霞ヶ関ビル開発には、当時の最新大型コンピュータが使用され、その構造計算処理(耐震設計、耐震強度計算等)を行った。ところが、今から25年ほど前(1986年)、16ビットのPC(NEC製の9801VM)で同じ計算を実行させたところ、わずか5分弱で計算を完了したと言う。いかに、コンピュータ関係の技術革新が早いかの証左として有名な話です。
ここ名古屋でも、平成元年頃、積水ハウスが東区徳川町に、積水初の高層マンション(ザ・シーン・徳川)を計画していました。その設計担当主任は、筆者の高校時代の友人の一人です。あるとき、その彼から問い合わせの電話が来ました。セキュリティシステムを検討しているが、どのメーカーが適任か、教えてほしいという内容だった。即座に「それはN社に決まっているよ。」その一言で、セキュリティーはN社製品を導入することに決まった。もっとも、N社本社に出向き、実際に自分の目で確認するように、彼に伝えたことはいうまでも無い。
そして、めでたく竣工式を迎えることができた。
後日談だが、その彼から再び電話が来た。
「最上階のVIPルームの買い手がまだついていない。良かったら、買いませんか?」
「で、一体いくらなんですか?」
「約3億円ほどするんだけれど。」
私は言葉を失った。
しかし、その3億円のVIPルームも、しっかり買い手がついたという。
バブル華やかかりし頃のお話でした。
これには、さらに後日談があり、それから10年後
某大学の初老の聴講生からコンピュータでの差分計算のテクニックを質問された。
よくよくお話を聞くと、何と大手建設会社の元開発部長で、あのザ・シーン・徳川のディベロッパーの責任者だったのです。
因果はめぐる。
その方に、構造計算を教えることになろうとは、想像だにしなかったことです。