ちくま文庫
2002年10月 第1刷発行
2010年7月 第9刷発行
解説・和田忠彦
雑俎・平山三郎
370頁
なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う
道づれは、いつものヒマラヤ山系氏
大阪、九州、東北を目指す百先生
お金が無ければ借金をしてでも一等車に乗る
観光地を目指す旅ではなく、ただただ汽車の旅を楽しむ紀行文集です
駅、車内の人間模様
車窓からの眺め
宿泊先の旅館の風情
ヒマラヤ山系氏との噛み合っているのだかいないのだかよく分からない会話
さらりと書いてあるようで実は奥深い
素晴しい観察眼でもって緻密に描かれている旅行記
自分が訪れたことのある場所が出てくると、ありありとその時の情景が浮かびます
こんな贅沢な旅をしてみたいものですね
私の大好きな本でもあります。
惜しむらくは比較的入手の容易なちくま文庫版、新潮文庫版は共に現代仮名遣ひに改惡されてゐる点で、どうしても気分が足りなくなつて仕舞ふ…隔靴掻痒と云ふやつですね。
古本屋で偶に、旺文社文庫版を見掛ける事がありますので…私は上手いこと、こちらで全巻揃へました…縁があればこちらを眺めて見てはと思ひます。
中公文庫に収載された百先生は、ちやんと歴史的仮名遣ひで、ここに阿房列車が収められてゐないのが不思議です。
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ところで長の無沙汰を致してをりました。
お元気そうで何より
天衣無縫
おおらかな人間性が垣間見えますね(というより前面に出ていますね)
ちくま文庫でも北村薫、宮部みゆき両氏編による短編集では百先生の作品(とほぼえ)は旧仮名遣いのままなんですよ
百先生が新カナを死ぬほど嫌がっていたということで先生へのリスペクトの意味もあるようです
出版社には、読者に受け容れられるかどうか、が重要なところなのでしょうが