乱歩NO.２８・・・＜禁断の実の美女～人間椅子＞

禁断の実の美女～人間椅子

放送：１９８４年テレビ朝日
監督：貞永方久
出演：天知茂、萬田久子、レオナルド熊

物語は飛行機の中、明智（＝天知茂）と女流作家・北見（＝萬田久子）が出会うところから始まりますが、びっくりしたのは二人とも機内でタバコをスパスパとやっています。そうか、当時は喫煙OKだったのか。そういえば初めて飛行機に乗ったときタバコを吸った記憶があります。ともあれ、機内の狭い空間でタバコを愛飲すれば相当空気が悪かったんだろうなと、そして長時間そこで勤務する客室乗務員のお姉さんも、その煙で悩まされたのだろうなと想像してしてしまいます。

本作品の監督は貞永方久、今まで見てきた井上梅次監督とやはり少しテイストが違います。特に印象的なのは、クールでニヒルな明智（＝天知茂）がやや三枚目に描かれていること、助手の高見知佳に振り回されているというか、からかわれているというか手のひらの上状態です。時折見せる天知茂の間抜けな顔。これは今まで見てきた「美女シリーズ」にはなかった表情です。

さて、人間椅子を製作した椅子職人は当時人気絶頂であったレオナルド熊が演じ、捩れた想いを持った男としていい味を出しているのですが、原作は短編なのでいつもながらオリジナルの創作ストーリーが付加されます。それが如何せん人間椅子という奇怪な物語と結びつく必然性がありません。（ただの復讐劇）そうなると本来の持ち味が失せてしまい、こじつけの二時間ドラマになってしまっています。江戸川乱歩の名を冠しているだけに残念です。

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