イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

法隆寺へ行く

2024年05月03日 | Weblog

この本を読んでからずっと法隆寺に行きたいと思っていた。特に救世観音像が一般公開されている期間のたびに今度こそ絶対に行くのだと思いながら10年の時が過ぎていた。
そしてもうひとつ理由があった。それは50年前の出来事が原因である。多分、和歌山市内の小学校だけの行事だと思うが小学5年生になると“奈良遠足”というのがあった。バスに乗っての長距離の初めての遠足なのだ。バス酔い対策だといって事前に催眠術師を呼んで希望した生徒に催眠術をかけるなどというオカルトチックなこともやっていた。

どんな順序で奈良を巡ったのかというのはまったく覚えていないけれども法隆寺を訪れた時、僕はクラスの集団から迷子になってしまうという失態を演じてしまった。法隆寺という寺院はかなり広い寺院で、それも拝観場所というのが一か所ではなくて、夢殿などは一度伽藍を出てかなり歩いてゆくようなところなので、ボ~っとしている間にクラスの集団がどこかに行ってしまったのだと思う。
迷子になったのは僕だけではなく、その時のクラスで、スポーツ万能、勉強もトップという“クボくん”というクラスのヒーローとなぜか一緒に迷子になってしまった。彼も去年か今年還暦を迎えたのだと思う。僕は人生でも迷子になってしまったが、やっぱり彼はヒーローらしく立派な大人になっているのだろうか・・。
とにかくクラスのみんなを探さねば置いてきぼりになってしまうとクボくんとふたり、焦りながら(多分・・)あちこち探し回ってやっとみんなを見つけることができた。
あの時代は先生もおおらかというか、クラスの人数も多かったからふたりくらいいなくなっても知らんぷりだったのだろう。しれっと元の集団に紛れ込んで事なきを得たが、おかげで法隆寺では何を見ることもできなかった。もちろん、説明を受けながら見学したとしてもアホな小学生には何もわからないし何も記憶に残るものはなかったのだとは思う。

だからもう一度きちんと法隆寺を見ておくべきだとそれ以来50年間(というのでもないが・・)思っていたが、梅原先生の本を読んでその思いがもっと強くなってきていた。

拝観は午前8時からできるらしく、ゴールデンウィークの混雑を避けるため始発電車で法隆寺に向かった。



法隆寺までは意外と近くて、ちょうど2時間で到着してしまった。通勤時間とほとんど変わらない。

西院伽藍の金堂には国宝の釈迦三尊像が安置されている。



飛鳥仏独特の表情を持った仏様だが意外と小さな仏像であった。



順路では大宝蔵院が先なのだが人の少ない間に救世観音像を拝もうと先に夢殿に向かった。



初めて拝む救世観音像は厨子の奥にひっそりと佇んでおられるが暗くてあまりよく見えない。その分、秘仏の神秘がムンムンしている。



何かの力が働いているのか、やってはいけないと思いながらも写真に収めたくてシャッターを切ったのだが、なぜだか切れないのだ・・。少しゾッとした・・。

梅原先生の説では、救世観音像は聖徳太子の怨念を抑えるために造られたのだという。その証拠に、光背を支える支柱は仏像の後頭部に刺さっている。おまけに明治の時代まで秘仏として白帛でグルグル巻きにして誰の目にも触れないようにされていたというのだから定説ではないとはいえこっちのほうが正しいのだと思ってしまうのであるが、シャッターが切れないという現象はそれを裏付けてしまっているじゃないかと恐れおののいてしまうのだ・・。

最後に訪れたのは大宝蔵院。



ここは平成10年に開館したそうなので50年前にはなかったはずだ。ここには百済観音像が収められている。



この百済観音像であるが、法隆寺の記録に出てくるのははるか後、1698年だったそうだ。定まった安置場所もなく、いったいどこからやってきたのかもよくわかっていないそうだ。救世観音像とは立ち姿がよく似ているので双子のような存在かと思っていたのだが、実物をみてみると顔の様子は全然違っていてこれは素人が見ても同時代の仏像ではないなと確信できる。やっぱり普通の小学5年生が見ても何の感想も出てこないだろう。(みうらじゅんは別だろうが・・)

法隆寺を後にして藤ノ木古墳を見てきた。



この古墳は法隆寺から300メートルほどの位置にあり、近くには斑鳩文化財センターという施設があって発掘された資料の詳細がわかる。ここまで来る人はわずかのようで、ほぼ無人であった。人混みが嫌いな僕にはうってつけの施設であった。

午前11時過ぎに斑鳩の街を後にして帰宅したのは午後1時半ごろ。これくらいの行程なららくちんだ。電車での移動なので帰りは缶酎ハイを飲みながら旅気分も満喫できる。JRを利用すると途中までは定期があるので交通費も少なくて済む。

周辺の地図を見てみると少し先の駅からは唐招提寺と薬師寺が比較的近い。秋にはここを訪れてみたいと思い始めている・・。



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