神戸まろうど通信

出版社・まろうど社主/詩と俳句を書く/FMわぃわぃのDJ/大阪編集教室講師など多様な顔を持つ大橋愛由等の覚え書き

6月の便り その2

2015年06月19日 09時09分47秒 | 通信
六月の二回目の便りですが、前回より詳細がわかったイベントや新たなイベントも追加しています。


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◆1.--第103回「Melange」読書会・合評会〈6月28日(日)〉←詳細追加
◆2.--カフェ・エクリ〈7月6日(月)〉←詳細情報
◆3.―「北の句会」〈7月05日(日)〉←新情報
◆4.―第18回吟遊同人総会〈7月26日(日)〉←追加情報あり
◆5.--文学短報=A/兵庫県現代詩協会の読書会お知らせ〈7月18日(土)〉 B/――詩友、句友近況 C/――第17回ロルカ司祭〈8月15日(土)〉
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◆1.--第103回「Melange」読書会・合評会〈6月28日(日)〉←詳細追加
 6月となり梅雨入りしました。私はこの時期に生まれたので、梅雨をこよなく愛しています。
先月につづいて、Youtube で聞ける6月に聞きたいお好みの曲を紹介しましょう。荒井由実の「雨のステイション」という曲です。https://www.youtube.com/watch?v=DOg2V-V3fjM」という曲です。音質は決してよくありませんが、松任谷由実ではない質感が楽しめます。「6月はあおくけむって、なにもかも、にじませている 雨のステーション あえる気がして いくつ人影みおくっただろう」といった歌詞も出てきます。
(この会、参加費などは不要です。参加していただいた方には、「月刊めらんじゅ」最新号をさしあげます)
   
  ☆/第一部・読書会(PM1:00-3:00)
「Melange」読書会の発表者は木澤豊さんです。
テーマは、恒例の「宮沢賢治語り」です。今回取り上げる作品は、「タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
」。ネットの青空文庫で読むことが出来ます。以下のサイトにアクセスしてください。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4600_11971.html
具体的になにをとりあげるのか未定です。分かり次第お知らせします。

  ☆/合評会(PM3:00-6:30)
午後3時から始めます。
作品の締め切りは、6月25日(木)です。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は次号で103号となります。(Wordの添付ファイルで送稿される方が多いのですが、Wordのバージョンによって文字化けが必ずといっていいほど起きます。詩稿の送信は、添付ファイルを付けてもいいのですが、その際には、メール本体に詩稿を貼り付けておいてください。これは必ずお願いします)



◆2.--カフェ・エクリ〈7月6日(月)〉←詳細情報

7月の「エクリ」は、姫路アイメッセ会議室(JR姫路駅下車徒歩12分)で開催します。
☆場所/JR姫路駅下車。姫路城に向かって北へ徒歩12分
☆時間/午後2時~
☆構成・第一部〈読書会〉◇発表者・高谷和幸 テーマ/失語症」ーわたしたちの脳にある純粋言語その壱ー
   ・第二部〈合評会〉自作詩のコピー12部ほどを用意してください。

---------発表者からのメッセージ------------------☆
日本は寺田寅彦・吉本隆明など優れた言語論を数多く有してきました。ところで今回はいわゆる文化系の哲学・文学で研究された言語論ではなく、理科系である脳科学からの言語論へのアプローチを見ていきたいと思います。「失語症」はフランスの外科医師のポール・ブローカが1861年に論文でルポルニュ氏を取り上げたのが初めてだと言われています。150年余りたった現在、失語症の臨床から浮かび上がる「言語」という心像やチョムスキーのいう言語生得説(器官としての言語)などを中心に話合えたらと考えています。
 実は、今回のテーマには個人的に関心を持ち続けているものがあります。美術家の濱田龍さんが失語状態にある時に、リハビリと称して高谷との会談を定期的にもったことがありました。その時彼が言葉(または自分自身)について、「わたしのまわりにあることばのようなものが押し寄せてきて、それがあつまり、結ばれて〈わたし〉というものが今ここに出来上がる」と語ったことです。この認識は詩を書く人間にとって、自動筆記などの現場でうすうす感得できるものですが、より明確なかたちで彼が語ったことが衝撃的でした。ニューロサイエンスからその瞬間の謎に迫ってみたいと考えています。

