飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

「史上最大の手塚治虫展」(世田谷文学館)を見た

2012-06-25 | 美術&工芸とその周辺

世田谷文学館で開催中(7/1まで)の「史上最大の手塚治虫展」を見に行きました。手塚治虫という名前は、会場の展示案内でも書かれてあったのですが、小説でいう夏目漱石に匹敵するくらいの著名なビッグネームであることは間違いないのです。しかし、夏目漱石の小説は読んだことはないけれど手塚治虫の漫画は読んだことがある、そんな経験をもっている人がとても多いと思うのです。そのくらい親しまれた国民的漫画家なのです。人の心にとてつもない影響を与えた漫画の歴史にも欠かすことができない巨人、それが手塚治虫。だからか会場には若い人も多くみられましたし、熱心に原画に見入っていたのが印象的でした。

 

私自身も代表作「火の鳥」などは、若い時に読んですっかり打ちのめされたくちであります。テーマに流れている生命の輪廻転生という仏教的な観念も、命は生まれ変わっていくのだなんて言葉で聞いてもピンとこなかったものが、この漫画を読むとなるほどと、物語のせつなさで涙を流すような感動を受けると同時に輪廻転生という観念も入ってきたように思います。手塚作品は、ストーリー性も高く、まるで映画を見ているようなコマ割り、構成で、大きなスケール感を感じさせるものがおおいと思います。そして泣かせるというか、心の琴線に触れるような持ってき方がとてもうまいのも特徴と言えるでしょう。私は手塚治虫の漫画を読むと、それがとても情感に訴えるものになっていると思わず泣いてしまうことがあります。

 

事実、展示会場で「どろろ」の原画があったのですが、それは、どろろが母親と死別するところを描いていました。展示された絵は、母親の優しさ、どろろの孤独、貧しさへの怒りなどほんの数点の原画であるのに、それを見ただけで、私は思わず涙が出そうになりました。歳ゆえに涙もろくなってきてはいるとは言え、それは構図のうまさや感情の表現の仕方の上手さなどによるものに違いないのでした。ほんの数枚の絵で感情を揺り動かしてしまう手塚治虫は、やっぱりすごい!久々に読んで見ようかなと思いました。

火の鳥 全13巻セット (角川文庫)
手塚 治虫
角川書店
ブラック・ジャック創作秘話~手?治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)
吉本浩二,宮崎 克
秋田書店
ぼくのマンガ人生 (岩波新書)
手塚 治虫
岩波書店
ブッダ全12巻漫画文庫 (潮ビジュアル文庫)
手塚 治虫
潮出版社

 

 

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