=電線の鳥blog=「今日もどっちつかず」

 一般的にどうなのか、みたいなことは、結局、重要なことではない~チップ・エクトン

タテタカコさん~後編

2013年06月30日 | ソングブック・ライブ
 「こんばんは、今日は有難うございます。」
 そう言って、タテさんは後ろから私たちに声を掛けたのだった。
 さる6月1日(土)長野ネオンホール。「録り歩くツアー」の3回目。私たち(私と家内)は、タテタカコさんのライブに接することができた。
 ネオンホールは民家を改装した2階にある。階段をのぼって代金を払っているときに、不意に彼女が中から現れたので、驚いてちゃんと返事ができないうち、タテさんはすたすたと階段を下りて行かれた。家内は、ホールのスタッフだと勘違いして「可愛い人がいるな」と思ったそうだ。彼女は音だけ聴いていて顔を知らなかったせいもあるが、その位さりげない登場だったのだ。
 旅行から帰った後、おじさんの薦めに従ってさっそく「敗者復活のうた」を購入し、2曲目(1曲目はピアノのみのインスト曲)の「君は今」で、私はすっかりやられてしまっていた。
 次に買ったのは「稜線の彼方へ」で、中でも「春風」が良かった。特に「♪大きなコイが泳いでいる 狭い川の中をユラユラ」のくだりが好きだ。
 私たちは、ドリンクを買って最前列に坐り、登場を待った。
 タテさんは、登場すると草履のようなものを脱いでソックスだけになり、来場のお礼やら、トイレの案内やら、演奏中でも遠慮なくドリンクのお代わりを…などと、ピアノに乗せて語った。
 そして「宝石」でライブが始まると、家内は途端に泣いてしまった。
 ♪ボクはおと~ぅさん と おか~ぁさん の こぉ~ども~だよ~
 これは新曲かな、素朴で胸にせまり、私も泣きそうになってしまう。
 年をとるにつれて新しい(と感じる)表現に接することは難しくなっていく。ところが、昨年はサカキ・マンゴーさんという驚きがあり、タテさんにしても、これまでに聴いたことのない世界だと感じる。
 短期間に凄いことだよ。
 ピアノと歌だけであるから、その新しさにテクノロジーの要素はない。
 彼女のつくるメロディーにはどれも推進力がある。そして、ことばがすっきり入って聴きやすい。ピアノのことは知らないので、間違ったことを書いているかも知れないけれど、ライブで見ていると、左手(低音部)が強くて、右手伴奏、左手旋律のところもある。また、ペダルで和音を混ぜていくようなところなどは、自然と音に集中させられる。
 途中、震災を契機としたコラボレーションの披露。「しあわせの歌」で、いったん終り、アンコールを2曲やってライブは終了した。
 ネットで見つかるライブの記事では、彼女のMCについて書いているものが少ないようだが、これが結構面白い。ユーモアのセンスある。仕方ないのかも知れないけれど、会場が若干思いつめたような雰囲気になりがちだと思うので、お客側が、もう少しリラックスすると良いのではないかなあ。
 ライブ(と通販)限定のCD「へんぺい足」が欲しくて、物販コーナーで手にとっているのにスタッフが反応しないので変だな…と思っていると、タテさんが現れた。あ…本人が手売りするのか。
 「サインとかしますか?」
 もちろんお願いします。家内がライダー氏のことを話すと、「知ってる人かも…」と言っておられた。そうだ、この日は、彼に再会できる…という期待もあったのだが、来られていなかったようだ。(小さいライブハウスなので、見落とすことはないはず。)
 握手をする。演奏後の、しっとりと熱くて弾力のある掌。そして、タテさんは、まっすぐこちらを見て笑ってくださったのだ。
 偶然の出会いから、このように物事が転がっていくのは嬉しい。いい日だった、ライダー氏有難う。
 「録り歩くツアー」のライブ音源をもとに、夏には3年ぶりの新譜が出るようで、楽しみに待とう。

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