音楽の力

ぼくは音楽が好きだ。たぶん明日一日メシなしか音楽なしかと選択を迫られたら、きっとメシなしの日を選ぶだろう。スポーツジムのプログラムに行き続けているのも、たぶん49％はでかいスピーカーで音楽を聴けるからだ。体も気持ちも躍動するし、新しい曲やアーティストとの出会いもある。

昨日、深夜にある登山家のドキュメントを観た。山には四季があって、山一つ一つにも異なった表情がある。冬の山や、岩壁の山に登るときはまさに自分との対話だという。まったく音のない世界。風が吹いて、足音がする。ときに虫や鳥が鳴くかもしれないけど、次の行為は空を見つめ、足元を確認し、自分が決めていく。そこには雑音はない。登山家にはそれぞれ自分のルールがあって、瞬間瞬間に目の前の山に問いかけ、次の歩を進める。

もしぼくが登ったら、どこかの瞬間で耳の奥に音楽が鳴り響くかもしれない。静寂の中の音楽。重力に背いて登っていく、または命がけで下りていくことの自由の賛歌かもしれない。山に登りたいという気持ちがむくむくと湧いてきた。何か自然に挑戦してみたいと激しく思う自分に少し驚いている。