瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

銀河漂流バイファム感想その13

2008年12月04日 21時08分48秒 | 漫画&アニメ
ジミー・エリル…2051年3月10日生まれ、7歳、AB型。(↑)
ベルウィック星の第2ステーションで、カチュアと一緒に救出された少年。
カチュア(の育ての両親)同様に両親を亡くしてる事から、彼女は彼を特に思い遣って傍に居続けた。
その為カチュアに母親への思慕にも似た深い愛情を抱いて居り、彼女を傷付ける者には普段の温厚さが嘘の様に凶暴な牙を剥いた。
人見知りが強くて他人と話をするのが苦手という典型的な自閉症児、一方で観察力が鋭く生き物の世話が得意でジャム等を手作りしたりと自然児っぽい多芸持ち、まるでドラ○もんみたくポケットの中からケン玉蝋燭と様々な物を取出したが、多分それらも自分で作ったのだろう。
行動が他人よりワンテンポ遅れてるものの、食事の時は例外で凄まじい早食いを見せる…麦藁帽子は大食漢の印だろうか?
彼のトレードマークの麦藁帽子を指して、シャロンからは「帽子」と呼ばれていた。
趣味はハーモニカを吹く事、ジェイナス・クルーの中で、音楽家のポジションを担っている。
他マルロ&ルチーナと共に備品管理を担当してたが、砲手としての活躍の方が目立った様な。
演じてる声優さんは千々松幸子氏、あの『ど根性ガエル』のピョン吉役を務めてた方である、片や兄貴分であるケンツ役の野沢雅子氏は、ひろし役を務めていた…名コンビぶりにも頷ける。




★第45話「とっておきの贈物」脚本○ 演出○ 作画△ 総合○

13人の子供達を乗せたリベラリストのシャトルは、地球軍が指定したコンタクトの宙域に向かっていた。
漸く念願だった両親との再会が叶う運びとなり、改めてジェダ達に感謝するロディ・スコット・バーツ。
けれどジェダやグループの紅一点「デュボア」は、カチュアを今迄守ってくれた件で逆に彼らに感謝を述べた。

ジ「我々が今からやろうとしてる事を、君達は身をもって先に証明してくれた。我々大人だって負けてられない、必ずや地球との和平を成功させてみせますよ!」

一方女子達は、ルチーナから今日が誕生日だという事を聞かされ、パーティーを開こうと相談する。
両親との再会を前に浮立つ心、パーッと騒ぐには絶好の機会に思えた。
善は急げとマキがジェダ達にキッチンの使用許可を取付ける。
シャロンは早速男子達にも触れて回り、カチュアとペンチは会場の飾り付けを担当した。
紙で綺麗な花を拵えながら、カチュアの顔は何故か晴れない。
ルチーナに不思議がられ慌てて取り繕うものの、胸いっぱいの悩み事は溢れ出るのを止めない。
このまま地球へ行く道が、自分にとって本当に望ましいのか、彼女自身にも判りかねていた。

マキとクレアはキッチンでケーキ作り、焼き上がったスポンジに生クリームをたっぷり塗ってく様を、パーティーの主役であるルチーナはうっとり眺めて居た。
そこへ知らせを聞いたフレッドとケンツがやって来る。
大きなケーキを目にしたケンツは羨ましくて堪らなくなり、来月の自分の誕生日も一緒に祝ってくれるよう2人に頼んだ。
厚かましい要求に苦笑するも承諾する2人、大喜びで部屋から出てくケンツと入れ替わりに、今度はスコット・バーツ・ロディがやって来た。
着々と準備が進んでく様子を見て、年長男子組も笑顔で手伝いを申し出る。
その際ロディは未だ迷いを見せるカチュアを部屋から連れ出し、改めて自分達と地球へ行くよう説得した。
「ジミーにも地球行きを尋ねたんだ、そしたら君と一緒なら行くと答えたよ。君は未だ不安な様だけど、何も心配する事は無い。地球へ行っても今迄通り俺達がついてるさ!」、カチュアの気持ちを気遣いつつ誘うロディに、しかし彼女は真正面から疑問をぶつけた。

