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11月17日 田原牧著『ほっとけよ。-自己決定が世界を変える』

2006-11-27 04:47:28 | 抱茎亭日乗メモ
 田原牧著『ほっとけよ。-自己決定が世界を変える』を図書館で借り、読むのが遅いので返却期限を過ぎて、やっと読了。

とても面白かった。
東京新聞記者で、宮崎学責任編集『直言』に連載を持つ田原さんは背が180cm以上あると思う、長身の美女。
中東問題、イスラム社会に非常に詳しい。
語り口・文章は「で、あんたはどうするんだ」と、聞くもの、読者に迫るものがあって、男らしい。

私がこの本に興味を持ったのは、トランスジェンダーは、イスラム社会ではどう受け止められるのか、トランスジェンダーの田原さんはイスラム社会でどう行動したのか、という、かなり不躾な好奇心があった。

会社の人たちが、女性たちが、取材先の公務員が、左翼・リベラルの人たちが、任侠の世界の人たちがどういう反応をしたか、というのは大変興味深い。

意外だったのは、田原さんがトランスを始めたのは30代後半になってからで、それまでは中東を取材していた時はもちろん、社会部に属して、裏社会にも通じた「肩で風切る」タイプのバリバリの男性記者だった!ということ。
それは皆仰天だろうなあ。

私は、以前から性同一性障害と、ジェンダーフリーの関係について疑問を持っていた。
「男らしく、女らしくあれ」という抑圧から解放された社会、男女平等の社会を目指すジェンダーフリー。
いいじゃないですか。男女の社会的役割を固定せず「自分らしく」。
最高じゃない?

性同一性障害。自分の性別に違和感を覚え、異性になりたいと強く願う。
「身体は男(女)だが、女(男)として女(男)らしく生きたい」
それって、ジェンダーフリーと対立する考えなのか?病気なのか?
この本を読んで、誰がどういう理由でトランスジェンダーを性同一性障害という病気、障害にしたのかがわかった。

フェミニズムの女性たちが「何故化粧をするんだ、誤った女性性の強化に加担する行為だ!」と田原さんに怒ったという話は滑稽だ。
ほんと「ほっとけよ。」
というか、田原さんがあまりに綺麗なんで嫉妬があったのでは、とも思う。

田原さんはご自身について「小心者」「臆病」「展望はない」というけれど、私には全くそうは思えなかった。
強くて美しくてカッコイイ。見た目も言ってることも。

「まともな理論を構築できない者は、議論による真贋のふるいを避け、思考力を失った烏合の衆を求める」
個人の「言葉と思考を拒むもの」についての記述。
「ブログを炎上させようぜ」などと言ってる2ちゃんねらーとか、人にああせいこうせい意見して、反論するなら絶縁とか、まさに、という感じ。

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