「読売新聞・医療相談室」
☆Question 腹部に悪性の脂肪肉腫
先日、腹部に悪性の脂肪肉腫が見つかりました。お医者さんは摘出以外に治療法がなく、薬もないと話していましたが、今後どうすればよいでしょうか。(68歳男性)
杉浦英志 愛知県がんセンター中央病院整形外科部長(名古屋市)
☆Answer 残さず切り取る手術が中心
脂肪肉腫は、本来は脂肪細胞になるはずの細胞ががん化したものだと考えられています。質問者の場合は、後腹膜腔(くう)内(腹膜の後ろの空間)にできたものと思われます。
脂肪肉腫は、太ももやお尻のほか、後腹膜腔にもできやすいのです。
治療には手術、放射線、抗がん剤がありますが、手術が中心です。腫瘍(しゅよう)がしっかりと取り切れた場合と腫瘍が残ってしまった場合では、その後の経過は違います。もちろん、しっかり取れた方が経過が良いので、出来るだけ残さず切り取ることが重要です。
ただ、腫瘍が腎臓、肝臓、大腸、小腸などの重要な臓器にまで広がっていて、これらの臓器も一緒に手術しなければならないこともあります。
脂肪肉腫は放射線治療も比較的効果があり、手術でしっかりと取り切れなかった場合は、手術後に放射線治療を行うことがあります。
腫瘍の組織検査で悪性度が高く、転移しやすいタイプであった場合には、抗がん剤治療の併用も考えられます。
しかし、放射線治療や抗がん剤のみで腫瘍を根絶するのは困難で、あくまで手術に対する補助的な治療と考えてください。
後腹膜腔内の脂肪肉腫に対しては独立した専門科がなく、整形外科や外科、泌尿器科、腫瘍内科、放射線科など各科の連携で治療を行っているのが現状です。
手術に伴う危険性や手術が困難な場合の治療法について、主治医から説明を受けたうえで、どうするかをお決めになってください。
(2010年7月14日 読売新聞)
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世の中には、本当に色んな種類のがんがありますね。
細胞分裂の際に出来る「突然変異」が、がんの原因なら、
どこに出来てもおかしくないのですが。
「後腹膜腔内の脂肪肉腫に対しては独立した専門科がなく、整形外科や外科、泌尿器科、腫瘍内科、放射線科など各科の連携で治療を行っているのが現状です」とのこと。
大変ですね。
68才と書かれていますので、「手術で摘出」しなくてもと、考えられたのかもしれません。
年齢が上がるにつれて、「手術と体力とリハビリ等」を考えて、
「バッサリ切ろう」と踏み切れなくなるような気がします。
私ももっと高齢で罹っていたら、「あとどれだけ生きられるか」と天秤にかけて、
「進行が遅いのなら放っておこうかな?」と思ったと思います。
でも、「がんはどうなっているだろう?」と思う毎日を過ごすのも、
それはそれで苦痛でした。(宣告から摘出手術までの気持ちです)
☆Question 腹部に悪性の脂肪肉腫
先日、腹部に悪性の脂肪肉腫が見つかりました。お医者さんは摘出以外に治療法がなく、薬もないと話していましたが、今後どうすればよいでしょうか。(68歳男性)
杉浦英志 愛知県がんセンター中央病院整形外科部長(名古屋市)
☆Answer 残さず切り取る手術が中心
脂肪肉腫は、本来は脂肪細胞になるはずの細胞ががん化したものだと考えられています。質問者の場合は、後腹膜腔(くう)内(腹膜の後ろの空間)にできたものと思われます。
脂肪肉腫は、太ももやお尻のほか、後腹膜腔にもできやすいのです。
治療には手術、放射線、抗がん剤がありますが、手術が中心です。腫瘍(しゅよう)がしっかりと取り切れた場合と腫瘍が残ってしまった場合では、その後の経過は違います。もちろん、しっかり取れた方が経過が良いので、出来るだけ残さず切り取ることが重要です。
ただ、腫瘍が腎臓、肝臓、大腸、小腸などの重要な臓器にまで広がっていて、これらの臓器も一緒に手術しなければならないこともあります。
脂肪肉腫は放射線治療も比較的効果があり、手術でしっかりと取り切れなかった場合は、手術後に放射線治療を行うことがあります。
腫瘍の組織検査で悪性度が高く、転移しやすいタイプであった場合には、抗がん剤治療の併用も考えられます。
しかし、放射線治療や抗がん剤のみで腫瘍を根絶するのは困難で、あくまで手術に対する補助的な治療と考えてください。
後腹膜腔内の脂肪肉腫に対しては独立した専門科がなく、整形外科や外科、泌尿器科、腫瘍内科、放射線科など各科の連携で治療を行っているのが現状です。
手術に伴う危険性や手術が困難な場合の治療法について、主治医から説明を受けたうえで、どうするかをお決めになってください。
(2010年7月14日 読売新聞)
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世の中には、本当に色んな種類のがんがありますね。
細胞分裂の際に出来る「突然変異」が、がんの原因なら、
どこに出来てもおかしくないのですが。
「後腹膜腔内の脂肪肉腫に対しては独立した専門科がなく、整形外科や外科、泌尿器科、腫瘍内科、放射線科など各科の連携で治療を行っているのが現状です」とのこと。
大変ですね。
68才と書かれていますので、「手術で摘出」しなくてもと、考えられたのかもしれません。
年齢が上がるにつれて、「手術と体力とリハビリ等」を考えて、
「バッサリ切ろう」と踏み切れなくなるような気がします。
私ももっと高齢で罹っていたら、「あとどれだけ生きられるか」と天秤にかけて、
「進行が遅いのなら放っておこうかな?」と思ったと思います。
でも、「がんはどうなっているだろう?」と思う毎日を過ごすのも、
それはそれで苦痛でした。(宣告から摘出手術までの気持ちです)