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梨木香歩「沼地のある森を抜けて」

2010年09月14日 | な行の作家

両親は既に亡く、独り暮らし、化学メーカーの研究室に勤める上淵久美は叔母の急死により、ぬか床を預かることになる
なんと、その先祖伝来のぬか床からは人が生まれ出てくるのだ

最初は、幼なじみのフリオの少年時代の姿をした子供
次は、口だけしかないのっぺらぼうの女


同じ化学メーカーの別の部署で働く、実家の両親の影響で『男をやめた』風野さんと一緒に曾祖父母が生まれた島を訪ねる

合間に3章挿入されている
「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」
ぬか床の中の微生物の始まりの物語なのか宇宙の果てで最初に生まれた細胞の話なのか

細胞、酵母や微生物から宇宙、哲学、民族、環境破壊、生物の進化など
どんどん話のスケールが大きくなっていきますが、ラストには見事に収束します

今まで読んだ梨木さんとは少し違う雰囲気でした
命、性、他人と自分の境界

すごく力の入った作品だと思います


今、生まれんとする命は
壮大な命の流れの最先端に独りで立つ
輝く生命なのです




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