★★★★☆ そして父になる・・・。まさにそんな作品。秀悦
6年間育てた子は他人の子でした・・・
看護師の悪意で我が子が取り違えられた事をしらされた2組の家族を前に弁護士は言う。
「こういう場合100%が血の繋がりを選びますよ。
とりかえるなら早いほうがいい-------」
「犬や猫じゃないんだからそういうわけにはいきませんよ・・。」
「何言ってんの!? 犬や猫だって出来ないわよ!」
そんな彼らをそう怒鳴りつけたのは斎木夫婦(リリーフランキー&真木ようこ)だ。
慰謝料とってやる~~!!怒り心頭な彼らだけど当然だよね!!
しかしそんな彼らを冷ややかに見つめる(見下す)野々宮。
仕事も家庭も順調でエリート街道を突き進む主人公 野々宮は
小さな電気屋を営んでいるという夫婦を見た時
自分達夫婦の方が子供を幸せにできると思った
そして言ってしまったのだ。2人ともください!-----と。
しかしそれは後にとんでもないしっぺ返しを食らう事になる。
確かに野々宮家は裕福で 子供には最高の教育環境を与えていた。
そして勿論彼は 家族を愛する良き父親だった・・。
しかし彼はこの時まだ気づいていなかったのだ・・
自分がこの中で1番子供と関わっていなかったことに。
この事件を知った時 彼は多分無意識につぶやいた。
「ああ・・そんなことだと思った----」っと。
その時 妻はきづいたのだ。
(・・・・だから慶多は(自分のように)優秀じゃなかったのだ)
彼が 慶多を見限っていたことに--。
野々宮の提案で 「取り変え」のミッションが開始。
その中で見えてくるのは
しつけや礼儀を重んじる野々宮と
おおらかすぎる斎木家の 対照的ともいえる子育て模様だ
実子琉晴を家に招くことになった時 野々宮夫妻は
彼を後部座席に1人座らせる。
彼はゲームに夢中で 結局会話らしき会話はなかった。
相変わらず野々宮は多忙で一緒にいる時間も少なく
母親は1人奮闘。 なんだか涙がこぼれそうになった。
一方斉木家では あまりに近い距離の2人に慶多君は大弱り>
ご飯だって早く食べなきゃなくなっちゃうんだから大変だ
しかし戸惑う彼を しっかりと抱きしめ安心させる 斉木母の姿にほっこり。
笑わせて笑顔にさせてしまう斉木父に大笑い。↓シーンは特に印象的だ♪
親の在り方はその家それぞれ---
どちらがいいとか、悪いtか言うつもりはない。
でも子供たちがしだいに斎木父に懐いていくのを見つめる
野々宮の顔が次第に違ってくるのがわかる。
そして少しずつ変わり始める彼の姿があるのですが・・・・
その不安はやはり 的中ーーー。
我が子である筈の琉晴が家を飛び出し斉木家に帰ってしまい
そして6年間育ててきた慶多は彼に背を向けたのだ---。
それは----今まで聞き分けよく、
何も問うことなくただ父の言葉に従っていた慶多の
ささやかな反抗。いやようやくぶつけた怒り・哀しみだったのですね。
泣けました----。
そんな息子を前にして 野々宮はようやくきづく-----。
自分がどんなに自分勝手だったか。
どれほど子供を傷つけていたのかを----。
彼は-この時 自分が息子を愛していたことに---
そして半ば拒絶してきた育ての母の自分への愛にも気づいた。。
「・・それでも 6年間はパパだったんだよ。
できそこないだけど、パパだったんだよ。」
そう涙した野々宮に----泣けました~~。
彼もまた成長したといえそうですよね・・。
男はすぐ父にはなれない。時間が必要---。
でもそれは女だって同じだと思う。
ともに子供に関わっていくことで
だんだん「親」になっていくものなんだもの。
血のつながりか?6年間の愛情か----?
結局 そんなことで 悩んでいたのは
野々宮だけだったんじゃないかな-~。と私は思う。
「どんどん 他人に似てくる我が子を 愛せるんですか-?」
「愛せますよ、もちろん--!!」 即答だった斉木母。
義母(樹木希林)も 彼の育ての母(吹雪ジュン)も
野々宮母も----みんなそうだったはず。
交換にOKした斎木家に疑問もわいたけど---
「戻りたきゃ戻ってこいお前の好きにしていいんだ」って
きっと言ってたんでしょうね。戻るって信じてたのかも。
でもそれはやっぱ-野々宮家を信じて泣きゃできないこと--だったのかもですね。
「不思議 自分の子だけどやっぱ 「慶多」って顔してる・」
そう・・琉晴くんはやっぱ琉晴クンって顔してる(笑)
下の子供たちも子供らしくってかわぃっかったな~~。
子供の顔や性格は遺伝もあるだろうけど--やっぱ
育ててきた愛情が作っていくもの。
親になったら 子供の気持ちをちゃんと聞くこと。
そして無償の愛をそそそぐこと----を心しなきゃね!
私も親として考えさせられる作品でした。
血の繋がり、時間云々より、
誰にとって一番幸せなのか、それを際立たせていたと思います。
聞き分けき分けのよかった慶多くんのラストの行動に実は爆泣きしてしまいました。言葉がない分せつなくて。
野々宮の流した涙にほっとさせられたのは言うまでもありません。
実はアップするのにすっごく時間がかかりました~。
親として思う事が多かったから・・なのかも。良い作品でしたね。
家族が増えたと思えば、取り違えという不幸を少しでも幸せに変換することは出来る。
6年間も育てりゃ、十二分に自分の子供ですよ。
それは犬や猫だって同じなんですから。
そうかもしれません。
実際のところ、この映画でもきれいごとなのかもしれませんが、親子について多くの人に考える機会を与えた作品だったと思います。
繰り返し見ることはないと思うけれど、受賞も納得の邦画らしい秀作だと思います。
『6年間も育てりゃ、十二分に自分の子供・・。
子供が増えたと思って----』
うん。ほんとそうですね。どちらももはや我が子。
ともに大切に育てていくことが答えなんだと思います。
被害者は親ではない子供なんですもんね。
やっぱ色々と考えさせられる作品でした。
この事件で彼が義母への感謝の気持ちを持てた所も良かった。
あの涙には ほっとさせられる何かを感じました。
こうしたこまかやな描写は本当に邦画らしいと誇りたいです。
秀作でしたね!!