初心者の方には厳しいコースとなっています。
登りは良いとしても降りには細心に注意が必要です。

私とIさんはこの岩場を注意して登ります。

10:45分、やっと山頂です。
    

山頂からは羅臼岳が見えています。
   
     雄大な光景です。

 目の前には知円別岳に続く荒々しい光景が広がります。
   

 そして、山頂にもお花畑がありました。

   
     ミネズオウです。

   
     ミヤマキンバイです。

   
      イワウメです。

   
      アオノツガザクラす。

 眼下に広がるオホーツク海には漁船や遊覧船の白い航跡が眩しく光ります。
離れがたい山頂ですが、何しろ今日中に札幌まで帰らなければなりません。
後ろ髪を引かれる思いで山頂から降ります。

そして、羅臼岳に続く稜線に目をやって、「必ず歩きに来るから!」と声を掛けます。

 雪渓のところまで降って昼食を取ります。
今日は日差しも強く、気温が20度もあります。
知床岳を見ながら昔を思い出し、至福の時間を過ごします。

離れがたい山頂下を11:35分、後にします。

ここからは、尾根に咲くシレトコスミレに別れを告げ、まっしぐらに登山口を目指します。
14:10分、登山口に到着です。

快晴という天気に恵まれた登山でした。
振り返ればオホーツク海のブルーの海が広がる。
開放感一杯の登山でした。

そして、40年前の若かった日に登った山を目に前に出来た充実の登山でした。

ア~、ア~ァ! あの日に帰りたい!

そんな気持ちにさせられた1日でした。


最後にログを落とした地図を貼り付けておきます。

 

残雪の斜里岳(1,547m)・10年5月

2010-08-11 16:28:47 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
今年の北海道の7月が雨の多い月でした。
しかし月が変わって8月になると暑い日が続きます。
でも、湿度の高い暑さですので、北海道らしいカラッとした天気とはまるで違います。

こんな天気ですので、今年の5月に行った斜里岳の雪景色をお楽しみください。


 羅臼岳の南西ルンゼを滑り終えた私達は、そのまま斜里岳の麓にある清里町へ車を走らせます。
 清里町に着くと真っ直ぐに斜里岳の登山口を目指します。
斜里岳の登山口から先の林道にはゲートがありこのゲートは山開きまで開いてくれません。

 今回私達は、このゲートの左手にある林道を車で入れるところまで詰めて、
そこから沢沿いに山頂を目指す計画を立てました。
地図により確認するとその方が林道を歩くより速く登れるのです。

少し林道を走ると右手に見える沢が1の沢から続くチエサクエトンビ川なのです。
2~3キロ走るとその先の林道には雪が残り、車で走ることができなくなります。
この地点を地図で確かめます。
沢の状態を確認すると残雪で埋まっています。

ここまで確認してから、今晩の宿とするJR清里駅前へ向かいます。
清里駅前の広場には立派な名トイレもあり車中泊するには十分です。


 5月3日、浅めを覚まして外を見るとどうやらいい天気のようです。

 早速朝食を食べて登山口へ向かいます。

 登山口から左手に続く林道を入り昨日確認した地点に車を駐車します。

 5:45分、沢の中に入り、スキーを付けて歩き出します。
最初は沢の中を歩いていたのですが、どうやら左岸の方が歩きやすそうです。
右岸は植林された針葉樹林が続いており、左岸は雑木林が続いています。
沢から左岸にあがってみると雑木林の中に林道らしい道の跡があります。
この発見にすっかり気をよくして林道跡を快調なピッチで歩きます。

 6:30分に除雪された林道との合流点にたどり着きます。
ここまで来ると清岳荘ももうすぐです。

 7:20分、旧清岳荘跡までやってきました。
林道はここが終点となっています。
ここからは1の沢を忠実に辿って山頂を目指します。

しばらく沢を登っていると雪崩の跡が見えてきます。
どうやら表層雪崩の跡のようでデブリが沢を埋めています。
    
    連休前に降った新雪が雪崩となって落ちたようです。
この地点は昨年にも同じように雪崩れた跡があった場所です。

    
    デブリの到達点から雪崩れ発生地点を俯瞰した写真です。

今年はこの先にも2カ所ほど雪崩れた跡がありました。

昨日の疲れも感じず、順調に進みます。
暑さのため汗がダラダラと流れてきます。
(清里町に下山して聞いた話では、この日の気温が25度近くあったとのこと。)

