牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

先達達の和牛語録

2009-08-18 22:43:20 | 牛の改良



筆者の本棚には、60年以降に発行された畜産書の数々が並んでいる。頁を捲れば紙が劣化して破れそうな本もいくつかあり、全国和牛登録協会編「最新の和牛」(50年出版)などがそうである。
当然ながら、その当時の最新技術は、今時のような多頭化に至っていない頃の技術であり、内容に歴史的な経緯が伺われる。
しかしながら、必要もないのにそれらに目を通すことがままある。
それは、技術と言うよりも、その当時からの和牛に関する様々な変遷に遭遇できることと、当時の牛作りの信念如きが伝わり、牛作りの初心に戻れるからでもある。
60年頃は、和牛の使用目的が役用牛から肉用牛へと変更され、牛肉生産が産業として普及し始めた頃であり、当時の専門家達の意気込みがこれらの書籍から伝わってくる。
全国和牛登録協会初代会長でもあった故羽部義孝博士は、和牛改良に携わる関係者にその基本理念を標語にして周知徹底した。
「信用は登録の生命なり」「牛つくり 草つくり 人つくり」は余りにも有名である。
諸々の技術は当然のことながら日進月歩の如く進歩する中で、この標語は、いつの時代にも共通の理念が生きている。
先達の優れた教訓である。

肉色

2009-08-17 21:35:44 | 肥育
BMS no.12(鹿児島県山田氏の出荷牛)




BMS no.2


一般的に和牛枝肉の格付け時に肉食が赤いのは、理想的な肥育がなされていないためである。
枝肉格付けによれば、BMS no.が高い(写真上)ほど肉食は良好で、肉色判定基準であるBCS no.は3~4程度を示し、BMS no.2~4(写真下)の大部分がBCS no.5~6に判定されている。
これは、筋肉内脂肪(サシなど)の蓄積割合が多くなれば、赤肉の要因とされる赤色筋繊維や酸素やミオグロビンなどの割合が減少し、一方で増えたサシの色の影響を受けて、BCS no.に見られるように赤肉特有の色素が薄くなる現象であると判断している。
つまり、サシが良く入っていれば、肉色は濃くならないことになる。
一方、サシが5等級程度に蓄積されているのに、BCS no.が3ではなく4なのかである。
この原因の一つに、体内外のアンモニアが関係していると言われている。
畜舎環境により、肉色の違いが見られ、天井が低く、通気性に欠けている畜舎の場合、アンモニアガスが充満し易く、その影響を受け肥育中は軟便がちとなり、理想的な仕上がりには至らず、出荷された牛はサシもそこそこで肉色も濃くなり易い。
このような畜舎の場合は、深馬屋式でなく、回転良く敷き料を交換するに限る。
ルーメン内にアンモニアが多ければ胃壁を刺激することから食欲が鈍くなり、つまりは順調な仕上がり状態に至らない。
子牛育成時に粗飼料を多給することで、肉色が良くなるかという問いかけがあったが、間接的には、問いかけの通りであろう。
和牛の肥育は、如何に効率よく配合飼料を摂取するかが、体脂肪の蓄積には重要なことであり、そのための食い込みを長期間にわたり良好ならしめるための対策が、育成時の粗飼料の利用性を高めて、子牛の腹づくりを行うことである。
育成時における粗飼料の摂取効果については、再々前述しているので省略する。

厚脂対策

2009-08-12 18:10:23 | 肥育



食肉店で好まれるロース芯面積は、最低でも55cm2は必要だと聞く。
写真のロース芯は、40cm2程度と小さく、逆にその周囲の皮下脂肪や筋間脂肪は多量に蓄積していて、良く言われるところの厚脂である。
この様な形になる理由は、端的に言えば、肥育末期まで配合飼料主体で食い止むことなく順調に食い込んだためと考えられる。
何故その様に後半にいたっても食い込みが衰えないのか。