 参考図書 山鳥重(やまどり あつし)「言葉と脳と心」講談社現代新書

        谷和幸
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以下は、9月からの「カフェ・エクリ」の開催予定です。8月と1月は休みです。
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・08月/休会
・09月14日(月)午後2時~/姫路アイメッセ会議室
・10月19日(月)午後2時~/姫路アイメッセ会議室
・11月09日(月)午後2時~/たつの市ガレリア
・12月07日(月)午後2時~/姫路アイメッセ会議室
2016年
・01月/休会
・02月08日(月)午後2時~/姫路アイメッセ会議室
・03月07日(月)午後2時~/たつの市ガレリア
・04月04日(月)午後2時~/姫路アイメッセ会議室
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ☆詳細な問い合わせ先は、高谷和幸 <takatani_kk@yahoo.co.jp>へ。

◆3.―「北の句会」〈7月05日(日)〉←新情報

 (大橋注/いつも「北の句会」の事務局を担当している丸山巧さんのパソコンが故障したらしく、今回は、北村虻曳さん、堀本吟さんの両名が事務局をつとめます)

――以下、引用文-------------------------------
 7月の「北の句会」を以下の要領で行います。ふるってご参加下さい。
 今回は北村と堀本が句会を連絡管理します。
日時/2015年7月5日(日) 13:00--17:00
会場/阿倍野市民学習センター 第三会議室
〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋3丁目10-1-300
あべのベルタ3階 (添付ファイルに地図があります。)
http://www.osakademanabu.com/abeno/ TEL.06-6634-7951

ご参加の方は以下のルールで3句を事前投句おねがいします。
・課題句:「梅雨」を題(テーマ)とする1句。「梅雨」から引き出される言葉の世界
 を渉猟してください。直接この語を入れなくても可。青梅雨、梅雨晴れ、梅の雨
 等々、傍題もいろいろあるので工夫してください。
・自由詠:2句。これが定形短詩だ!というものをどうぞ。しかし、多行俳句以上に
 紙面の場所をとるものはご遠慮下さい。

投句締切:6月25日 21:00



◆3.―第18回吟遊同人総会〈7月26日(日)〉←追加情報あり

(「吟遊」から送られてきた同人総会のお知らせです。もう18回目なんですね。わたしはまだ新参の身です/大橋)
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前略 お元気でお過ごしのことと思います。第18回吟遊同人総会・懇親会を、下記のとおり開きますので、是非ご出席ください。参加申込み締め切りは7月20日(土)。本紙下端にご記入のうえ、メール、ファックス、または郵便にて、吟遊社あてお送りください。締め切りの時点で、参加できるかどうか不明の場合、その旨お申し出ください。
なお、「吟遊」第67号の原稿締め切りは6月20日(木)です。             吟遊社 夏石番矢 鎌倉佐弓

                    記
・第18回吟遊同人総会
開催日時 2015年7月26日(日曜日) 午後2時00分~6時00分(受付1時30分~)
会費   1000円
会場   板橋区立グリーンホール 503会議室 別紙地図参照 東京都板橋区栄町36-1
     電話 080-5175-0331(鎌倉佐弓の携帯)
内容     自己紹介、吟遊社からの報告(2時00分~2時30分)
「吟遊」第64,65,66,67号を中心に合評(2時30分~4時00分)
俳句翻訳と海外の俳句について合評(4時00分~5時00分)?
吟遊俳句賞2015表彰式 ?
・吟遊懇親会 
開催日時 同日 午後6時00分~8時00分
会費   4000円
会場   レストラン サンイチ(板橋区立グリーンホール地下) 東京都板橋区栄町36-1
       電話 03-3579-8531
俳句朗読(1人5分程度)
出欠の送付先 〒354-0026 埼玉県富士見市鶴瀬西3-16-11 夏石番矢方 吟遊社
電話・ファックス 049-252-9823   Eメール sayumikamakura@msf.biglobe.ne.jp