「ロディ……この戦争、直ぐに終ると思う?」

その頃ケンツはプレゼント用に贈る物を探して居て、独り暗がりにしゃがみ込んでるジミーに出くわした。
便乗したとはいえ、今日は自分の誕生日を祝うパーティー、すっかり浮かれ気分で居た彼は、ジミーに誕生日は何時かを尋ねた。
質問を受けたジミーは、いじけた様にぽつり答える。

ジ「…過ぎちゃったもん」
ケ「ええ!?…バッカだな~~お前!何で言わなかったんだよ!?」
ジ「だって…敵が来た時だったんだもん」

戦闘してる最中だった為に、遠慮して己の誕生日を言わずに過ぎてしまった。
あまりに彼らしい理由を聞いたケンツは、ジミーの誕生日も一緒に祝って貰えるよう、皆に頼んでやる事を約束する。

全ての準備が整った所でパーティーが開かれた。
花で飾られた壇に上ったルチーナとケンツが、替りばんこに言葉を述べる。
壇上でケンツはジミーの誕生日について事情を話し、彼の誕生日も一緒に祝ってやってくれと皆に頼んだ。
直ぐにクレアはケーキに3人分の蝋燭を立ててやり、ロディはジミーに早く壇に上がるよう促し、カチュアは真っ先に拍手を贈った。
それに続いて他の皆も一斉に拍手を贈る。
ケーキの上に立つ23本の蝋燭を一息で吹き消す3人。
プレゼントを贈る席で、ケンツはジミーに空薬きょうを、ジミーはルチーナにギャンザーの尻尾を贈った。
それはジミー曰く「幸運のお守り」だったが、ルチーナには酷く不評で、「欲しくない」と嫌がられてしまう――落胆するジミー。
仲間からのプレゼント以外に、3人はデュボアからククトの笛を貰った。

盛上ってるそこへ、またも敵が襲って来た。
前回ミューラァに特攻をかけられたものの、生き延びたアイゼルが総力戦を挑んで来たのだ。
ジェダ達と共にRVで出撃するロディ・バーツ・マキ・カチュア、続いてケンツも出撃しようとするが、「誕生日くらい休んどけ」とバーツに止められてしまう。
便乗した事を後悔して戻ったケンツに、ジミーは空薬きょうとパーティーの仲間に入れてくれたお礼だと言って、自分の大切なハーモニカを渡した。
贈られたプレゼントに涙ぐんで感激するケンツ。

一方応戦するロディ達は、敵の大攻勢の前に苦戦を強いられていた。
バーツの乗るネオファムが、マキ&カチュアの乗るトゥランファムが、次々と損傷を受ける。
このままではもたない――ジェダがコースを外れて逃げる指示を下す。
それはジェダ達にとっては地球軍との会見を、子供達にとっては両親との再会を、一旦諦める事を意味していた。
後少しで望みが叶うとこだったのに…ロディ達の胸が悔しさと失望で満たされる。

敵の凄まじい攻撃を喰らい、シャトルは幾度も激しく揺らいだ。
マルロ達と共にベッドで震えていたルチーナは、受けた衝撃でジミーからのプレゼントを落してしまう。
彼の言った幸運のお守り…拾って握り締めた瞬間、奇跡は起きた――交信を聞いて地球軍の大艦隊が救援に駆けつけたのだ。

ル「お守りが効いたんだ…!」

敵を圧倒する数の援軍を受けて、喜びに沸くリベラリストと子供達。
ケンツはジミーと踊りながらハーモニカを吹き鳴らし、フレッドとペンチは思わず知らず肩を抱き合ってた事に気付いて頬を染め、スコットも興奮のあまりクレアを抱き締める。
ルチーナはジミーに尻尾のお守りを大切に持っている事を誓うのだった……。