 8:10分、下二股に到着です。
   
   下二股から見た山頂です。
   右手最奥に見える半円状の真っ白なコブが山頂です。

 ここまで歩いてきた感じでは、雪の量は昨年並みといったところでしょうか。

 さて下二股から狭くなった沢沿いを進みますが両岸が切り立ってきます。
その中をジグを切ってドンドン高度を稼いでいきます。

 上二股あたりで少し沢が開いているところがありましたが、
気を付けていればスキーで下るにも支障はありません。

 上二股を過ぎると遙か先に見える馬の背まで大斜面が目に飛び込んできます。

 10:00丁度、馬の背に到着です。
ここまで来ると東側の視界が一気に開けます。
海別岳から知床の山並みが見えてきます。
しかし、国後島は霞がかかって見えません。

馬の背にスキーをデポして、ここからはアイゼンを着けて山頂へ向かいます。
慎重に登って10:55分、山頂に到着します。

山頂からは南斜里岳から摩周湖、屈斜路湖などが見えています。
摩周湖の中島までがハッキリと見えています。

 それでは山頂からの景色をお楽しみください。

   
   すぐ隣に見える海別岳です。

   
   南斜里岳です。
   この山裾からスノーモビルが入ってきているようで、馬の背までモビルの跡がありました。

   
   この左手に続いて下っている尾根が西尾根です。
   通常、残雪期にはこの尾根を使って清岳荘から登るのが一般的だと
   言われていますが、私は登ったことがありません。

 山頂から下っていると馬の背を登ってくる単独の男性の姿が見えました。
途中でお話を聞くと、日高へ行っていたが天気が悪いのでこちらへ転進したとのことです。
今日は、根北峠からツボ足で歩いてきた様です。

 馬の背でスキーを付けると一気に1の沢目座して降ります。
どちらへ曲がっても問題のない大斜面を自分の技量に合わせて降ります。
アッという間に上二股です。
 新雪に何度か足を取られ頭から転びました。

 そこからは、足が疲れガクガクになるのをだましだましスキーを滑らせ、
11:45分には下二股到着です。

ここでゆっくり休憩を取ってさらに降ります。

13:25分には車を止めた場所へ戻ってきました。

やれやれ、これで長い下りも終わりです。

この2日間、好天に恵まれこれ以上ないスキーが楽しめました。
満足、満足な山スキーでした。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

   今回のGWは好天にも恵まれ羅臼岳、斜里岳でスキーを楽しむ
  ことができました。
  
   昨年に引き続き同じ山に登ったわけですが、昨年はツボ足で
  今年はスキーですから、また、違った楽しさがありました。

   それにしても斜里岳を走っているスノーモービルには怒りを感じます。
  もう少し良識を持ってモービルで遊ぶことはできないのでしょうか?
  こんな事を繰り返していると、ドンドン自分達の使えるフィールドを
  狭くしてしまうのではないでしょうか?

   


 

残雪期の羅臼岳 ・ 10’5月

2010-05-11 20:39:34 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
今年のGWも羅臼岳と斜里岳へ向かいます。
連続3年目の山々です。

今回の羅臼岳は知床峠から見ると正面に見える南西ルンゼを詰めて
山頂まで行こうという計画です。

ご存じのとおり知床峠は深い雪に覆われています。
さらに4月末でも雪が降るという大変な土地です。
今年の4月は寒い日が続き、案の定、4月下旬に雪が降ってしまいました。

5月1日にやっと知床峠が開通しました。
午前10時から午後3時30分までという時間制限があります。
この時間内に山頂へ登りゲートが閉じられる前に山を降りなければいけません。

したがって、機動性を持たせるためにスキーで挑戦することにしました。

5月1日の夕方札幌を発ちます。
今回は高速道路で丸瀬布町まで走り、ここから下道を佐呂間、端野、
網走を抜けて斜里町ウトロにある道の駅を目指します。

途中、丸瀬布町で休んだ他は走りに走り、何と11時前にウトロにある
道の駅に着いてしまいました。
6時間弱で走り抜いてしまいました。

今回は、スキーの名手S氏と二人での山行です。
S氏の車はワンボックスカーであり車中泊が出来ます。
今回はこの車のお世話になりながら2泊3日の山行となります。

2日の天気予報は、晴れるけれど風が強いという予報です。
明日の好天の祈りつつ、車の中で眠りにつきます。


2日の朝、目を覚まして外を見るといい天気です。
この天気に心が騒ぐのですが、10時に知床峠へ向かう横断道路の
ゲート開門は10時です。
まずはゆっくり朝食を取って準備します。

