小島教育研究所

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キーボードあれこれ。OASYSキーボード、TRONキーボード。TRONよ永遠に・・・・

2011-09-09 | コンピュータよもやま話

皆さん、日頃から文書作成等にキーボードをお使いですね。そのキーボードの配列についてのお話です。

日本で使用されるコンピュータのキーボードはほとんどがJIS規格であり、QWERTY配列と言われる。この配列を最初に採用したのはアメリカのレミントン社のタイプライターである。その配列の根拠としては、同時に打鍵すると機械式のアームが重なってしまう事故を避けるために、早くタイピングが出来ないようにする目的で考えられた配列という。ということは、高速タイピングに向かない配列ということになる。そこで、以前、ドボラック配列のタイプライターが考案され、発売された。確かに高速入力が可能であったが、それ以前に普及したQWERTY配列に慣れた人が圧倒的多数であって、ドボラッ配列はごく一部に普及したに過ぎなかった。

一方、日本では、日本語入力に適したキーボードが考案された。一つは富士通のOASYSキーボードと呼ばれるもので、ワープロ専用機のキーボードとして考案された。開発に当たったのは富士通の技師長であった神田氏であった。もともと神田氏は富士通の汎用大型機に漢字が自由に使えるように、日本語入力システムを考案する過程で、OASYSキーボードを作成したという。同氏に沼津工場にて、日本語入力システムの開発当時を振り返って色々お聴きしたが、日本語の辞書をどのように作成するのか、また日本語の入力に適したキーボードはどうあるべきかを一から発想したそうだ。当時の開発用ノートを拝見すると、端末は今のノートパソコン風のPCが手書きされていた。

後に、一般のパソコンでもOASYSの親指シフトキーを使用したいという要望がありアスキーにより、OASYSキーボード(その1、その2)としてかつて製造、販売され一定の支持を得た。

商工会議所主催の「ワープロ検定」において、長年1位を取りつづけたOASYSではあったが、各社ワープロ専用機を製造中止してしまった今では、もう過去の話となった。

また、東京大学の坂村健教授によるTRONプロジェクトでも独自のTRONキーボードを設計、制作した。初めから、日本語入力を考えた2バイトコード体系を制定し、OSレベルで多言語対応とした。QWERTY配列のキーボードにより、多くの腱鞘炎患者が生まれている事実から、人に優しい入力システムを目指したTRONは、独自のTRONキーボードを生んだ。松下電器産業(現パナソニック)の技術陣により、キーボードの試作は10枚を超えた。1つのキーボードを設計し、金型まで作成して試作すると、おおよそ2,000万円以上の費用がかかることを考えれば、松下が如何にTRONプロジェクトに本気だったかが分かる。

マンマシン・インターフェースとしてのキーボードのよしあしは、使用者の健康に大きく左右する。

ソフトウェア・キーボードが今後主流となるが、キーボード配列を自分好みに設定できるようになれば、上記の各種健康上の問題も自ずと解決するだろう。

人の、手のサイズ、くせ、障害の有無により、キーボードはもっと進化してしかるべきだ。

今一度、TRONが提唱したイネーブルウェアを再考すべき時期だと思うが、いかがでしょうか。

 

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