今月の週末はお出かけが続いたので、最後の週末は自宅でのんびりしておりますヽ( ´ー`)ノ
久しぶりに、読み終わったSFの紹介でも。これを読んで意外に面白かったので、ひょっとしてディックの長編って面白い?と思ってこちらの作品にチャレンジしてみました。
ユービック/フィリップ・K・ディック、浅倉久志訳(ハヤカワ文庫SF)
超能力者による産業スパイ活動が日常茶飯事となっている近未来。超能力者集団の怪しい動きを阻止すべく集められた不活性者(超能力者の能力発現を阻止する能力を持つ者、いわば「反超能力者」)達を率いて月面に乗り込んだジョー・チップは、敵の返り討ちに遭って雇い主ランシターを失ってしまう。大きな痛手を受けて地球に帰還した彼らが見たものは、あらゆるものが古び朽ち果ててゆく恐るべき時間退行現象に見舞われた地球の姿だった。退行現象を止められるのはただ一つ、「ユービック」と呼ばれる謎の物質のみ。不活性者たちも一人、また一人と退行現象に巻き込まれて死んでゆく中、何とかこの現象を食い止めようと奔走するジョー。果たして時間退行現象の原因とは、そして「ユービック」とは?
うひゃー、やられた。面白いですわ。
冒頭の超能力者集団と不活性者集団の対決に至るストーリー展開で、これは手に汗握る超能力アクションが繰り広げられるのか!?と思いきや、この設定は途中からどうでもよくなりますヽ( ´ー`)ノいやホントにヽ( ´ー`)ノ。この「不活性者」というアイディアだけで充分SFが一本書けると思うんですけどね、ディックにはそんなことどうでもいいんですねぇ(笑)
それよりもキーポイントになるのが、同じく冒頭に登場する「半生者」というもの。事故や病気で死にかけている人間を冷凍棺桶にブチ込んで死期を引き延ばし、遺族や関係者が必要な時にだけ、脳を活性化させてマイクを通して会話できるようにする。生者の都合で脳を活性化させられるたびに死へと近づいて行く、死んだわけではないけど生きているとも言えない存在です。この何とも気色悪い(ディックらしいとも言える)存在が最初にちらっと登場するのですが、これが後々大きな意味を持ってきます。
ストーリーはディック作品にしてはかなりスムーズに読める方で、SFサスペンスとして、ちゃんと破綻なくまとまってます。とはいえ、物語全体に漂う不穏なムード、そこかしこに登場する薄気味悪いガジェットなどは実にディック的。時間退行現象が始まってからの重苦しい閉塞感に満ちた描写は、読んでるこちらも息が詰まってくるぐらい重い重い。救いがないのに前向きなラストも印象的。
またこのラストがねぇ。それまでの謎が解けて一応スッキリしたなー、と気を緩めたところにえっ!?Σ(-Δ-;ですよ。ディック節炸裂ですねぇ。
前回紹介した「虚空の眼」よりもディック臭が強い作品だと思います。でもかなり読みやすいので、初心者にもお勧め!(-_☆
久しぶりに、読み終わったSFの紹介でも。これを読んで意外に面白かったので、ひょっとしてディックの長編って面白い?と思ってこちらの作品にチャレンジしてみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/10/536a1469961f8bf97605117ffdaa6458.jpg)
超能力者による産業スパイ活動が日常茶飯事となっている近未来。超能力者集団の怪しい動きを阻止すべく集められた不活性者(超能力者の能力発現を阻止する能力を持つ者、いわば「反超能力者」)達を率いて月面に乗り込んだジョー・チップは、敵の返り討ちに遭って雇い主ランシターを失ってしまう。大きな痛手を受けて地球に帰還した彼らが見たものは、あらゆるものが古び朽ち果ててゆく恐るべき時間退行現象に見舞われた地球の姿だった。退行現象を止められるのはただ一つ、「ユービック」と呼ばれる謎の物質のみ。不活性者たちも一人、また一人と退行現象に巻き込まれて死んでゆく中、何とかこの現象を食い止めようと奔走するジョー。果たして時間退行現象の原因とは、そして「ユービック」とは?
うひゃー、やられた。面白いですわ。
冒頭の超能力者集団と不活性者集団の対決に至るストーリー展開で、これは手に汗握る超能力アクションが繰り広げられるのか!?と思いきや、この設定は途中からどうでもよくなりますヽ( ´ー`)ノいやホントにヽ( ´ー`)ノ。この「不活性者」というアイディアだけで充分SFが一本書けると思うんですけどね、ディックにはそんなことどうでもいいんですねぇ(笑)
それよりもキーポイントになるのが、同じく冒頭に登場する「半生者」というもの。事故や病気で死にかけている人間を冷凍棺桶にブチ込んで死期を引き延ばし、遺族や関係者が必要な時にだけ、脳を活性化させてマイクを通して会話できるようにする。生者の都合で脳を活性化させられるたびに死へと近づいて行く、死んだわけではないけど生きているとも言えない存在です。この何とも気色悪い(ディックらしいとも言える)存在が最初にちらっと登場するのですが、これが後々大きな意味を持ってきます。
ストーリーはディック作品にしてはかなりスムーズに読める方で、SFサスペンスとして、ちゃんと破綻なくまとまってます。とはいえ、物語全体に漂う不穏なムード、そこかしこに登場する薄気味悪いガジェットなどは実にディック的。時間退行現象が始まってからの重苦しい閉塞感に満ちた描写は、読んでるこちらも息が詰まってくるぐらい重い重い。救いがないのに前向きなラストも印象的。
またこのラストがねぇ。それまでの謎が解けて一応スッキリしたなー、と気を緩めたところにえっ!?Σ(-Δ-;ですよ。ディック節炸裂ですねぇ。
前回紹介した「虚空の眼」よりもディック臭が強い作品だと思います。でもかなり読みやすいので、初心者にもお勧め!(-_☆
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