鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

ワイドスクリーンバロックな話

2009年02月27日 21時38分42秒 | ゲーム・コミック・SF
今日も変わらず通勤電車の中でSFを読み続けている鴨ですヽ( ´ー`)ノこんばは。
本日読了したのはこちら。SF史上古典中の古典です。

非Aの世界/A・E・ヴァン・ヴォークト、中村保男訳(創元SF文庫)


1945年の作品。第二次世界大戦終結の年!Σ(-Δ-; その後の冷戦構造に通ずる不穏な社会情勢を反映した作品・・・と言ったら言い過ぎでしょうね、たぶん(笑)。
SF者を自認する鴨としてはお恥ずかしながら、ヴァン・ヴォークトはこれが初読です。初読で「宇宙船ビーグル号の冒険」でも「スラン」でもなく、この怪作を選んだところに心意気を感じ取っていただければ、とヽ( ´ー`)ノ一応読了しましたけどね、この作品のどこをどうレビューすればいいのかヽ( ´ー`)ノなんですかこのパワーは。ストーリーは完全に破綻してます。ハリボテのようにケバケバしい世界観、支離滅裂なキャラ造形、プロットの組み立てとかシーンの整合性とかそんなの関係ねぇ!と言わんばかりの物語展開。はっきり言って全く感情移入できない、異質極まる作品です。が、そんなトンデモなさを特徴とする物語ジャンルがSFには存在するのです。それが、あのアルフレッド・ベスターを筆頭とする「ワイドスクリーン・バロック」です。
ワイドスクリーン・バロックの特徴は、牧眞司氏が「解説」でたいへん的確な表現をしているので、それを引用させていただきます。

「・・・すんなりとまとまった物語、理路整然とした展開、納得のできるアイデア、そうしたものを求めるなら、ほかにいくらでも読む本はあるではないか。ヴァン・ヴォークトの作品を読むのは、想像力の濁流を急ごしらえのボートでくだる冒険だ。その興奮は、遊園地や観光旅行ではけっして味わえない。ただし途中でボートが転覆したり、予定していた目的地と違うところに漂着したからといって、文句を言うのはスジ違いである。」(牧眞司氏「非Aの世界」解説より)

「非Aの世界」を解説するのに、これ以上相応しい言葉はないと鴨は思います。すげぇなヴァン・ヴォークト。誰も手を付けられませんよこれはヽ( ´ー`)ノ

それにしても、この訳文は何とかならんもんですかね・・・(^_^;本邦初訳1966年の作品ですから古臭いのは致し方ないとはいえ、古臭さ以前に訳文が稚拙過ぎです。新訳版を激しく切望。
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