もう一つ、夏石番矢氏がらみの関西におけるイベントを紹介しましょう。

◇横断する日―シンポジウムと朗読〈9月8日(火)〉
 第一部/ミニシンポジウム「今を相渉っていく装置としての世界俳句と連歌」
     午後6時30分~7時50分
     パネラー(1)モルガディ・ゲルドマン(詩人・ノンフィクション作家、イスラエル在住)
         (2)高城修三(作家・高橋修三連歌会宗匠)
         (3)夏石番矢(俳人・世界俳句協会創立者)
 第二部/音楽と朗読
     午後8時00分~9時00分
    ◇ニコラス・スレッジ・ブルース・マシーン(今野和代〈ポエット〉、山田輝人〈テナーサックス、フルート〉)
    ◇夏石番矢〈俳句〉
    ◇モルガディ・ゲルドマン(俳句)
 交流会/午後9時~
 参加費/2000円
 場所/大阪産業大学梅田サテライトキャンパス 大阪駅前第3ビル19階 06-6442-5522 大阪市北区梅田1-1-3
予約・問い合わせ先/今野和代 090-1149-4042 FAX06-6336-5796  Mail: konn-sky@ezweb.ne.jp


◆4.--文学短報
A/-----兵庫県現代詩協会からのお知らせ。←再掲
  〈兵庫県現代詩協会 第七回読書会のご案内〉

★挨拶 (兵庫県現代詩協会会長 たかとう匡子)
新年度がスタートしました。7回目となる兵庫県現代詩協会の読書会は、10月4日(日)開催予定の―ふれあいの祭典―「詩のフェスタひょうご」の講師に佐々木幹郎氏をお招きするにあたり、予習の意味で佐々木氏と半世紀近い親交のある季村敏夫さんに、下記テーマでお話しいただきます。お二人の共通項は「世界とどうかかわるか」にあるようです。乞う期待。
万障お繰り合わせのうえぜひ、ご参加ください。

★内容
日時/7月18日(土)午後1時00分~
場所/兵庫県私学会館301号室
   神戸市中央区北長狭通4-3-13 電話078-331-6623
チューター/季村敏夫
「他者に耳を澄ます、これが佐々木氏の姿勢である。向こうからの訪れをどう受けとめ、どう応えるか、そのことの実践と詩作が一体であること、稀有である」
会費/兵庫県現代詩協会会員は無料です
 (会員限定の会です。会員以外の方で参加希望の方は、以下の連絡先にアクセスしてください)
参考テキスト/佐々木幹郎著『東北を聴く』(岩波新書)
      『佐々木幹郎詩集』(思潮社、現代詩文庫)
問い合わせ・連絡先/玉井洋子 078-451-4155

B/――詩友、句友近況
 01*「Melange」同人の寺岡良信氏は、現在、宝塚市立病院の西病棟7F「緩和ケア病棟」に六月から入院しています。
 02* 柳人・小池正博氏は、11月21日(土)に神戸文学館で講演を予定しています(テーマ、内容など未定)
03* 詩友・上野都氏が翻訳詩集『尹東柱詩集 空と風と星と詩』(コールサック社)を上梓されました。

C/――第17回ロルカ司祭〈8月15日(土)〉
 今年も、「ロルカ詩祭」を八月に開催します。今回で17回目となります。レギュラー出演者のみなさん、日程をあけておいてください。この詩祭は二部構成。第一部は、フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩作品の朗読(スペイン語、日本語ほか)、第二部はロルカの詩世界によせた自作品の朗読です。毎回濃密な朗読会が開催されています。朗読者のバックで演奏する器楽演奏者はいまのところ未定です。そのほか詳細がわかりましたら、またお知らせします。
 開場/午後五時、第一部午後五時半、第二部午後六時半
 開場/スペイン料理カルメン(電話078-331-2228)←問い合わせ、予約もこちらへ
 料金/Aコース(2000円、チャージ、ワンドリンク、ワンフード付き)
    Bコース(3600円、チャージ、季節のスープ、サラダ、メインディッシュ、パエリア、本日のデザート、コーヒー付き)

第103回「Melange」読書会・合評会〈6月28日(日)〉のお知らせ

2015年06月06日 08時51分48秒 | 通信
Rainy Season(日本の雨季=梅雨)がやってきました。

さて、わたし周辺で展開される文学イベントを紹介します。


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◆1.--第103回「Melange」読書会・合評会〈6月28日(日)〉
◆2.--カフェ・エクリ〈6月8日(月)〉
◆3.―第18回吟遊同人総会〈7月26日(日)〉
◆4.--文学短報=A/兵庫県現代詩協会の読書会お知らせ〈7月18日(土)〉 
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◆1.--第103回「Melange」読書会・合評会〈6月28日(日)〉
 6月となり梅雨入りしました。私はこの時期に生まれたので、梅雨をこよなく愛しています。
先月につづいて、Youtube で聞ける6月に聞きたいお好みの曲を紹介しましょう。荒井由実の「雨のステイション」という曲です。https://www.youtube.com/watch?v=DOg2V-V3fjM」という曲です。音質は決してよくありませんが、松任谷由実ではない質感が楽しめます。「6月はあおくけむって、なにもかも、にじませている 雨のステーション あえる気がして いくつ人影みおくっただろう」といった歌詞も出てきます。
(この会、参加費などは不要です。参加していただいた方には、「月刊めらんじゅ」最新号をさしあげます)
   
