Go The Distance!

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ウッドキャビンの部屋にようこそ!

同じ道を

2010-08-19 00:17:32 | Weblog

谷川岳周辺は馬蹄形に尾根が続いている
青いルートが予定していたルート
(谷川岳→一の倉→茂倉峠→武能峠→蓬峠→清水峠→朝日岳→白毛門→土合)
赤いルートが実際のルート
(谷川岳→一の倉→茂倉峠→武能峠→蓬峠→清水街道→土合)



供養を終えた翌日
YOMEと兄と私の三人で谷川岳麓の麓へ出発
あいつと同じ道を歩くためだ

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土合駅を過ぎ、谷川岳ロープウェイへ



今日から3人で1泊2日の谷川岳の縦走だ



あいつは単独で雪の谷川に入っていったので東回り、西回りのどちからを行ったのかわからないが、同じ道を三人で歩いてみることにしていた



谷川の縦走ルートはガイドブックに乗っていない



富士山、八ヶ岳などのように誰でも登れるような整備された登山道で
スニーカーでも登れるそんなハイキングではない

警備隊の隊長さんも言っていたが
上級者コース

だが
我々3人は本格的な(上級者が登るような)登山縦走は始めて
山に一番慣れているのが兄だが(仕事から毎日山に入っているので)これだけの長い距離を歩くの始めて
私も体力こそ自信はあるが、昨日の沢登りでまったくついていけず何度も足首をひねりそうになりかなり緊張していた
唯一リラックスしていたのがYOMEくらいか



ロープウェイで天神平へ
そこからリフトで山頂へ



天神峠到着
標高1502m



ここまでは文明の利器を使わせてもらう
実はこれを使って2日間でギリギリ回れるぐらいのコースタイムなのである



谷川岳は「魔の山」と呼ばれている



『谷川岳の標高は2,000mにも満たないが、急峻な岩壁と複雑な地形に加えて、
中央分水嶺のために天候の変化も激しく、遭難者の数は群を抜いて多い。』
(Wikipedia『谷川岳』より)

分水嶺(ぶんすいれい)と言われてもピンとこないが
上の写真を見てもらうと分かるように、西からの湿ったが山にぶつかり雲が山の反対側の斜面に固まっている
これが冬だったら針のように細い尾根づたいに風が吹きつけ雪が尾根を覆い隠すように
斜めに降り積もる
夏場でさえ、足の置き場に困るくらい細い尾根伝なのに雪で尾根が見なくなったら…
考えただけでも恐ろしい



登山道と呼ばれている場所も
人が何とか通れる
そんな場所の連続でした

ロープウェイ山の上まだ登ったんだからそんなにキツクないだろう
なんて思ったら大間違い
細かいアップダウンや大小様々な岩を避けたり乗り越えたりと
膝にかなりの負担がかかるのがよく分かります