一般的に、育成期に乾草など粗飼料を順調に食い込んだ牛は、ロース芯が大きい。
育成時に乾草などを飽食させ、生後15ヶ月令から約半年間、βカロチンを含まない飼料の給与を徹底させることで、体脂肪と筋肉内脂肪を蓄積させるための下地が出来るため、その期間にビタミンAを添加しない配合飼料を飽食給与させ、一気に増体させる。
βカロチンの制限と増体による消耗により、生後15ヶ月令で、ビタミンA血中濃度100(IU/dl)であったものは、生後20ヶ月令では、55~60(IU/dl)に下がるようであれば、効果的なビタミンAコントロールが出来ていることになる。
その後はその数値のままか若干下がった状態で後半までゆけば、肥育末期には、食い込みも衰え、毛づやも涸れてくる。
上記のように、何時までも毛艶良く食い込む牛の場合は、常時βカロチンを適量摂取した結果である。
また、生後23~25ヵ月令時に極端な同Aの欠乏により、数日間同A剤を投与した結果、後半に食い込みが良くなり、厚脂になることも多々あり、写真の牛はそのケースであったと記憶している。




新聞を読んで

2009-08-11 19:43:06 | 肥育技術



本日付けの日本農業新聞の末頁に優秀和牛生産事例が3例紹介されている。
1例目は放牧による低コスト生産、2例目は一貫生産事例で、経営者個人の取り組み、3例目は自治体や和牛改良組合における取り組み内容である。

1例目は、全国畜産草地コンクールにおいて大臣賞を受賞した青森県むつ市の鈴木悦雄夫妻の和牛繁殖経営が紹介されている。
和牛の飼育は、夏山冬里方式で、41.39haの放牧地を利用して、成雌牛65頭、育成牛10頭を飼育して、繁殖部門だけで、07年には3,735万円の売上があったという。
自家製堆肥を活用して放牧場や草地などに還元して、粗飼料は100%自家生産、濃厚飼料を含めても約80%が自給飼料で賄われ、徹底した低コスト生産が行われている。
そのために、子牛価格の変動に左右されない安定した繁殖経営であるというコメントが付記されている。
鈴木氏の放牧経営は、「和牛は草で育つ」の理念通りの理想的な経営内容となっている。

2例目は、子牛生産と肥育の一環経営をしいる静岡県の杉浦務氏の事例である。
この経営の特徴は、自家保留する雌牛の選定基準にあり、生ませた初産2産目を肥育し、5等級が出た母牛を残すというもので、種雄牛優先であった考えから、母牛の能力を重視する方針に替えたことにあるようだ。
この方式は、一環経営で、子牛育成から肥育までの飼育内容がほぼ全頭同様である中での選抜方式であることが信頼性を高め、優れた成果が得られていると判断できる。
優れた成績が実績にあれば、その遺伝能力は母牛に潜在的に保有されているはずである。その能力を一々確認しながら、同様の飼育環境で旨く活かしていることに、繁殖部門のみの経営より、効率的に取り入れていることが利点に繋がっている。
また、肥育分野でも、当センターでは、素牛選定については、常に同じ子牛市場で、兄弟牛を導入し、母体の能力と生産者の育成技術について、それらの肥育結果から、ピックアップして選定している。
これは、基本的には、母牛の能力を重視する考えであり、その選定思考は肥育結果からのフィードバックを活かすことで杉浦氏の思考に共通している。
この事例は、つまりは、常に如何に優秀牛を作出するかの意気込みの上で成り立っている成果でもある。

3例目は、各所の大型肥育センターや繁殖経営者などでは既に実施されている取り組みを遅ればせながら自治体なども、繁殖成績をデーターベース化して、繁殖雌牛の出産間隔・肥育効率などの能力を把握したいが狙いのようである。
繁殖雌牛の能力を重視するという取り組みは、10年以上前から全国和牛登録協会が繁殖雌牛の能力を重視した和牛アニマルモデルの基本理念となっており、今日の育種価表示などに活かされ、雌牛重視は繁殖経営者などには一般的で常識の範囲内にある。
雌牛重視が大事だというこれらの紹介記事事態、「今頃か!」であり、行政の取り組みの遅れを危惧する次第である。
が、取り組まないことよりはマシで、係る能力が把握出来るようになっても、それ以降の次の取り組みの方が、厄介である。
筆者も種雄牛と繁殖雌牛との交配結果を重視して分析しているが、両親が同じ組み合わせの全兄弟牛3頭を同様の肥育を行った結果、仕上げ体重はほぼ同様でも、肉質にはかなりの差があったり、3代祖が全く同じの去勢牛20頭の肥育成績についても、かなりのバラツキが見られ、同様の傾向とはならない結果がある。
加えて、繁殖者、育成者、肥育者がそれぞれ異なる環境下では、偶然に好成績になるケースもあるが、大方はバラバラである。
この様な飼育環境にある第一線で活かされる繁殖能力とは如何なものだろうか。
この構想が着実に成就し生産者の利益となることを大いに期待して止まない。

