牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛を顔の正面から観察する

2009-08-01 23:37:42 | 審査

写真は導入から4ヵ月を過ぎた育成中の去勢牛である。
ここは、10数頭を群飼いする牛房で、導入から3~5ヶ月間経てば、5頭房へ移動しているため、年間3クールが入れ替わる。
そのたびに、房の前にたたずめば、写真のように並んでくれるので、この様子を良く撮っている。
この様に顔を見せてくれる牛らは、健康上に先ず問題は無いが、むしろ顔を覗かせない牛の方が問題が有りはしないかと気掛かりとなる。

牛の顔の正面に立つと、それぞれに異なる角の形や、体幅に関係する口の大きさや顔の広さなどに目が届く。
口の大きさや顔幅に比例して体幅などに現れるのは、肥育仕上げ期であるが、それらの片鱗がそろそろ見られる。
顔幅の広い写真両端の牛は、文字どおり体幅があり、将来増体が期待できそうであるが、この段階では、どの牛も同様の体付きをしている。
牛の増体能力を見るのに、もう1箇所見るところがある。
それは前胸であり、その形もそれぞれに異なっている。
この4頭の中では、右から2番目の牛は前胸が良く充実している。
この形を見ることで、他の牛に比し、胸底の位置がかなり低く、そのことが牛の体躯の深みのあることも理解できる。
この牛は、他に比し顔幅は劣るが、顔の長さがあり、人で言う面長の顔をしており、どちらかと言えば体幅に問題がありそうだが、体深があるために、体積があり仕上がった時の体型に優れていることが予測できる。、
前胸の厚みと言えば、両端の2頭は幅に富んでいて、既に肩幅などの厚みが出て大貫ものの片鱗を見せている。
3番目の牛は、顔幅に比し、前胸の幅や深みに寂しいものを感じさせる。
牛を良く観察することで、このように牛の様々な特徴も理解できる。