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宮部みゆき「天狗風」

2009年11月15日 | ま行の作家
"霊験お初捕物控"第二弾

捕物帳+超能力+オカルト
「天狗風」では内側に暗い部分を抱える人間の深層心理に踏み込んでいきます


嫁入り間近の娘が神隠しに会う事件が続発

自分の美貌にしか目を向けず、不幸のうちに亡くなった女

奉行
どうやらこの天狗は、いつまでも若く美しくありたい、そうして現世でそれを享受したいという思いが凝り固まって生れた妄念の化け物であるようではないか。では、そういう妄念を抱く亡者に魅入られ、憑かれ、足場として操られてしまう娘さんとは言えば、どんな娘さんであろうな?

右京之介
むしろとても地味で姿形に自信のない娘、しかもそれでいて女子は姿形の美しさにこそ価値があり、そうでなければならぬと思い込んでいる娘。

奉行
そのとおりだ。そういう娘は心の底に天狗の妄念と同じ琴線を持っておる。だから共鳴し、憑かれてしまうのだ。


怖いです


オカルト的なものを一切信じない、事件には全て裏付けがあるとして取調べを進める同心
倉田主水
鬼神よりももののけよりも恐ろしいのは人間の方だ。都合の悪いこと、見たくないもの、聞きたくないことを不思議話の中に押し込めて、自分にも世間にも嘘をつき通す。人間ほど恐ろしいものはない。私は北町奉行所の同心として、この十手にかけて、そのような人間の嘘がつくりだす、まやかしの鬼神やもののけと闘おうと思った。それを心に誓ったのだ。

これもまた怖い


物語は桜の花の季節
桜の花には、日本人の感性に結びつく独特の感情が入り交じります

満開の桜の枝の間から見える娘の顔
想像しただけで身震いします

宮部さん、上手いですね



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