PPC広告から主戦場はアフィリエイトへ ―BLOGによるプロモーションの可能性

PPC広告から主戦場はアフィリエイトへ――。バリューコマースを買収し、Yahoo！も本格的にアフィリエイト事業へ仕掛けるようだ。とはいえ、アフィリエイトは決して目新しいモデルではない。ここにきて急速に注目を集めている理由は何なのだろうか？

ヤフーもTOB仕掛ける！--バリューコマースを子会社化しアフィリエイト参入

アフィリエイトが注目を集めている理由として、大きく二つの軸から考えてみたいと思う。1つは、BLOGの急速な発達とそれを利用した個人によるアフィリエイトの普及というもの。これについては多くの人が何となく感じていることではないかと思う。僕も含めて、多くのブログが楽天かアマゾンのアフィリエイトを利用しているのではないだろうか。

これまでも人気のあるサイトやHPではアフィリエイトというのは行われていた。しかしそれはあくまで多くの人が集まるサイトが中心だったと思う。それは契約や手続きの問題だったのか、管理するシステムの問題だったのか、あるいはEC市場の立ち上がりの問題だったのか、効率の問題だったのか、いずれにしろ、個人が導入するには障壁があった。それがここにきて手続き的にも、システム的にも個人が容易に導入できるアフィリエイトプログラムが登場し、かつブログという個人が手軽に利用できるある種のHPの仕組と結びつき、誰もが手軽に「小遣い稼ぎ」という風潮になったのだろう。

これを本職としている人は稀だろうが、どうせブログをするならちょっとでも儲かればいいとか、例え何百円かでも実際に成果と結びついた時の「感動」がこれを支えているのだろう。

しかしこうした風潮は個人にとってはそれでいいのだろうが、企業にとってはそう簡単ではない。

実際にブログなどで利用されるアフィリエイトプログラムというと、「楽天」か「アマゾン」か「アドセンス」が圧倒的だ。これは楽天とアマゾンという既に有料課金可能な顧客基盤を有するサイトがさらにその基盤を拡大する可能性を意味する。ここにYahoo！が本格参入した意図があるのではないか。Yahoo！もまたヤフオクを中心に大きな顧客基盤を保有している。ならば、我々も参入し、維持・拡大、あるいは流通量の増大を目指さねば、というころだろうか。

ではそれ以外のプレイヤーが注目する理由は何故か。楽天の場合は楽天広場というブログを持っているものの、アマゾンにはないし、Yahoo！もBLOGでは後発に入る。ブログ利用者のシェアでいけば、「はてな」や「livedoor」や「goo」などがメインプレイヤーになるだろう。収益モデルを考えれば、彼らも自らのブログ利用者を自サイトのサービスの活用や広告収入のための基盤として利用したいと考えるのが普通だろう。またYahoo！、楽天、アマゾンで販売していない商品というのも当然ある。そうした商品やサービスを提供している企業からすると、ブログを通じてそうした商品の販促に結び付けたいという思いも当然あるだろうし、またそれを仲介したいと思う広告代理的もあるだろう。そうした思惑が、アフィリエイトが注目を集めている理由の一つと考えられる。

そしてこれとは全く違う観点からもう1つ。

「アドセンス」に見られるように、ここには仕掛けとして入り込む余地があるからではないだろうか。

現状のブログで用いられるアフィリエイトを考えた場合、大きく2つの形式が考えられる。1つはブログの管理者自身が、紹介する商品を選択する場合。つまり、「今妻」の書評を書いたから「今週、妻が浮気します」のアフィリエイトをしようというパターンだ。それに対して、アドセンスが提供しているモデルというのは、googleが勝手に記事から類推して特定の広告を紹介するというもの。つまり、管理者の意図とは独立して、ブログ内に広告コーナーが設置されるというもの。

ここでその是非は問わない。

こうしたシステムと結びついた広告・アフィリエイトの入り込む余地があるということが、あるいはそこを制することで莫大な富を上げることができるということが、注目されている理由の一つではないだろうか。

アドセンスのような形で、つまり管理者の意図に関わらずショッピングサイトの商品がブログ内に掲載されたり、アバタに新しい服やアイテムを着せることでそのまま商品の広告・アフィリエイトに結びつけるといったこともあるだろう。あるいは、RSSを利用した広告配信のような形態もあるかもしれない。

Googleがアドワ―ズ広告で莫大な利益を得たように、ここにはまだ見ぬ金脈が眠っているのだ。たぶん。