飼料の利用性に富む効率的な肥育を視野に

2009-08-10 19:03:31 | 肥育



増体が順調で、いつまで経っても食いが落ちずに、被毛は実に健康的でてかてかと艶がある肥育牛が、どこの肥育センターでも、何頭かは見受けられる。
このような牛を管理する側は、気分良く給餌などの作業が行われているはずである。
動物特に家畜を育てる場合は、常に健康で大きく育てるのが当たり前という概念があり、その結果を由とする傾向がある。
しかしながら、和牛の肥育の場合は、その発育や増体のステージ毎の飼い方を考慮しなければ、良質の枝肉には成らない。
ただ肥らせるだけでは上記のような肥育結果となる。
特に、肥育後半に至っても、餌の摂取量が衰えず、明らかに毛づやも良く、体重が900kgにも成って、よくぞ大きく成ったと満足げに出荷した結果、枝肉は体脂肪過多で、ロース芯面積は40cm2そこそこで、何とかAランクに成っても、BMS値は3~4程度のものを多々見かける。
体重1トンでも、理屈に叶った肥育法で育てられた肥育牛は、枝肉重量660kg、格付A5で1頭当たり150万円以上というケースもよく見かける。
これが肥育技術の良し悪しと言うことであろう。
枝肉を競り落とす業者らは、枝肉重量が500kg以上のものは扱いにくい、せめて450~500kgでA5クラスが良いと口癖である。
和牛の増体能力が改善され、大きな口を持つ外国種並みの和牛となり、枝肉重量500kgを期待するには意外と楽になり、肉質も年々上昇している。
小さめで、ものの良い枝肉生産が今後の課題であろう。
そのことで飼料の効率的な利用にも繋がるはずである。


肥育中の罹病は

2009-08-09 22:25:52 | 牛の病気



写真は、頬の下辺りに放線菌症の痕跡があり、出荷直前に撮ったが、既に出荷済みの牛である。
同症の原因については前述したように、バーリーストローの鋭い穂先が牛の歯ぐきに傷を付けることで、同菌が侵入感染して同症の発症に至ったと判断している。
同ストローを給与が中止され、稲わらに変わってからは同症の発症は皆無となった。
しかも、発症していた約20頭もそれ以来自然治癒した。

写真の牛も導入後2~3ヵ月からおよそ10ヶ月間、同症に罹病し、その後自然治癒したが、痕跡からも判るようにかなり重症であった。
その後は、順調に増体したが、罹病時の食欲減少が影響して、出荷時体重は700kgに留まった。
仕上がり状態は背腰部に締まった肉盛が出来て、所謂涸れ感が見られ、肉質に期待したが、育成時の肝心な時期の飼料摂取量が順調でなかったことが、結果に諸に表れた。
肥育牛は、その開始から仕上げ末期まで健康でなければ、その牛の潜在能力は発揮されることはない。
今回の牛も例外ではなかった。

畜舎の万全な排水や電気設備も畜産技術のうち

2009-08-06 22:21:51 | 牛の管理


清閑で風光明媚な立地にあって、家畜の飼育環境抜群と豪語していたが、先日来のゲリラ豪雨に見舞われた際に、水没があったと前述したが、立地には優れているが、かなりの傾斜地を利用しているため、2~3の畜舎が水没した。
けれども、今回のような被害は稀であり、豪雨が如何に酷いものであったかが判断できる。開設から間もなく28年目を迎えるが、増頭の度に増設してきたために、不具合のある畜舎も数棟ある。
2日の豪雨は、横殴りで水没箇所も多かったが、庇の下に設置していた畜産用換気扇を稼働させるためのインバーターが漏電により機能不良となった。
雨が上がり、梅雨明けとともに高温状態となったというに、およそ20台の換気扇を2基のインバーターで稼働させていたが、インバーターが使用不能になっため、肥育牛の熱中症の発症が気がかりであったため、インバーター抜きで、換気扇をフル回転させたが、結局過電流状態となり、メーンのブレーカーが加熱し、スイッチが落ちてしまった。
焼けてしまったブレーカーを冷まさせるのに、2~3時間掛かってようやく、ブレーカーがONとなった。
全てのインバーターの稼働電流を1/2程度にセーブさせたため、その後はブレーカーが落ちることもなく静かに稼働させているが、気温30℃以上になれば、肥育後半の牛らには超危険状態となる。
漸く3日目に新品のインバーターが到着し、牛も人もやっと安堵である。
排水にしろ、電気設備にしろ常に万全を期すことも、畜産技術の一環なのであるを実感した次第である。

