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今の時代に起きていることを正しく認識し、自分なりの先見の明を持つ。

野いちご

2010-03-11 00:24:02 | ★★★★★★☆☆☆☆
監督 イングマール・ベルイマン
キャスト ヴィクトル・シェストレム、ビビ・アンデショーン、イングリッド・チューリン、グンナール・ビョルンストランド、イェートルド・フリード、マックス・フォン・シドー、オーケ・フリーデル、グンネル・リンドブロム
1957年 スウェーデン
ジャンル:ドラマ

【あらすじ】
ストックホルムで孤独に生きる79歳の老教授が、名誉博士の称号を授与されることになった。式典の日の明け方、自分が葬式馬車の柩のなかに横たわっている夢を見る。車で式典に向かう途中、教授は昔住んでいた屋敷に立ち寄る。そこで野いちごを見つけた彼は、若き日の悲恋を回想する。そして車は式典会場へと向う。

【感想】
映画を製作するような人間であるなら本作は必見とも言えるのでしょうが、趣味で鑑賞する程度の人間にとってはそれほど重要とも思えない。申し訳ないけど年寄りにならなければ、本当の意味で楽しむことはできない映画なのだと思う。

自分で言うのもなんですけど、私はモノクロ映画に対しては同年代の中では理解のある方だと思う。眠くなることはないし、高得点を出す比率もかなり高い。そもそも嫌いであれば一切見ないです。ただ本作は「水の中のナイフ」と同様に完成度は高いのはわかっても心の底から面白かったとは思わなかったです。面白いと思うように自分に言い聞かせた感じ。

78歳の医師が学位50周年を記念して名誉博士号を受ける1日の様子を描いています。途中に偶然知り合った若者や夫婦、過去の自分の生き方を夢で中で回想することで、医師の表向きの名誉とは正反対の負の部分が強調されている。

物語が進むにつれ医師の過去が彼の周りにいる人物にも大きな影響を与えてきたことがわかってきます。特に好きだった従妹を結婚直前に兄に取られたことが大きな影を落としている。これがきっかけで本命ではなかった女性と結婚したため夫婦の関係がぎくしゃくし、父と息子の関係まで悪化してしまう。しかも父と息子の不仲によって息子の嫁の関係にも亀裂が生じる。

つまり主人公である老医者を中心にドミノ倒し的に人間関係の負の連鎖が発生していることがわかります。これが医者としての彼の名声とはあまりに対照的に描かれており、光と影の部分を感じるところです。ただ義理の娘が医者の性格を直接的な言葉で責め立てるシーンはあからさま過ぎてあまり好きにはならなかったです。

タイトルの「野いちご」は映画内のほんのワンシーンに過ぎないのですが、なぜか印象深いです。この何気ない行為である従妹による野いちご採集がなければ、全ての状況は異なっていたという点で主人公ではなく野いちごが物語の起点になっていると捉えることも出来ると思う。

完成度は高く特に欠点を指摘する気にもならないです。面白さを感じなかっただけ。それから本作は最近やたらと多い時間軸を交差させるタイプだが、今の映画ほどは紛らわしくはないです。しかしこの時代から同手法に頼る監督が多かったという事実は私の中で同系列の映画の評価を下げることになった。

映画に文学や哲学的なだけものを求めるのであれば、文句はないでしょう。ただそれなら映画ではなく文学書や哲学書そのものを読めばいいということになると思う。やっぱり現代人にとってモノクロ映画はストレートに伝わってくるタイプの方が良さを感じ取れる。

お薦め度:★★★★★★☆☆☆☆

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