  ☆/第一部・読書会(PM1:00-3:00)
「Melange」読書会の発表者は木澤豊さんです。
テーマは、恒例の「宮沢賢治語り」です。今回取り上げる作品は、「タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった」。ネットの青空文庫で読むことが出来ます。以下のサイトにアクセスしてください。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4600_11971.html
具体的になにをとりあげるのか未定です。分かり次第お知らせします。

  ☆/合評会(PM3:00-6:30)
午後3時から始めます。
作品の締め切りは、6月25日(木)です。合評会に出席できなくとも、送っていただいた詩稿は、「月刊めらんじゅ」に掲載します。同誌は次号で103号となります。

「Melange」読書会・合評会の会場は、神戸市三宮のスペイン料理カルメン〈078-331-2228〉神戸市中央区北長狭通1-7-1 2F です。

◆3.--カフェ・エクリ〈6月8日(月)〉

五月の「エクリ」は、たつの・ガレリア(JR姫新線「本竜野駅」下車、徒歩12分)。
☆場所/姫路市「姫路アイメッセ会議室」←姫路城の手前にある施設です。姫路城がなんとも美しい。
☆時間/午後2時~
☆構成・第一部〈読書会〉◇発表者とテーマ/それぞれ30分ずつ発表します
             大橋愛由等「Monosexualité からPolisexualitéへ」、
             千田草介「幸田露伴『連環記』をめぐって」
   ・第二部〈合評会〉自作詩のコピー12部ほどを用意してください。

――――――――6月のエクリ読書会の案内-------------------------------- 
◇第一部〈読書会〉◇発表者とテーマ/大橋愛由等「Monosexualité からPolisexualitéへ」

短歌知らずの短歌読みの私・大橋愛由等が発表に際して冒頭にあげるのは、

 赤児にて聖なる乳首吸ひたるを終としわれは女を恋はず  春日井健

の作品です。今回のエクリでの発表は、〈春日井健〉~〈三島由紀夫〉~〈ミシェル・フーコー〉とつないでゆく「ナルシシズム」と「同性愛」の世界です。
春日井健が19歳の時に書いた作品をまとめた処女歌集『未青年』。そのを跋文を書いた三島由紀夫は、「現代はいろんな意味で新古今の時代に似てをり、われわれは一人の若き(藤原)定家を持つたのである」と激賞します。

 蒸しタオルにベッドの裸身ふきゆけばわれへの愛の棲む胸たかし   同

三島は、何本もの矢に射抜かれて殉教している「聖セバスチャン」の洋画を見て、はじめて自慰を行ったと「仮面の告白」に書いています。そして後年、自らがモデルになり、聖セバスチャンになりきって半裸の姿で木に縛られ、何本かの矢に射抜かれている写真を撮らせるなど、「ナルシシズム」の耽美的世界に自ら身を挺した作家であるからこそ春日井健の作品に同調したのでしょう。

 はじめてひとに抱かれし汝よ突き落されしごとき睡(ねむ)りを今眠りゐる   同

私は春日井健が同性愛者であったかどうかは語ろうとはせず、あくまで作品上の表象として、同性愛的世界をどのように表現したかに興味があります。そしてもうひとつ、五月に私が注目した海外ニュースがあります。アイルランドにおける同性婚を合法とする憲法改正の是非を問う国民投票が22日に行われ、賛成多数で合法化が決定されたという報道です。カトリック信者が多い同国では、同性愛が処罰対象から除外されたのが約20年前という保守的な風土なのです。この結果を受けて同国のカトリック教会関係者は、強い懸念を発表しています。