9時少し回ったところでゲート前へ向かいます。
ゲート前には、すでに車列が出来ています。
峠にある駐車場に止まることが出来るか心配になってきます。
峠の駐車場に止めるのに手間取ると登る時間が少なくなるからです。

10時、ゲートが開く車が一斉に峠へ向かって流れます。
少し登ると左手に羅臼岳が見えてきます。
山頂に笠雲をいただいていますが何とかなりそうです。

知床峠に着くと何とか駐車場に止めることが出来ました。
早速登山準備をしていると回りにも何組みかの人達がスキーを出したりして
登山準備をしています。

10時30分、いよいよ目の前に見える羅臼岳目指して歩きます。

    
     知床峠から見る羅臼岳は左右対照的な姿をしており富士山のようです。
     山頂から真っ直ぐに雪で真っ白な沢形が見えますが、これが南西ルンゼです。
     知床峠から山頂までは約4キロの道のりです。
     昨年は、岩尾別から夏道沿いに登り約6時間の行程でした。

 さて、先行する3人組の後を追うようにスキーを滑らせます。
天気予報とおり時折強い西風が吹き付けてきます。

雪の状態は、クラストした古い雪の上に先週降った新雪が数センチ残った状態です。
古いザラメ状の雪の上に降った新雪が歩くにしたがってバシャーと辺り一面
鳴り響くような音を出しています。

どうやら、霜ザラメの層が歩いている刺激で崩れている音のようです。
歩いている場所はまだまだ平らなところですので雪崩の心配はありませんが
もし、南西ルンゼの中でこのような雪の状態であれば雪崩の心配があると思い
注意しながら高度を上げていきます。

    
 30分ほど登って後ろを振り返ると知床峠の駐車場とその向こうに天頂山、
さらにその奥に知西別岳などが真っ白く輝いています。

 南西ルンゼの入り口に近づくとだんだん傾斜が増してきます。
表面のクラストした斜面にスキーのエッジのかかり悪くなるのでスキーアイゼンを着けます。

 南西ルンゼにはいると風が強くなってきます。
さらにその風がルンゼに中を舞い上がり上下左右いろいろな方向から吹いてきます。
クラストした斜面にジグを切りながらジリジリと高度を上げていきます。

雪の状態を見るとしっかりとクラストした斜面にところどころほんの少し新雪が残っているだけです。
この状態であれば雪崩の心配はないでしょう。

   
 南西ルンゼを半分以上登ったところです。
巨大な雨樋の中を登っているような感じがします。
かなり高度も稼いだのでそろそろスキーをデポしようと思い、
その場所を探しながら登ります。

  左右に岩が出てきたのでこの辺りでスキーをデポします。
上を見ると、山頂部へ続くヘリの部分が見えてきました。
   
   この大きな岩の右手を目指して、ここからはピッケルとアイゼンで登ります。
 
 約20分ほどで山頂部へ続く窪地に到達します。

ここからは山頂となる大きな岩が見えています。
   
   ここからの斜面はところどころ凍った斜面となりアイゼンなしには登れません。
  風は左手の斜面が防いでくれています。
     
     山頂の手前にある岩陰で休みます。

 ここから15分ほどで山頂へ到達しました。
しかし、山頂が吹き上がる風で吹き飛ばされそうです。
狭い岩の上が山頂です。
知床峠から約3時間で登りました。

山頂は雲の中で視界が5メートルほどです。
対風姿勢を取っていないと本当に吹き飛ばされそうですので
風の息を利用して直ぐに降りてしまいます。

 南西ルンゼの最上部に戻ると目の下に素晴らしい景色が広がっています。
     
      この斜面をスキーで下るのかと思うと楽しさより恐ろしさが
     先に浮かんできます。

 スキーをデポした地点まで、アッという間に下ります。
     
     私達よりしたにスキーをデポした人達が下っていきます。

 さあ、ここから南西ルンゼを大滑走です。
最初の一回りをするまで恐ろしさが先に立っていましたが、
1回目の回転をすると思いの外スピードが出ないので心に平静が戻ってきます。

そこからは楽しい世界が待っていました。
あれほど苦しい思いをして登った南西ルンゼですが、スキーで滑るとアッという間に下れます。

 ただし、雪の状態は下に行くほど最悪です。
それは、先週降った新雪に入るとスキーがまったく滑らなくなるのです。
マルでブレーキを掛けられたようになるので、必死にバランスを取って滑ります。

 南西ルンゼを滑っているとヘリコプタがだ飛んできて、私達の頭上でホバリングをしています。
どうやらテレビ局の取材ヘリのようです。
私達が南西ルンゼを滑っているところを写しているのでしょうか?

