読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」

2010年02月08日 | あ行の作家

伝説のチェスプレーヤー
リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡

美しい文章で語られるストーリーは場所や時間がはっきりしない不思議な雰囲気の中でもリアリティに溢れていて読者を厭きさせない


唇を持たずに産まれてきた少年
少年の友達はどこへも移動しない人ばかりだった
動かないバスに住んでいたマスター
屋上に住んで地面には降りてこなかった象のインディラ
窮屈な空間に閉じこもっていたミイラ


アリョーヒンの名に相応しい素晴しいチェスを指しながら、人形の奥に潜み、自分など初めからこの世界にいないかのように振る舞い続けた棋士
もし彼がどんな人物であったか知りたければ、どうぞ棋譜を読んでください
そこにすべてのことが書かれています


読書とは、このような小説を読むことでしょう
幸福な時間でした


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画・ゴールデンスランバー | トップ | 白石一文「この胸に深々と突... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (itchy1976)
2010-07-06 19:41:47
itchy1976です。

もう少しチェスについてわかればよかったかなと思いました。私はチェスの海に浸かっただけでした。

これからもよろしくお願いします。
返信する
itchy1976さん (こに)
2010-07-07 19:50:28
チェスを知らなくても楽しめる、という感想もありますが、やはり知っていた方が気持ちが入り込み易いでしょうね
幸い私は学生時代にチェス大好き教授の授業でチェスを知ったので存分に楽しめました
(^^)
返信する
Unknown (なな)
2011-04-19 12:43:01
こんにちは。
お返事が遅くなってごめんなさい。
チェスを盤におく音が聞こえてくるような気がしました。
いつまでも余韻に浸っていたい物語でしたね。
返信する
ななさん (こに)
2011-04-19 20:36:40

日本か東ヨーロッパかロシアか
よくわからないけれど惹き込まれる
素晴らしい小説世界でした
返信する
コメント、TBをありがとうございます。 (narkejp)
2012-09-17 19:54:55
ほんとに不思議な読後感でした。「博士」のときは、まだ日常性がありましたので、親しみを感じましたが、今回はチェスという馴染みのない世界で、とまどいました。楽譜の美しさよりも、実際の音の響きに幸福感を感じる方ですので、棋譜の美しさと言われても、なかなかピンと来ませんでした。
返信する
narkejpさん (こに)
2012-09-18 16:40:12
「博士の愛した数式」は売れて当然の内容でした。
本書のような作品こそ小川さんの真骨頂ではないかと思います。
でも、基本にブレは無く、棋譜の美しさと数式の美しさは同じものなのでしょう。
自分のような素人には何のことやら、ですが小説世界を楽しむ、というところです。

返信する

コメントを投稿

あ行の作家」カテゴリの最新記事