鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2015/10/29

2015年10月29日 21時47分01秒 | ゲーム・コミック・SF
肌寒さを感じる季節となりました。皆さん、風邪など召されてませんか?お大事に。
鴨の好きなSF、「子供の頃の夏休みに読むものだからイメージ的には夏」と仰るSF者も多いですが、鴨的には寒く閉塞的な季節に読むSFも良いもんだと思っております。想像力の翼を現実世界の外まで広げる文学ですからねヽ( ´ー`)ノ
さて、先日読了したSFのレビュー。日本SFも幅を広げましたなー。

象られた力/飛浩隆(ハヤカワ文庫JA)

イマジネーションの奔流、理性ではなく肌で理解する物語。

鴨が飛浩隆氏の作品を初めて読んだのは、2年前に読んだ「日本SF短編50 V」に収録されていた「自生の夢」。正直言って、まったく訳が判りませんでした。でも不思議と気になって、海外での評価が高いというハロー効果もあってか、この短編集を手に取ってみました。

で、読んでみた感想ですが、正直なところ、やはりよく判らない、と思います。例えばSFを読み慣れていない友人にこの作品を判りやすく紹介せよ、と言われたら、鴨にはできないと思います。ポイントを押さえて巧いこと言語化して要約することが難しい作品だと思います。
元々言語で記述されている小説なのだから、「言語化が困難」というのは言い訳に過ぎないということはよく理解してるつもりなんですが、本当にこの世界観、言語だけでは押さえきれないんですよ。「絵になるSF」の極北、音や視覚や嗅覚といった五感を駆使して読み解くワン・アンド・オンリーな世界観です。表題作の視覚的なカタストロフィは特筆モノですね。この作品を母語で読めるということは、日本人SF者としての至福のひとときかもしれませんね。

こうした「認識のパラダイム・シフト」を前提としたSFは、実は日本SFの得意とするところなのではないか、と鴨は感じています。SFという文学フォーマットでこそ挑戦可能な分野だと思いますし、今後もより先鋭的な作品を期待しています。
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