 ルンゼを通り抜け、カンバの疎林を滑り辺りが平らになってくると知床峠が間近に見えます。
そろそろ、私達の南西ルンゼを滑った山行も終わりに近づいたのです。

 山頂から1時間で知床峠へ帰って来ました。
時計を見ると2時30分です。
峠のゲート閉門時間1時間前です。

 スキーを車の中へしまい、最後に今滑ってきた南西ルンゼを見上げて今日の登山は終わりです。

 さあ、ここからは次の目標である斜里岳へ向かいます。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

  実は、昨年のGWもこの羅臼岳に登っています。
 昨年は岩尾別温泉から夏道を登りました。
 この昨年のことについては、後日、あらためて書こうと思っています。

  今回は、知床峠にいられる時間が5時間30分ということで
 スキーを使っての登山となりました。

  今年から本格的に始めた山スキーの最終を飾るにふさわしい山でした。
    


 

羅臼岳へ ? 08’4月

2008-05-05 21:35:34 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
低気圧が北海道へ来ているので天気が良くないと
思っていたのに、朝、目を覚ますと青空が広がっています。
これは行かずばなるまいと、あわてて朝食を取ります。
朝食は、ユースには頼んでいないので、カップ麺とおにぎりで
簡単に済ませます。

登山口へ車を走らせ、木下小屋へ着きます。
木下小屋は、閉じていると思ったのですが煙突から煙がでています。
観光協会では6月から開くといっていたのですが、
どうやら、小屋は開いているようです。

6:50分、登山口を出発です。
登山口から、すぐ、雪道となります。
ここからオホーツク展望台までは、ジグザグの山道です。

雪のため登山道がわかりずらいのですが、かすかに残っている
トレースをたどって登っていきます。
どうやら、羅臼岳もこのシーズンは入る人が少ないようです。

7:30分、オホーツク展望台に着きます。
眼下に海が広がり天気はいいのですが、
時折、強い風が吹き歩くのを止めていると寒いくらいです。

ここから、弥三吉水に向かって歩きますが
トレースがほとんど無くなりコースが良く分かりません。
このコースを歩くのも本当に久しぶりですので、
地形が思う出せず思うように歩けません。

弥三吉水の手前で、コースを見失います。
地図を見てコースを決めますが、このあたりから
足の動きが重きなってきます。
どうやら、昨日の疲れが残っているようです。

目の前には羅臼岳が見えていますが、その山頂に雲がかかってきます。


左側を見ると硫黄山が見えています。


突然、強い風が吹き山頂が見る見る雲に覆われ、雪が降ってきます。
これからの天気を考えると、予報でも崩れるといっているので
体調も考え、ここから下山することにします。

私達には、ここから、まだ、3時間は掛かりそうな山頂まで
行く体力はないようです。

その結論を出した以上、速やかに退散するのみです。

冷たい風に背中を押されるように下山します。


羅臼岳・ユースに泊まる ・ 08’4月

2008-05-03 22:08:02 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
斜里岳を下山して、羅臼岳への登山口となるウトロの岩尾別へ向かいます。
今日の宿は岩尾別にあるユースホステルに泊まります。

ユースは冬の間の休業期間を終え昨日から
今年度の営業を始めています。
夕食は別料金でしたがイバラガニが食べ放題、
ブリをしゃぶ、お刺身、そして握りで食べます。
その他にはイクラもあり、飲み物もお酒、焼酎ビールなど
飲み放題です。

お腹一杯食べて、明日の羅臼岳に備えます。

ただし、天気はあまり良くないようです。

さて、ここでユースホステルについて紹介します。
ユースホステルは、昔、若者で溢れていた時代がありました。
北海道にもカニ族なる言葉が流行したときです。

安い料金で泊まれるが、男女別に相部屋となること
夕食後にミーティングがあり自己紹介や歌を歌ったりと
楽しいことがあったのですが、お酒が飲めないとか
規則がうるさいなどといわれ、高度成長に向かい
自然と若者の足が遠のいて随分廃業した宿があります。