ではなぜカトリック教会は同性愛を禁じ、懸念しているのか、それを解明するのに、ミシェル・フーコーの言説を借りることにしましょう。フーコーは『性の歴史』シリーズを著述し、エイズで死去したために、そのシリーズは完結することはありませんでしたが、ヨーロッパ社会における同性愛を含めた歴史的、哲学的考察を展開しています。そして日本を含む東洋の同性愛もまた言及しているのです。

限られた時間でどれだけ語れるかわかりませんが、フーコーの語りを通じて、ふたたび春日井健の作品世界に立ち戻ってゆきたいと思っています。

 庭園に老童貞のなまぐさき手が埋めゆく花の球根   同

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◇エクリ 2015.6.8                            千田草介

幸田露伴『連環記』をめぐって
露伴最晩年の作品として知られる『連環記』の時代について、播磨との関わりを軸に話そうと思います。
『連環記』は岩波文庫で入手できますが、ネットで注文しても届くのに時間がかかるようです。ですので、興味ある方はインターネットの青空文庫で読んでいただけたらと思います。私も紙書籍としては持っておらず、パソコンで読みました。そんなに長い作品ではありませんが、人によっては読むのに難渋されるかもしれません。
 
先日、香寺町にある八徳山八葉寺へ他用のついでにぶらりと行ってきました。NHK朝ドラ「ごちそうさん」のロケ地にもなった名刹なのですが、今まで一度も行ったことがありませんでした。むろん寺の縁起というか由緒も知らなかったのですが、行基が開基して平安時代に寂心が堂を建立したのが始まりだと、本堂前の説明板にあり、(おっ!)と思ったことでした。寂心というのは、『連環記』の中心人物である慶滋保胤(よししげのやすたね)が出家した後の法名です。
保胤は陰陽道の家として知られる賀茂家の次男として生まれた人ですが、家業の陰陽道より仏教の方に心を傾けた人で、比叡山の僧らとともに念仏結社をつくったりしています。
保胤(寂心)が播磨に来たのは、書写に性空上人がいたからでしょう。性空の高名は都に鳴り響いており、上東門院彰子とともに和泉式部が性空を慕って書写をたずねてきたことはよく知られています。
保胤は『連環記』での書かれようでも純心一途に仏教に傾倒した人のようで、播磨にやってきたとき、ある仏僧が陰陽師を兼ねているのを見て、いったいなにごとかと詰め寄ります。その僧の言い分によると、陰陽師もしないことには生活ができないからとのこと。保胤は自分のもつ財物を分け与えるから仏道に専念しろと言うのですが、かように当時の播磨は陰陽道が盛んだったわけで、その代表的人物が、安倍晴明のライバルとして知られる蘆屋道満です。安倍晴明は、保胤の父である賀茂忠行と兄である保憲を師としていますから、保胤がいかに家業を疎んじたとはいえ晴明を知らなかったはずはなく、してみると、晴明の敵がウヨウヨいる播磨に、陰陽師賀茂家の次男坊たる者が出向いたことは、保胤本人がどう思っていたかは別として、なにがしか波紋を呼び起こしたのではあるまいかと想像できます。なんだか匂いますね。
 
それにしてもこの時代、多士済々でとてもにぎやか華やかですね。『大鏡』に書かれた時代です。夢枕獏『陰陽師』という作品が例外的にありますが、意外に小説化ドラマ化されたものが少ない。
 
主たる人物を挙げてみます。
空也903~972  良源(元三大師)912~985 増賀917~1003
性空910~1007 (長生きですね)
性空上人(『連環記』には出てきませんが、当時の播磨を語るうえでこの人は外せません)は意外に出家が遅かった人で、36歳のときだったといいます。年下の良源を師としました。966年、57歳のとき書写に入山して圓教寺(花山法皇による勅号)を創建します。
慶滋保胤933~1002 
保胤はあの藤原道長より33歳年上ですが、両者は関わりがありました。
藤原道長966~1028 書写へ性空上人が上った年に道長は生まれているわけですね。
花山法皇968~1008 
藤原氏の策略にのせられて退位した経緯はよく知られています。その後出家して諸国放浪、西国三十三箇所巡礼は彼が再興して今に至るわけですが、小説的興味をおぼえる面白い人物です。この人も性空の大ファンでした。
源信942~1017 
985年に『往生要集』を著します。『源氏物語』に登場する「横川の僧都」のモデルだといわれています。
安倍晴明921~1005 保胤より一回り年上で、没年も保胤より後ですね。
和泉式部978~? 書写をたずねてきたのは性空の最晩年なのでしょう。
 