和牛肉の方向性

2009-08-04 23:54:33 | 牛の改良



写真は、当センターが出荷した鹿児島県産去勢牛で、血統は金幸×神高福×第20平茂、枝肉重量504.8kg、BMS12、芯面積70‡のリブロース6-7間切断面である。
このクラスの枝肉を生産することが、当面の目標であることは否めないが、おいそれとはお目にかかれないのも現状である。
枝肉重量を期待すれば、キメが粗くなるという意見もあるが、それは必ずしも正解ではない。
最近では、但馬系、糸系、勝系とそれぞれの血液が混ざるようになり、大貫物でも、キメの細かいロース芯となることはままある。
写真の牛も、枝肉重量が500kgを越しているが、鳥取系と但馬系からなり、均等な小ザシ状態で芯面積もあり見応えがある。
一般的に、糸系や勝系は粗ザシと言われてきたが、これらも但馬系との交配により、かなり改善されてきている。
そこで、目指すべき肉質となれば、写真のような肉質と言うことになるが、特段この様な肉質を目指すという狙いはない。
肥育経営を行うことは、究極的には、儲かる経営を目指さざるを得ないのが現実的な考え方であり、期待通りの素牛の評価と、その素牛が期待通りに仕上がることが、最終的な狙いである。
社会的な諸条件を考慮にするならば、枝肉の市場性では500kg以内が好まれ、経営的には、BMS7以上でなければならない。
また、将来的な飼料事情を考慮に入れれば大貫物ではない方向性を確立すべきであると認識している。
また一方で、現行ではサシ偏重の格付けが行われているが、消費者が最も食味し易いサシのレベルはどこにあるかを検証すべきであると、常々考えている。
高級とされる写真のような牛肉とBMS7~8程度をあらゆる年代層に食味させれば、最初の一口は、高級肉のジュウシーな不飽和脂肪酸の食感に感動するが、結局完食するのは高級肉ではない事実がある。
この様な現実を受け、真の高級肉とはどのような条件を備えているかを再検討すべき時に来ているような気がしている。
例えば、BMS8程度を高級肉として扱われれば、肥育期間の短縮と肥育飼料の節約が実現しよう。
同時に肥育飼料への穀類偏重も緩和され、言われているところのエコフィードの利用性が高まる可能性も視野の外ではなくなる。
先に開催された全国和牛登録協会の定時総会では、事業計画に和牛の審査標準の改正が提起されている。
それには和牛の将来像を如何なる方向へ改良すべきかが明らかにされるはずである。
和牛生産者の目指す方向性も、それにより有益なヒントが得られるであろうと重視しているところである。

