ニューヨー句

1ニューヨーカーの1ニューヨーカーによる1ニューヨーカーのための1日1ニューヨー句

マネキンの片足上ぐる雁渡し

2009年09月11日 | 欧介
「雁渡し」は初秋の頃に吹く北風。
道子の高校第一日目。ハードスケジュールに驚く。が、本人は気に入ったらしい。特に図書館がいいという。司書の先生がとても厳しい人で、ちょっとしゃべっただけでも怒られるらしい。昼休みは図書館にいるんだよ、と自慢げに言う。
私の高校時代の居場所は音楽室だった。朝、登校するとまず音楽室に行き、昼休みはおろか、わずか10分の休み時間でも音楽室に行き、もちろん放課後は、残れる限り音楽室に居た。
チェリストのY君は、とても無口で、おとなしい人だったが、早熟の天才で、チェロも、コントラバスも、作曲も、指揮も、ピアノも、それからピアノの調律も、すべてうまかった。フォーレの曲を何曲もいっしょにやった。メシアンが好きで、時の終わりの四重奏をとてもやりたがっていた(が私のピアノの腕には難しすぎた)。バルトークのカルテットなんかにも付き合ってくれた。春の祭典の連弾を弾いた。
学園祭の前日の夜遅く、誰も居ない学校の、よく響く理科室で、私だけのために、バッハの無伴奏チェロ組曲1番プレリュードを弾いてくれた。その、初めての素晴らしさに衝撃を受け、もう一回、もう一回、と何度もせがんだのと、何度も弾くにつれて表現がだんだん大げさになっていったのを、覚えている。

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