子母沢寛原作の「座頭市」、勝新太郎版が本家とすれば北野武版、今回の綾瀬はるか版と分家も頑張っている。
単なるアイドル主演作を上回る期待以上の娯楽作になっている。ワーナー配給で国外市場も視野に入れているらしい。「洋楽」の美しい旋律も違和感なく物語を盛り上げる。敵役・万鬼一党の衣装がいわゆる「かぶきもの」のそれで異彩を放ち、戦いシーンでの敵味方も分かりやすい。
曽利文彦監督作品。「ピンポン」組の窪塚洋介、中村獅童も準主役で登場、あくの強さを見せる。
女性の「市」は篠田正浩監督の「はなれ瞽女おりん」+「座頭市」を思わせる造形である。
溜めに溜めたものが一気に解き放たれるカタルシスは娯楽映画の定石で、その見本のような作品だ。ただ「剣が抜けない」大沢たかおがちょっとオーバー過ぎやしないかという意見はあるかもしれない。
ラストは西部劇「シェーン」の風情。