(感想)…ロボットアニメらしい戦闘シーンと並行して、誕生日を巡る物語が描かれてる所がバイファム的。
惜しむらくは作画が…けど最後というのが有ってか、この作監さんが担当した回では1番の出来じゃないかと。(失礼)
総じてバイファムはスタッフに恵まれてました、場面の端っこまでキャラが動いてるTVアニメなんて奇跡に近いですよ。

さてラスト近くになって大人が登場、お陰で子供達の活躍が少なくなって行くのですが…それがまた段々と本来の日常に戻ってく感じで、奥深い演出に感じられます、そろそろ冒険も終りなんだな~とね。

んで漫画チックな絵の子供に較べて、大人はシリアス劇画タッチで描かれてるんすけど、それで生じるギャップが子供と大人の差を引き立たせて居たなと。
放送開始時は批判も有ったけど、芦田氏をキャラデザに選んだ人は、先見性有ったと思うよ。

ちなみにギャンザーと言うのはベルウィック星に棲むハリネズミみたいな生物で、しっかり物語中に出て来ます。

この回心に残った台詞――5歳になったルチーナが皆の前で「これでまたマルロのお嫁さんに一歩近付いた事になりますね」と挨拶、照れるマルロにバーツがボソッと囁く。

バ「気にすんなってマルロ!あーゆーのに限ってコロッと変わるんだから!」
マ「そんな事無いもん!!」

…マルロにゃ悪いがバーツの言う事は正しいと思う。(笑)


★第46話「いつまでも13人」脚本○ 演出○ 作画○ 総合○

地球軍とククトニアンのリベラリストグループとの会見を前に、子供達の代表として地球艦隊の旗艦「バンガード」を訪れたロディとバーツは、司令官との会見の席でカチュアが自分達と地球で一緒に暮らせるよう頼んだ。
2人から話を聞いた司令官は、「戦災孤児として扱えば問題ないだろう」と快く了承する。

一方シャトルのブリッジで乗船許可を待つスコットは、デュボアに自分の考えた提案を聞かせて居た。
「地球軍もククト軍も家族連れで戦争に向えばいい。自分の家族が危ない目に遭う所を見れば戦うのが嫌になり、戦争なんて直ぐに終ってしまうだろう…」
画期的な案を聞かされたデュボアは、「戦争を避けるには素晴しい手だと思うわ」と、笑いながら評を述べてくれた。
そこへ待ち焦がれていた乗船許可が下りた――スコットが大喜びでシャトルに待機中の子供達に連絡する。
クレアとマキに励まされ、カチュアも乗船の準備をした。
ふと見回せばジミーの姿が見えない…カチュアは2人に先に行って貰い、シャトルへ捜しに戻った。

彼女が見付けた時、ジミーは暗がりの中で独り、縮こまって居た。
心配する彼女に、震える声でジミーが尋ねる。

「…僕…どうなるの?カチュアはママに会えなくて本当にいいの…?」

2人に先んじてバンガードに乗込んだ子供達は、「2星間を結んだ勇敢な英雄」として、地球軍から盛大に出迎えられて居た。
サライダ博士から贈られた友好の印(遺跡)が、地球軍の手によって開けられる。
「死んだ星を蘇らせる装置」と説明を受けた彼らは、自分達が戦っていた相手の力を思い知るのだった。

一方カチュアとジミーはデュボアに付き添われ、バンガードへの乗船準備をしていた。
滅菌灯を浴びて消毒してる間、カチュアはククト星での生活をデュボアに尋ねる。
彼女の言葉から迷いを感じ取ったデュボアは、自分の意思で充分に考えて決めるよう諭した。