むろん清少納言も紫式部も時代が重なるわけですね。


以下は、7月からの「カフェ・エクリ」の開催予定です。曜日はすべて月曜日です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
   (会はすべて午後2時からの開始です)
 
日   時間
会場
会場費

7月
6日 2時
たつの市ガレリア

8月
お休み(8.31から、詩人たちによる一泊旅行をいたします。向かう場所は、木澤豊さんが持つ山荘〈岡山県新見市〉です)

9月
14日 2時
姫路アイメッセ会議室
300円

10月
19日 2時
姫路アイメッセ会議室
300円

11月
9日 2時
たつの市ガレリア
無料

12月
7日 2時
姫路アイメッセ会議室
300円

1月
お休み

2月
8日 2時
姫路アイメッセ会議室
300円

3月
7日 2時
たつの市ガレリア
無料

4月
4日 2時
姫路アイメッセ会議室
300円

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ☆詳細な問い合わせ先は、高谷和幸 <takatani_kk@yahoo.co.jp>へ。



◆3.―第18回吟遊同人総会〈7月26日(日)〉

「前略 お元気でお過ごしのことと思います。第18回吟遊同人総会・懇親会を、下記のとおり開きますので、是非ご出席ください。参加申込み締め切りは7月20日(土)。本紙下端にご記入のうえ、メール、ファックス、または郵便にて、吟遊社あてお送りください。締め切りの時点で、参加できるかどうか不明の場合、その旨お申し出ください。
なお、「吟遊」第67号の原稿締め切りは6月20日(木)です。         吟遊社 夏石番矢 鎌倉佐弓   」

                    記
●第18回吟遊同人総会
開催日時 2015年7月26日(日曜日) 午後2時00分~6時00分(受付1時30分~)
会費   1000円
会場   板橋区立グリーンホール 503会議室 別紙地図参照 東京都板橋区栄町36-1
     電話 080-5175-0331(鎌倉佐弓の携帯)
内容     自己紹介、吟遊社からの報告(2時00分~2時30分)
「吟遊」第64,65,66,67号を中心に合評(2時30分~4時00分)
俳句翻訳と海外の俳句について合評(4時00分~5時00分)?
吟遊俳句賞2015表彰式 ?

●吟遊懇親会 
開催日時 同日 午後6時00分~8時00分
会費   4000円
会場   レストラン サンイチ(板橋区立グリーンホール地下) 東京都板橋区栄町36-1
       電話 03-3579-8531
俳句朗読(1人5分程度)
出欠の送付先 〒354-0026 埼玉県富士見市鶴瀬西3-16-11 夏石番矢方 吟遊社
電話・ファックス 049-252-9823   Eメール sayumikamakura@msf.biglobe.ne.jp
 

◆4.--文学短報
A/-----兵庫県現代詩協会からのお知らせ。
  〈兵庫県現代詩協会 第七回読書会のご案内〉

★挨拶 (兵庫県現代詩協会会長 たかとう匡子)
新年度がスタートしました。7回目となる兵庫県現代詩協会の読書会は、10月4日(日)開催予定の—ふれあいの祭典—「詩のフェスタひょうご」の講師に佐々木幹郎氏をお招きするにあたり、予習の意味で佐々木氏と半世紀近い親交のある季村敏夫さんに、下記テーマでお話しいただきます。お二人の共通項は「世界とどうかかわるか」にあるようです。乞う期待。
万障お繰り合わせのうえぜひ、ご参加ください。

★内容
日時/7月18日(土)午後1時00分~
場所/兵庫県私学会館301号室
   神戸市中央区北長狭通4-3-13 電話078-331-6623
チューター/季村敏夫
「他者に耳を澄ます、これが佐々木氏の姿勢である。向こうからの訪れをどう受けとめ、どう応えるか、そのことの実践と詩作が一体であること、稀有である」
会費/兵庫県現代詩協会会員は無料です
 (会員限定の会です。会員以外の方で参加希望の方は、以下の連絡先にアクセスしてください)
参考テキスト/佐々木幹郎著『東北を聴く』(岩波新書)
      『佐々木幹郎詩集』(思潮社、現代詩文庫)
問い合わせ・連絡先/玉井洋子 078-451-4155