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大江健三郎「叫び声」

2012年07月09日 | あ行の作家

 

講談社文芸文庫

1990年3月 第1刷発行

2011年4月 第9刷発行

解説・新井敏記

210頁

 

底本・講談社文庫 1971年9月刊

 

単行本が出たのは1963年

この時期に発表された作品を読むのは初めてです

伊坂幸太郎さんが学生時代に手にして夢中になったとのこと

わかります

特に男子には、まるで自分のことが書かれているかのように感情移入して読めるのではないでしょうか

 

 

高校時代に経験した娼婦との交わりから梅毒の幻影にひきずりまわされていた「僕」

大学生になり、学生診療所でめぐりあった医師に紹介されたのがアメリカ人、ダリウス・セルベゾフ

日本人の不幸な青年を救済し、彼の借りている家で共同生活をし、一緒にヨーロッパ一周のヨット旅行に連れ出す計画を立てているのだという

他のメンバーは

父が黒人、母が日系移民、いつかダリウスのヨットに乗って父の故郷・アフリカに行くことを願う「虎」

在日朝鮮人、16歳の冬に根室の納沙布岬から盗んだ伝馬船で出港した経験のある「呉鷹男」

 

ダリウスがある事件を起こし国外退去となったことで彼らの夢は潰えます

ヨットの完成を待つ、夢を追いかけているようなフワフワとした前半より、ダリウスが去った後の3人の挫折と破滅を描いた後半を興味深く読みました

悪漢小説、青春小説、そして「僕」の成長小説です

 

 


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