SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「ヤコブへの手紙」

2011年01月28日 | 映画(ヤ行)

 主要登場人物3人、上映時間75分の簡素なスタイルながら、心を揺さぶる北欧発の秀作。

 フィンランド寒村の牧師館が舞台。他に人が住んでいるのかどうか分からないような過疎の村だ。そこに郵便配達夫は毎日のようにやってくる。年老いた牧師の生存確認も兼ねているかのようだ。

 盲目の牧師の元へ、恩赦で釈放された女囚が補助を請われてやってくる。彼女の心のすさみ様も凄い。そこからスタートする危うい日常に、牧師に救いを求めて毎日届いていた手紙が・・・。

 北欧の寒気の中に一条の光が射すまでをじっくり描くような作品だ。救っているものが実は救われていることもある。それぞれの「気づき」が描かれる。

映画 「キック・アス」

2011年01月19日 | 映画(カ行)

 脳天気なヒーローオタクのコメディかと思っていたらさにあらず。

 ハードなバイオレンス描写に驚いてしまった。何しろヒーローになりきってさあこれから活躍、という初の登場シーンでヒーローは腹を刺され、挙句に車に跳ね飛ばされてしまうのには参った。

 その過激な世界に自分から足を踏み入れてしまった青年の純情を影でハードに支える仲間が現れ、ヒーローチームとして機能する。

 過激パートはニコラス・ケイジの出番だが、小学生くらいの娘がそれに劣らず平然と殺戮を実行してしまって・・・、オイオイそれでいいのかよ、の世界だ。

 あの娘は年齢制限付きの自分の出演映画を完成形で見ることが出来るのだろうか?

 子供には勧められないが、大人には面白い作品だ。抜群に。

映画 「ルンバ!」

2011年01月17日 | 映画(ラ行、ワ行)

 夫婦が運転する車の前に飛び出した自殺志願の男によって、夫婦の人生は一変。悲惨この上ない地獄のような日々が訪れる。

 が、これが脳天気なコメディとして面白おかしく描かれる。

 アベル&ゴードンの道化師カップルが監督・主演で、日本では2010年に、長編デビュー作に当たる「アイスバーグ」と同時公開されている。続けて見ると、またあの二人が出てきた、という感じで、今度は何をやらかすやら見入ってしまう。

 共通しているのは、夫婦が何らかの理由で別離し再会するというパターンで、そのいずれにも運命を変える男が絡んでくる。

 50代のカップルだから若さのキレはないものの、身体アクションをベースにしたコメディ表現のユニークさは見ものである。

映画 「アイスバーグ」

2011年01月12日 | 映画(ア行)
 冒頭、イヌイット語を話す地上最後の一人、という女性が出てきて、自分の父母の出会いの物語を語ると言う。

 が、始まるのは全く別の家庭の話である。カフェを経営するそこの主婦がある日突然、自分が求めているものが何かを悟って家を出、夫がそれを追う話である。これが物語の主筋で99%を占め、最後の最後に冒頭の女性の父母の出会いがある。

 何やら難解な映画のように聞こえるかも知れないが、これが全くのコメディ。監督もやっている主演のカップルは道化師だそうだ。なるほどサーカスのピエロがやりそうなエピソードが街に繰り出した感じはそのためだ。

 しかし、この作品が18禁の成人映画なのだ。寝ぼけたままパジャマを着替えるシーンと海で水着を着るシーンで裸が出るためだ。この規制のほうがよほど馬鹿げて見える。