カ「この戦争……直ぐに終るでしょうか?」
デ「それは…双方の努力次第ね」

子供達は食堂に集められ、1人づつ名前や年齢等のデータを取られた。
バーツが音頭を取って、スコットの「キャプテンとしての最後の言葉」が始まる。
全員欠ける事無く此処まで来れたのを何より喜ぶスコット。
話を聞き終ったかつてのジェイナス・クルーは、彼の今迄の頑張りに心から拍手を贈った。
ロディは戦友「バイファム」にひっそりと別れを告げ、ケンツは相も変わらず軍の新型機を見てはしゃぎ回る。
ペンチの宝物にちょっかいを出すシャロン、それを怒るフレッド…今迄の冒険の中で繰り返し見て来た光景の様で何処か違う。
大人に保護された中、子供達はそれぞれ、冒険の終りを感じていた。

子供達が食堂で久し振りに地球の食べ物を口にしてる頃、グループのリーダーであるジェダとバンガードの地球軍司令官は会見のテーブルに着いていた。
「お互い子供達に恥ずかしくない様、和平に向けて努力したい」…両者は固い握手を交わし、第1回目の会見は友好的に終了した。

食堂に集まる子供達の元に、問い合わせていた両親達の安否が報告される。
(カチュアとジミーの両親以外は)全員無事と伝えられ、喜びを爆発させた子供達は、声を聞きに管制室へ直行した。
ロディも向おうとした所で、ふとカチュア達に目が留まる。
自分達を気遣い、躊躇してるロディに気付いたカチュアは、「構わず行って来て」と笑顔を見せた。
「私が見てるから」と、デュボアが付き添いを買って出る。
彼は小さく「ゴメン」と謝った後、皆を追って管制室に向った。

管制室で子供達は、やっと聞けた両親の声に、涙を隠せないで居た。
1人づつ対話を済ませる度に、泣き声は大きくなって行く。
順番を待ってる間、シャロンは密かにリハーサルを行っていた。

シ「辛気臭いのは嫌だし…やっぱ皆とは変えなきゃ!――『よォ~っす!元気で踊り捲ってるかァ~!?』…駄目だァ…オフクロの声聞いたら、きっと泣いちまうだろぉなァ…」

会見は終了した、両親の無事も判った、後は地球へ向うだけ、長らく世話になったジェダ達との別れも近い…。
年長男子3人が談笑しつつ食堂へ戻ると、そこには地球の兵士が数人居るだけだった。
カチュアとジミーの姿が見えない…付き添ってくれてる筈のデュボアの姿も…ロディの胸に嫌な予感が走る。
「和平派だか何だか知らないが、自分の方から手を出しといて、今更和平も無いよな!」、愚痴を零して語らう兵士達に、3人の行方を知らないか尋ねた。

「ああ、ククトニアンの女か?…自分達の船に帰ったんじゃないのォ?」

まさか!!――焦った3人が窓に駆け寄る――今正にジェダ達のシャトルが接続を切り離そうとしている所だった。
他の子供達も集まって騒ぎ出す、マキが2人の荷物が消えてる事を知らせに来た。
向うのシャトルに確認を取ろうと、ロディとバーツがブリッジへ向う。
果たして2人はジェダ達の所に居る様だった。
通信に出たデュボアは言う、「2人は自分の意思でこのシャトルに乗った」と。
だがロディ達には到底信じられない、「2人に話をさせてくれ」と頼むロディに、デュボアは「2人の事を思うなら、そっとしといてあげて」と告げた。
「2人だって貴方達と別れたくない気持ちは充分過ぎるほど有るわ。それでも考え抜いて出した決断を尊重してあげたい。今貴方達の声を聞けば折角出した答が揺らいでしまう…それは酷というものよ」
ロディとバーツが皆の所に戻ったそこへ、マキが紙飛行機と、2人のメッセージが入った録音テープを持って来た。

カ「何も言わずにゴメンなさい…皆と別れるのは辛いけど…今離れたら2度とククト星には戻れない気がして……私も皆と同じ様に本当の両親に会いたい…会えるかどうかは判らないけど、悔いは残したくないんです…ジミーは止めたけど…どうしても私と一緒に来たいって……けど何時かきっと皆に会えるって信じてる!…だから私、さよならは言いません…」
ジ「…ハーモニカの高いミが壊れてて出ない事を言い忘れてた……それからケンツに貰った空薬きょう…大切に磨いて持ってるよ……!」

