ひさしぶりの電話
「父さん、おれだよ、おれ」
信雄を“父さんと”と呼ぶのは、一人息子の
勇一だけだ。
「どうした勇一。いきなり電話なんかかけて
きて」信雄は独り暮し。ひさしぶりの会話に
声も弾む。
「実は父さん、会社が倒産して生活に困って
るんだ」
「そうか。そっちでも、そんなことがあるの
か。わかった、すぐ金を送る・・しかし、勇
一、かあちゃんが死んで二年になるぞ。あの
時は、お前の住所がわからず連絡もできんか
った」
思わず、涙声になる信雄。
「ごめん、父さん。生活のメドがついたら、
線香上げに帰るから」
「え、帰るったって、勇一、お前は交通事故
で死んで、葬式も済ませたじゃないか。いっ
たい、どこから電話してるんだ?」
通話はコトリと切れた。
「父さん、おれだよ、おれ」
信雄を“父さんと”と呼ぶのは、一人息子の
勇一だけだ。
「どうした勇一。いきなり電話なんかかけて
きて」信雄は独り暮し。ひさしぶりの会話に
声も弾む。
「実は父さん、会社が倒産して生活に困って
るんだ」
「そうか。そっちでも、そんなことがあるの
か。わかった、すぐ金を送る・・しかし、勇
一、かあちゃんが死んで二年になるぞ。あの
時は、お前の住所がわからず連絡もできんか
った」
思わず、涙声になる信雄。
「ごめん、父さん。生活のメドがついたら、
線香上げに帰るから」
「え、帰るったって、勇一、お前は交通事故
で死んで、葬式も済ませたじゃないか。いっ
たい、どこから電話してるんだ?」
通話はコトリと切れた。