マーブリングファインアーツのブログ

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10分の1戦艦大和メンテナンス

2018年04月07日 | 製作物

本日4月7日は「戦艦大和が沈没した日」です。

第二次大戦中、広島県呉市の呉海軍工廠で建造された史上最大の戦艦「大和」は、
1945年のきょう、九州坊ノ岬沖で沈没したそうです。

 

その大和建造地の呉市で2005年、全長約26メートル、1/10スケールの戦艦大和が完成しました。
「呉市海事歴史科学館」通称「大和ミュージアム」のメイン展示物として一般公開されています。

 

  

↑博物館建築当時 

船体は残された実物の資料を基に、地元の造船会社「山本造船」さんで
鉄を使用し、本物の船舶同様に製作されました。

そして弊社はこの上部構造物、いわゆる艦橋部分製作を主に担当、
同ミュージアム開館前からこの大和の建造に携わりました。
船体は鉄製ですが、上部構造物は緻密な造形物が多く、
鉄、真鍮、アルミ等金属の他、FRP、アクリル、
果ては木材、レジン等の材料を駆使して製作しています。

   
↑建造当時

 

さらに、製作の後の定期メンテナンス、新資料発見後の改修工事に関しても、
現在に至るまで継続しています。

最近では今年1月下旬、ミュージアムのメンテナンス休館に合わせてメンテナンスを行いました。
  

基本的には清掃作業です。
船体上部は模型とはいえ大型なので、人が乗って掃除をすることになります。
艦橋パーツは繊細なものも多く、破損の危険があるため、
経年劣化の補修も含めて、製作した弊社が継続して実作業に当たっています。

  
↑足場を組み、船体上での清掃作業。


大まかな流れは、ブロワでの埃落としの後、拭き掃除。刷毛での掃き掃除です。
この際に破損箇所がないかのチェックも行います。
上部は普段人が触れることはないのですが、やはりどうしても経年劣化は避けられません。
また、大きすぎてケースに入れられず、埃がつきやすい展示物でもあります。
そのために弊社が1年に2回のペースで大規模な埃落としと補修作業をしています。

 

また、潜水調査や新資料の発見に伴う新事実発覚もあり、
それに基づく改修作業を行うこともあります。

例えば木甲板上のブルワーク(機銃周りの波除け板)を、当初は丸形状だったものを
新資料に基づき角ばった形状に変更する改修施工を実施したことがあります。

  
↑改修前       ↑改修後

 


本物の大和は現在海中に没したままですが、沈没した大和を引き上げる計画もあるそうですね。
今後も改修等があればこの場でお伝えできればとおもいます。

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(樹)