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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

香港ノワール!映画「エレクション~黒社会~」(監督:ジョニー・トー)

2010-06-11 | Weblog
■製作年:2005年
■監督:ジョニー・トー
■出演:サイモン・ヤム、レオン・カーファイ、他

香港ノワールの巨匠ジョニー・トー監督による劇場公開中の映画「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を見たことを今週の頭にアップしました。スタイリッシュな映像センスと評論家の評価が高いこともあって他にどんな映画があるんだろうとトー監督の作品を何本か連続して見てきました。今回はカンヌ映画祭のパルム・ドールにノミネートされたこともある作品「黒社会 エレクション」です。

香港マフィアの後継者を巡って2人の候補者が対立、暗躍します。珍しく?この映画にはド派手な銃撃戦がありません。しかしボクの好みからすれば、こちらの方がいい感じでした。トー監督の魅力の一つに銃撃戦というのがあると思うのですが、ボクとしてはそれがあまりに映像美溢れるものとなっているのでリアリティを感じさせず現実感が薄く思えてしまうことがありました。そうしたことがボク自身の登場人物への感情移入を疎外させてしまう効果として働いているなあと感じていたからです。むしろ、単純な暴力、殴る蹴るのほうが現実的な<傷みの感覚>を想起させ、それが極端までに描かれると暴力への恐怖感へと変わっていくという感想を持っているからです。そうした点においてこの映画では、まるでイリュージョンを見るような銃撃戦は影を潜め、傷みや恐怖を感じさせる暴力描写が中心となっていました。

組織の維持とそれを支配しようとする野心、伝統と革新の対立、それらの葛藤による人間ドラマ。あるいは最終的に秩序を守るための壮絶な決意と行動。そうしたものがステレオタイプ的と評されようとも堂々と真正面から描かれていました。ボクがこれまで見てきたトー監督の作品ではこの映画が一番好きかなと思いました。もしかしたら監督の持ち味が活かされていないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが…。(好みの問題ですね)ラストの展開は特に映画的な面白さがありました。黒社会のトップに立つものとしての決意というか恐ろしさを見せる行動が、一つは孤独でありかつそれが凄まじく感じましたし、それを見ていたのが猿の群れというのも面白かったです。つまり、この猿の群れは組織の構成員とも、傍観者である一般市民とも見ることができるからです。そしてさらにそこには新しいボスの息子が同席していたというのが、様々な感情を引き起こし余韻の残るラストになっていました。

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