平安寿子「Ｂランクの恋人」

短編集です

表題作
Ｂランクの恋人
どうせあなたはＢランク、本命じゃないのよ
と彼女から手厳しい評価を受ける七塚次郎
Ｂランクでいいさ、そんなのお互い様じゃないか、大体世の中Ｂランクのほうが数が多い、俺の網にかかる女の数も半端じゃないってことだ
と嘯く
平さん、こういうシチュエーション得意です
こういう男（女）許せない！嫌い！って人、特に若い人には多いんじゃないかな

でもね
年を重ねるとね
こういうの解るんですよ


アイラブユーならお任せを
幼い頃から「愛してる」口稽古を重ねてきた信友
しかし今では結婚して23年になる妻との会話もままならない
妻とまともに会話する習慣を失くしたのが原因ではあるが、聞いてくれなくても言うことはできたはずだ、さぼっていた、悪かった、人間死ぬまで修練を怠ってはならない



利息つきの愛
年齢不詳、還暦は過ぎているらしいゲイのコーちゃん
洋服店を営む、やはりゲイのくうちゃん
この二人に恋愛について、言いたい放題言われる美和
あんたはケチンボ、利息のつかない愛情は預けられないんだ


サンクス・フォー・ザ・メモリー
20歳で結婚してすぐ脳梗塞で倒れた義父の世話が始まったアッちゃん
2年間世話をした義父が亡くなり、葬儀の席に現われた義姉といざこざが始まる
これ、西加奈子さんに似た雰囲気です
最後は、アッちゃん、よく言った！よかったね！


他3編も
クスリと笑える
有り得ないでしょ
ちょっと身につまされる
恋人、夫婦、親子の人生

人間
正直すぎるのもどうかと思うけど
世の中で一人くらいには素の自分を曝け出して本気でぶつかっていきたいよね