しかし、今でもしっかりと生き残り、
最近は規則も緩やかになり
お酒も飲めますし、ミーティングも自由参加
(無いところのあります。)となり、
なかなかいい宿となっています。

私がユースを利用する理由は3つあります。
まずは料金が安いことです。
食事も豪華ではありませんが自分の家で食べているような
普段の食事が取れることです。
最後の理由は、地域情報が満載だと言うことです。

宿泊客同士の情報もありますが、宿の人達から
いろいろな情報を得ることが出来ます。
これが、ガイドブックにも載っていない旬な情報が
すぐ手に入ります。

こんないい宿を利用しない手はありません。

最近は若者に混じって私達のような年寄りの利用も
増えているようです。

機会があれば、ぜひ、泊まってみてください。

反省~ぃ! ・ 08’4月

2008-05-02 20:45:33 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
今回の斜里岳は一歩間違えると遭難の恐れがありました。
それは、道迷いが原因です。

道迷いの原因は、ガスの中とはいえ読図力が
不足していたからです。
もっと地図をよく読んでいれば旧道へうまく達することが
出来ていたかもしれません。

特に、新道を歩いていった先で沢にぶつかったときに
すぐにこれが旧道だと判断したのが、一番大きな間違いでした。
これが一番の反省点です。

しかし、ハイ松の尾根を降ったときに、ガスが少し薄くなり
下の方へ降りるにしたがってハイ松の丈が高くなっていることを
見つけたときに引き返す判断が出来たのは、最良でした。

ピッケルアイゼンのほかにツエルトも持っているなど
レスキュー装備もしっかりしており、食料も十分にある。
時間も昼前でしたので、悪天候にもかかわらず冷静な判断が
出来たと思います。

心の余裕が、一番大切だということをあらためて認識しました。

この体験を糧に、一層の安全登山を心がけます。



山頂はどこだ~ぁ! ・ 08’4月

2008-05-01 20:52:24 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
新道を上二股に向かって歩きます。
ガスが深くなってきて視界が利かなくなってきます。
しばらく歩くと沢に着きます。
雪で埋まったいる広い沢です。

私はこの沢が旧道だと思いました。
この沢を右手に登っていけば馬の背に着くはずです。

沢をドンドン登っていくと傾斜がきつくなってきます。
雪の表面が堅く、キックステップではきつくなってきたので
アイゼンを付けます。

ピッケルとアイゼンを使ってドンドン登っていきます。
馬の背に出てしまうと風が強いので、それを避けるように
稜線とおぼしきところの左手を目指してドンドン行きます。

やがてハイ松が現れ、それをくぐり抜けると
コケモモの群落がある尾根にたどり着きます。

コケモモの赤い実が沢山なっています。
秋に付いた実がそのまま残っているのです。

この尾根を左手にあげれば神社のある尾根にたどり着くと思い
急な尾根を登ります。
やがて踏み跡が現れ、歩くにしたがってそれがはっきりした道となってきます。

しかし神社が現れてきません。
尾根も狭く切り立った状態になってきます。
記憶の中にある本峰に続く尾根の様子とは違います。

そのまま北へ向かって歩いていくと小さなピークがあり
そのピークには標注があります。

ここで、またしても道が違うことに気が付きました。
さて、さて、地図を出して歩いてきた道を思い出すと
どうやらここは1508mのピークのようです。

このまま北へ向かって進むと馬の背の右側にあるピークへ
続くと思い、踏み分け道を進みます。

ハイ松が現れてくると突然踏み分け道が無くなってしまいます。
視界の悪い中、道を捜してみますが、どうもはっきりしません。
背丈の低いハイ松ですので、そのうち道が現れると思い
ドンドン降ります。