歩き始めて2時間半
ようやく谷川岳の一つ目の山頂「トマノ耳」
標高1963m



谷川岳はピークが二つある双耳峰

さらに下ってまた登り返すと最高点の「オキノ耳」
標高1977m



…とここで風は吹き始め
雲が動き、昨日歩いた沢が見えてきた
一の倉の沢の真上だ

このあたりならどこから落ちても真下の沢まで真っ逆さまだ

お前が見せてくれたのか
俺たちに見せたかったのか



一般の登山客はここまで登ってロープウェイまで戻る
これなら(谷川岳山頂まで)日帰りコースも可能だ
だが我々はさらに先を目指す

とても人がすれ違うことの出来ないような道だ
一歩足を滑らせたら沢までまっしぐらだ
道と呼んでいいのか…



一の倉岳に到着
登山客はめっきり減った
今、歩いているのは上級者コースだからだ

時刻は午後1時を過ぎている
照りつける日差しが容赦なくとても食欲はわかないが
食べなくは歩けない
無理でも食べる



ランチメニュー
インスタント麺、魚肉ソーセージ、カローリーメイト

尾根上に日陰らしいところはどこにもない
どこまでもクマ笹が広がるばかり



そろそろ兄が遅れだした
膝に来ているようだ

慣れない道を先行する



どこまでも山脈が続く
360度、すべてが山だ

我々以外誰もいない

日常から完全に切り離された世界

これがあいつの世界
あいつが選んだ世界

この道で誰もない…降り続く雪の中をラッセルしながら、前へ前へ
お前は何を思っていたんだ



不思議な気分だ

俺には山に魅せられたお前の気持ちは分からない
トレーニングだと言い聞かせでもしないかぎり自ら登る気にもならない

でも
この圧倒的なまでの自然にほんの少しだけ安らぎを感じる自分がいた
ほんの一瞬だが



定期的に休みをとるようにしている
いつものトレーニングと一緒だ
過信していると痛い目に合う
それに兄の膝と同じように遅れ始めたYOMEも気になる

2リットル以上持ってきた水が心もとなくなってきた
今欲しいものは冷たい水をたらふく飲むこと

喉の渇きはずっと続いていたが、身体が欲するまで飲んだら
あっと言う間になくなってしまう



茂倉岳到着
まだまだ先は長い



前方に人が見える
かなり歩きなれた方だろう
気がつくと視界から消えていた



武能岳到着
予定しているコースタイムより大幅に遅れが出ている
日がだいぶ落ちてきた



山の陰が迫ってきた
当初は通り過ぎる予定だった山小屋(蓬ヒュッテ)が見えてきた
(中央の青い屋根)



本当は、蓬峠から2時間ほど行った清水峠の避難小屋(中央の赤い三角屋根)まで行って
テント泊の予定だったが
二人の状態を考えるととてもそこまでは行けない
ここは予定変更で日が暮れる前に蓬峠まで行くことにする



蓬峠の入り口に到着



左側に見える青い建物が蓬ヒュッテ
ここに泊めてもらいたかったのだが、既に満室
オーナーにお願いして、オーナーたちのテント(右に見える赤いテント)を借りることに



兄は待っていましたとばかりに「命の水(お酒)」を味わう

私とYOMEは三人の殻になったボトルをザックに入れて水場へ



ヒュッテの方が言うには、
「15分ほど下ったところ」
でした



まるで崖です
一歩踏み外すと…
水を求めるのも命がけ



本当にあるのか疑いたくなってきたところに…
ありました
山の雪解け水がチョロチョロ流れています

冷たくて…美味しくて…

今までの人生の中で最高の飲み物でした

持参したコップで一気に飲み干し
二杯目を味わいながら…

美味かった
本当に

テントに戻り
早速、汲んできた水を使って夕食
ディナーメニュー
インスタント麺 魚肉ソーセージ 秋刀魚の味噌漬け缶詰 ビスケット

食事を済ませると他にやることもないので
…というか疲れて何もできないので
寝袋を準備して就寝
この時の時刻、午後7時

10時過ぎ、尿意で目が覚めてテントを出る

夜露の降りた芝生の上を裸足で歩き
上を見上げる

息を呑んだ

宇宙の中に立っている

星が
いくつもの星が

どれも手が届く距離にある

手を伸ばす
掴むことの出来ない星を掴もうとした
そんなことが出来そうな気分だ

何だ俺
ちっちゃえなぁ
星が降ってきて今にも潰されそうだ

小さな小さな自分だけど
今、自分が立っている場所は
世界の端っこか、真ん中か

多分どっちもだろう
捉え方一つで世界は大きく変わる

お前も見たのかなこの空を

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2 コメント

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Unknown (yoz4444)
2010-08-19 20:00:06
いやね、分かってはいたのよ。ぼくが遅れたのが予定変更の要因なのは。同じ旅でも主観が違うとこんなに変るのね。どっちもウソは書いてないんだけど。いやこれ、おもしれーな。あと水汲みさせてごめ~ん。兄より。
Unknown (ウッドキャビン)
2010-08-20 07:20:08
>yoz4444さん

三人で行けて良かったと思ってますよ
きっと単独での縦走なら
アスリートの性で、
『目標通りにやならければ』で頭が一杯で
無理してでも行程をこなそうとしたと思います

全員が無事なのが一番ですから

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