ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ソナチネ~神は北野武に何物与えるのか

2004年06月13日 | 映画♪
この映画ほど言葉の無力さを感じさせる映画はない。語るべき言葉が見つからない。語る必要もない。言えばいいのだ、「とにかく観ればわかるよ」と。

ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞監督 "世界の"北野武の最高傑作「ソナチネ」。



この映画を観たとき、観客は両手の指の数で足りるくらい。しかも小指のなさそうな男たちぱっかりという感じで。。。確か2週間くらいで打ち切られたはず。まぁ、「HANA-BI」以降だからね、客が入るようになったのは。

沖縄の狂気にように降り注ぐ陽射しの下、「生」や「死」や「日常」や「狂気」や「性」や「暴力」人間の抱える「矛盾」や「不条理」をこともなげに一体のものとして描ききった、「哲学」そのもの。

どんなに難しい言葉を並べようと人間なんて所詮"暴力性"から逃れることはできないのだ。

もともと北野武の映画は武の個人の視点と不可分のところがあり、この映画撮影時の心境については「黒沢明、宮崎駿、北野武―日本の三人の演出家」の中でも自殺願望があったことは認めている。しかし、結果的に例えば文学でいう「私小説」という枠を越えた"乾いた"エンターティメント性と"テーマ性""哲学性""叙情性"をもたらした。

確か藤原新也も「沈思彷徨」の中で沖縄の陽射しについて狂気性を指摘していたと思し、沖縄の音楽自体がある種の非日常性=狂気への誘いを孕んでいると思うし、その意味ではこの映画の舞台は「沖縄」以外ではありえなかったのだろう。

元東大総長でもある蓮寛重彦は何かの授賞式で「これ以上の映画を北野武は撮ることができない!」とコメントしたとか。わかるよ、その気持ち。僕も見て震えたもん。しかしその後も北野武は「キッズ・リターン」「HANA-BI」やら「Dolls」やら名作を連発!まったく神は一体何物与えるのやら。

結局何を言いたいのかわからなくなってしまったが、とにかく言いたいのは一言。

「とにかく観ればわかるよ」

僕にとって、これ以上の映画に出逢うことはないのではないか。傑作。



1 コメント

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たけしは哲学だ! (ぱんだ)
2005-04-19 12:18:44
はじめまして、ぱんだといいます!

たけし、深いですね。

とても考えさせられます。

私のHPにも投稿したので、よかったら

お寄りください。

コメントなんどいただけると喜び倍増です!

よいブログでしたので、コメント&TBさせて

もらいました!

また寄せて頂きますね!

これからもよろしく~!
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