ハイ松の丈が高くなり歩きづらくなってきます。
ガスが一瞬薄くなり下の様子が見えたとき、
ハイ松がさらに下の方まで続いているようです。

ここで、引き返すことにしました。

登り返しのハイ松に手こずりましたが、何とか元の道へ戻ることが出来ました。

コケモモの尾根からドンピシャで登ってきた沢にたどり着きます。

ここをドンドン降っていくと旧道へ突き当たると思い
残雪で一杯の沢を降ります。

突然、目の前に滝となって流れる沢が現れます。

この沢をよく見ると、登山道が見えるので旧道に間違いがありません。

でも、この様子は何といえばいいのでしょうか。
私の記憶には、このあたりは「雪で埋まっている沢」というものです。
でも、目の前に広がる沢の様子は、まるで6月の沢のようです。

沢の両岸にはかろうじて残雪があるので、このまま降ることにします。
右岸、左岸の残雪をたどりながら降りていきます。

やっと目の下に雪で一杯の沢が現れてきます。
この沢に降りてホッと一息です。

ここでよく見ると、下二股から注意していた地点は
沢水が滝のように流れているのです。
これでは、私の記憶とまるっきり違うのでこの沢が旧道だと
思うことは出来なかったのです。

テントサイトまで重い足取りで戻ります。

この雪の少なさは地球温暖化のせいなのか?
40年振りの残雪の斜里岳では、結論の出しようがありません。

来年、再度挑戦することを心に誓い、斜里岳を下ります。

いよいよ山頂へ向かって ・ 08’4月

2008-04-30 21:49:13 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
朝5時に起きます。
昨夜は久しぶりに沢音とゴーッと吹き抜ける風の音、
さらに、深々と凍みてくる冷気のせいで熟睡できませんでした。
でも、体調はマアマアのようです。

テントから空を見ると曇り空ですが、風も落ち着いているようです。

6時に勇躍テントサイトを出発です。
沢に沿って歩いていくと残雪の隙間から沢が顔を出し
水音を聞かせてくれます。

少し登ると清岳荘に続く林道に出ます。
この道を20分ほど歩いていくと目の前に雪に埋もれていますが
立派な鉄筋造りの清岳荘が見えてきます。
あまりの立派さに山小屋とは見えません。
どこかの研修施設のような作りです。

右手に山を少し下ると昔の清岳荘が経っていた場所へ続く林道に出ます。
この林道から見える一の沢も所々沢筋が顔を出しています。
どうも、昔に比べると随分好きが少ないようです。

20分ほどで林道に終点、昔の清岳荘の跡に着きます。
このあたりの沢も所々水音が聞こえるほどです。
昔は、このあたりに来ると3メートルほどの雪が
沢を埋めていたと思います。
その雪を掘って水の確保をするのが、大切な仕事でした。

ここから沢筋に沿って歩きますが、顔を出す沢に行く手を阻まれ
右岸に左岸に開口部をかわしながら7時10分、下二股に着きます。

左またの奥には、懐かしいジャンダルムがどっしりと構えています。
その奥に雲に隠れた本峰があるはずです。
右股二コースを取り沢筋にしたがって歩く旧道を登ります。

下二股少し行った先で右岸に滝の様になっているところを
登らなければなりません。
昔の記憶でも、このポイントがわかりずらいところなので
注意しながら歩いていました。

でも、右岸には滝となって流れ落ちる沢がありますが
これが旧道とは思えません。
この沢の少し上流に中央部は滝となって流れていますが
両方に残雪が張り付いている沢があるので、
この沢が旧道かと思い登ることにします。

傾斜がきついのでアイゼンを付けます。
う~ん!アイゼンを付けて登るのは40年振りです。
ちょっと緊張します。

アイゼンを利かせて沢の右手にある残雪を登ります。
滝を乗り越すと、あとは沢一杯に残雪が残っています。
そのまま快調に登っていきますが、どうも旧道とは違うようです。
記憶にある沢の様子が違うのです。

でも、途中で下るわけにも行かずそのまま稜線を目指して登り続けます。
僚船が近ずいてくるにしたがって傾斜がましてきます。
ガスが掛かった先にハイ松が見えてきます。

岳カバの密集する枝を避けながら、やっと、ハイ松の稜線に
たどり着くと、何とそこには立派な登山道があるではありませんか。

ここで完全にルートを間違っていることに気が付きました。
この稜線上の登山道は下二股から上二股へ続く新道なのです。
稜線は風が強く、その風に雪が混じり体温をドンドン奪っていきます。
これからのルートを検討するために休憩を取ります。


登山道には全く雪がありません。
ここは慎重にこれからのルートを確認しなければなりません。
写真はハイ松の陰で風を避け、地図を見ている私です。