乱歩NO.５・・・＜陰獣／１９９０年＞

陰獣

放送：１９９０年・フジテレビ放送
演出：藤田明二
出演：古手川祐子、三田村邦彦

原作では仏像の展覧会を観ているのが、ここではビアズリーの絵の展覧会となっている。愛する男の血が滴る生首への接吻。オスカー・ワイルドのサロメ。このドラマは小山田（古手川祐子）と探偵・寒川（三田村邦彦）の関係をサロメとヨカナーンの物語をかけている。妖艶にして毒婦のサロメ。しかし、サロメの物語が観る者にどれくらい伝わったのだろうか？（私は不十分であった。）
また、テレビ放送の作品なので小山田と寒川が陥るドロ沼の痴情関係は、ここでは深くは描かれない、それも消化不良な印象を受けた。

架空の存在・大江春泥に成りすまし寒川を罠にかけていく知的でかつ大胆、そして被虐の魔性の女＝小山田。古手川祐子が色っぽい分、これがテレビではなく映画であったならもっと大胆に演じられたのではないか、と思ったりした。

ところで、小山田が鞭で打たれたうなじの瑕は、寒川が屋根裏から覗き込んだとき発見する。特に意味はないのだけれど。

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