■日時:2009年2月24日(土)、17:00~
■劇場:神楽坂 die pratze
■原作:江戸川乱歩
■演出・台本:天願大介
■出演:月船さらら、出口結美子、丸山厚人、池下重大、鴇巣直樹
江戸川乱歩の小説を原作とした演劇公演「陰獣 INSIDEBEAST」を観ました。そいえいばボクのブログのタイトル「飾釦」は、乱歩の小説の「陰獣」からとったものでありました。それは小山田静子が大江春泥に屋根裏から生活を覗かれているとして小説家・寒川がその屋根裏に登り調べていて発見したボタン、乱歩の小説ではその表記が「飾釦」とされていたのであります。なんとなくその言葉に響いたボクは、ブログのタイトルを「飾釦」としたわけなんですが。(余談です)
さてその「陰獣」、演じるは「métro」、というユニット。宝塚歌劇団出身の月船さららと無名塾出身の出口結美子が組んでの旗揚げ公演ということらしい、チラシにそう書いてあります。ちなみにボクは二人とも知りません。そして演出したのは天願大介、んっ?彼は今村昌平の息子じゃなかったっけ?たしか映画の監督をしていたはず。はぁ、これならもしかして期待できるかもと劇場に足を運びました。
劇場は小劇場で観客席が舞台の両サイドにあって役者と距離がとても近いくあります。ほんの数メートル先は「陰獣」が演じられている空間、間近で役者の演技を感じることができます。それは見方を変えれば役者にとっては気が抜けない演技空間であるとも言えましょう。役者の細部の演技まで見られ、それを怠るとこの江戸川乱歩という特異な世界がガタガタと崩れていってしまいます。そうした意味では非常に緊張感がある舞台でした。役者は丁寧にそして見事に演じきっていたと思います。(拍手)
劇の構成が乱歩の2作品、「陰獣」と「化人幻戯」がまるでコインの裏と表のようにあって、それが融合したり反発したりと複雑に交錯していきます。ボクはそれ自体が非常にエロティックな劇的構成になっているのではないかと感じました。よくあるサスペンス・ドラマのように別の物語が同時進行していくといったものではなく、根を同じくしたなにかドロドロとした塊(=INSIDEBEAST)が深い闇の中から溶け出し、それが2つの粘着しながらも相反する滑りをも持ちながら入れ子の様に複雑に絡み合いながら心の世界を侵蝕する。それは目には見えない引力のような。
「私は陽気、あなたは陰気」といった台詞が象徴的に表わしているように、「métro」の解釈には乱歩世界に対する新しい発見がありました。そういえば観ていて緊張と弛緩が交互に襲ってきたように思いました。それは夢を見ているのかと思いきや現実に引き戻されたりと朦朧としたような感覚に陥っていた自分を思い出します。演劇を観ていてこのような感覚になったことは初めてでした。それは単純に劇的なカタルシスによって面白かったと感じるものでもなかったように思います。寧ろメビウスの輪のように終わることのないもがきのような、掘っても掘っても何もでてこない、いや最初から土などない、う~ん、何と言ったらいいのかよくわかりませんが、異空間の中にいつしか坐っていたような不思議な感覚が残ったそんな印象でした。
ところで、主演した二人の女優は演技は勿論のこと、タイプも違いどちらも彼女だったら自慢できるよねという美女でありました。そうした美的要素というものは大切なことだなと思いました。そしてただ美しいだけではなくそこから匂い立つようなエロティシズムがなければ乱歩の世界は構築できないでしょう。惑わされました、観ていて・・・。そしてそれを引き出していたのが劇を支えた男優であったとも。夢と現実を行き来するような摩訶不思議な感覚のお芝居でありました。
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■原作:江戸川乱歩
■演出・台本:天願大介
■出演:月船さらら、出口結美子、丸山厚人、池下重大、鴇巣直樹
江戸川乱歩の小説を原作とした演劇公演「陰獣 INSIDEBEAST」を観ました。そいえいばボクのブログのタイトル「飾釦」は、乱歩の小説の「陰獣」からとったものでありました。それは小山田静子が大江春泥に屋根裏から生活を覗かれているとして小説家・寒川がその屋根裏に登り調べていて発見したボタン、乱歩の小説ではその表記が「飾釦」とされていたのであります。なんとなくその言葉に響いたボクは、ブログのタイトルを「飾釦」としたわけなんですが。(余談です)
さてその「陰獣」、演じるは「métro」、というユニット。宝塚歌劇団出身の月船さららと無名塾出身の出口結美子が組んでの旗揚げ公演ということらしい、チラシにそう書いてあります。ちなみにボクは二人とも知りません。そして演出したのは天願大介、んっ?彼は今村昌平の息子じゃなかったっけ?たしか映画の監督をしていたはず。はぁ、これならもしかして期待できるかもと劇場に足を運びました。
劇場は小劇場で観客席が舞台の両サイドにあって役者と距離がとても近いくあります。ほんの数メートル先は「陰獣」が演じられている空間、間近で役者の演技を感じることができます。それは見方を変えれば役者にとっては気が抜けない演技空間であるとも言えましょう。役者の細部の演技まで見られ、それを怠るとこの江戸川乱歩という特異な世界がガタガタと崩れていってしまいます。そうした意味では非常に緊張感がある舞台でした。役者は丁寧にそして見事に演じきっていたと思います。(拍手)
劇の構成が乱歩の2作品、「陰獣」と「化人幻戯」がまるでコインの裏と表のようにあって、それが融合したり反発したりと複雑に交錯していきます。ボクはそれ自体が非常にエロティックな劇的構成になっているのではないかと感じました。よくあるサスペンス・ドラマのように別の物語が同時進行していくといったものではなく、根を同じくしたなにかドロドロとした塊(=INSIDEBEAST)が深い闇の中から溶け出し、それが2つの粘着しながらも相反する滑りをも持ちながら入れ子の様に複雑に絡み合いながら心の世界を侵蝕する。それは目には見えない引力のような。
「私は陽気、あなたは陰気」といった台詞が象徴的に表わしているように、「métro」の解釈には乱歩世界に対する新しい発見がありました。そういえば観ていて緊張と弛緩が交互に襲ってきたように思いました。それは夢を見ているのかと思いきや現実に引き戻されたりと朦朧としたような感覚に陥っていた自分を思い出します。演劇を観ていてこのような感覚になったことは初めてでした。それは単純に劇的なカタルシスによって面白かったと感じるものでもなかったように思います。寧ろメビウスの輪のように終わることのないもがきのような、掘っても掘っても何もでてこない、いや最初から土などない、う~ん、何と言ったらいいのかよくわかりませんが、異空間の中にいつしか坐っていたような不思議な感覚が残ったそんな印象でした。
ところで、主演した二人の女優は演技は勿論のこと、タイプも違いどちらも彼女だったら自慢できるよねという美女でありました。そうした美的要素というものは大切なことだなと思いました。そしてただ美しいだけではなくそこから匂い立つようなエロティシズムがなければ乱歩の世界は構築できないでしょう。惑わされました、観ていて・・・。そしてそれを引き出していたのが劇を支えた男優であったとも。夢と現実を行き来するような摩訶不思議な感覚のお芝居でありました。
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