系統の予測が難しい

2009-08-02 17:45:07 | 素牛


以前は、主要な種雄牛が集中して交配されていたため、子牛を見れば、その大方の血統を判断出来たものである。
最近は但馬系とか、藤良系(糸系)、気高系(勝系)などは余程の特徴がない限り見誤ることが多々ある。
それは、兵庫産を除けば、導入先が鹿児島県が主体であり、同県産の導入牛は、3代祖または4代祖の中に必ずと言っていいほど、但馬牛、糸系、勝系がそれぞれに交配されているためである。
ただ、3代祖の組み合わせの中に勝系が交配されていれば、体幅などや増体能力が強力に現れている。
但馬系の場合は、体格部位や角や蹄や骨味などは輪郭鮮明で締まりが良く、つまり品位資質が良く、勝系や糸系との特徴の差が明らかに異なっている。
糸系は、発育の良さに特徴があり、毛色が濃いことも特徴であったが、代々交配を重ねるうちに、他系との差が認められなくなった。
また、個々の種雄牛の特徴が子牛に現れることもある。
例えば金幸の場合は、瞼の周囲に特徴があり、若者たちと言い当てしたものであるが、最近はその産子が少なくなりつつある。
牛の特徴で素牛を選択する時代では無くなった感がある。
それは、繁殖雌牛も種雄牛も優れた親同士から生産され、和牛の能力は質量ともにレベルアップされてきたためである。
ただ、問題点がない訳ではなく、レベルアップしたとは言え、種雄牛の乱立で繁殖サイドでは、今後進めるべき和牛の将来像が確立されていて、その上での交配計画が進められているかである。
有名牛だからと、衝動的に人工授精するケースが未だに行われている。
写真は8月1日に貼り付けた同じ4頭の牛であるが、父親から3代祖に交配されている血液割合は、右端は但馬系44.4%-勝系33.3%-糸系22.3%、2番目は但馬系50%-勝系50%、3番目は但馬系44.4%-勝系11.2%-糸系44.4%、左端は但馬系66.7%-勝系33.3%の血液割合で、4頭とも但馬系と勝系の血が、右端と3番目には糸系がそれぞれ入っている。
 一見、全てに勝系の特徴が見られるが、このうち但馬系の血液割合が最も多いのは、左端の牛で、次いで多いのが右から2番目であり、左端は最も勝系の特徴が出ていて、牛を見ただけでは系統を言い当て難い。
但馬系50%の右から2番目は、辛うじて但馬系の特徴が見られる。

こちらでは、系統にこだわって素牛を導入していない。
以前は、兵庫県産など様々な産地の素牛の導入を行っていたが、写真の肥育牛のように、主立った血統がある程度バランス良く入っているものを揃えることの方が、肥育し易いことと係る技術や飼料設定上効率が高いと睨んでいるからである。
但し、これまで宮崎産を肥育したことが無く、子牛相場を考慮して最近2度ほど導入した。
従前のように安平を主軸とした但馬系であれば、但馬系特有の肥育法を考慮しなければならないが、現在、宮崎で主翼を担っている忠富士は平茂勝の産子、福之国は北国7の8であり、当方が導入している鹿児島県の市場では、安平系の繁殖雌牛がかなりを占めているために、宮崎産とほぼ同様な血統の素牛で占められている。

牛を顔の正面から観察する

2009-08-01 23:37:42 | 審査

写真は導入から4ヵ月を過ぎた育成中の去勢牛である。
ここは、10数頭を群飼いする牛房で、導入から3~5ヶ月間経てば、5頭房へ移動しているため、年間3クールが入れ替わる。
そのたびに、房の前にたたずめば、写真のように並んでくれるので、この様子を良く撮っている。
この様に顔を見せてくれる牛らは、健康上に先ず問題は無いが、むしろ顔を覗かせない牛の方が問題が有りはしないかと気掛かりとなる。

牛の顔の正面に立つと、それぞれに異なる角の形や、体幅に関係する口の大きさや顔の広さなどに目が届く。
口の大きさや顔幅に比例して体幅などに現れるのは、肥育仕上げ期であるが、それらの片鱗がそろそろ見られる。
顔幅の広い写真両端の牛は、文字どおり体幅があり、将来増体が期待できそうであるが、この段階では、どの牛も同様の体付きをしている。
牛の増体能力を見るのに、もう1箇所見るところがある。
それは前胸であり、その形もそれぞれに異なっている。
この4頭の中では、右から2番目の牛は前胸が良く充実している。
この形を見ることで、他の牛に比し、胸底の位置がかなり低く、そのことが牛の体躯の深みのあることも理解できる。
この牛は、他に比し顔幅は劣るが、顔の長さがあり、人で言う面長の顔をしており、どちらかと言えば体幅に問題がありそうだが、体深があるために、体積があり仕上がった時の体型に優れていることが予測できる。、
前胸の厚みと言えば、両端の2頭は幅に富んでいて、既に肩幅などの厚みが出て大貫ものの片鱗を見せている。
3番目の牛は、顔幅に比し、前胸の幅や深みに寂しいものを感じさせる。
牛を良く観察することで、このように牛の様々な特徴も理解できる。