テープの中の声はすすり泣く様に震えていた。
徐々に離れて行くシャトルを、窓から黙って見送るロディ達。
堪え切れなくなったケンツが、シャトルを追い駆けて絶叫する。

「バカヤロー!!!戻って来ーーい!!!俺の母ちゃんが弟が出来るって喜んでたんだぞーー!!!ウチに来るって約束したじゃないかーー…!!!」

シャロンの胸に縋って泣き叫ぶケンツの横で、ロディは2人が残した紙飛行機をじっと見詰ていた。
ふと頭の中に名案が浮かぶ――それは旅立つ2人に向けてのメッセージ――ロディは笑顔で皆に応援を頼んだ。

子供達からの提案に、地球軍の司令官も許可を出す。
突然、離れて行くククトのシャトルに向けて、地球艦バンガードが主砲を向けた。
「まさか攻撃!?馬鹿な…!!」、ジェダ達の顔が一気に蒼褪める、防御しようにも間に合わない、砲門から放たれる光を為す術無く凝視する、シャトルをすっぽり包み込む白い光――だがそれは、無数の紙飛行機だった。
仲間からのメッセージだと気付いたカチュアとジミーが窓に駆け寄る。
暗い銀河に散らばる星々の様に、白く光って飛んで行く紙飛行機。
その光景を2人と同じく、ロディ達も窓から見詰て居た。


大人の古い♪ 御伽噺は♪ 色褪せた♪ アルバムの…様な物♪
あの時の♪ ときめきを♪ 確かに思い出せるけど♪ もう2度と…感じる事は…出来ない♪

君は少年♪ 輝いてる♪ その目は♪ 何を見るだろう♪
初めて知る♪ 戸惑いさえ♪ 恐れず…♪ 君は素敵♪


紙飛行機の群れは、旅立つ船を先導するよう、闇の中を飛んで行く。
スコットがキャプテンとして最後の航海日誌を綴った。
「地球へ行けば皆それぞれ別の道が待って居る。そう考えれば2人との別れは、ちょっと早かっただけ…けれど心の中で僕達13人は何時までも一緒だ」
散り散りに飛んで行った紙飛行機が、それでも同じ宇宙に在る様に…。


悲しみを幾ら♪ 話し続けても♪ 聞き慣れぬ♪ 言葉が…行き交う♪
それよりも♪ 手を貸そう♪ 笑えば何時か伝わるさ♪ 旅立ちを…見送る人の…気持ちが♪

君は少年♪ 胸の中は♪ 新しい♪ 夢が広がる♪
歩き出せば♪ また未来へ♪ 近付く…♪ 君は素敵♪


シャトルを見送り終えて、地球艦隊も発進の準備に移る…目指すは地球へ!
船の中でフレッドはロディに尋ねて居た。

フ「兄さん…また、ジミー達と会えるよね?」
ロ「ああ!戦争が終ったら、きっと会えるさ!――絶対に!」


【Some other day…!】


(感想)…「和平派だか何だか知らないが、自分の方から手を出しといて、今更和平も無いよな!」…ハッピーエンドで誤魔化さず、「未だ戦争が終ってない」事を描いたのが偉い。
子供達は和平の足掛りを作ったものの、こっから先は大人の仕事だよと…子供が主役でありながら、子供の力の限界を語っているのですよ。
つまり物語的には未完で後味悪くなりそうな所を、スタッフは紙飛行機を使って「希望」を表現してくれた。
あの沢山の紙飛行機は、地球に向う11人の子供だけでなく、大勢の地球兵が協力して作った物。
司令官の命令とはいえ、旅立つ子供達の為に、総出で作ってくれた訳でしょう?
そう考えると未来が少し明るく思えるじゃないですか、心が温まるじゃないですか、正に歴史に名を残すラストで御座います。
中には「あんな事したらスペースデブリ化するじゃん」なんて現実的な感想を出した方々も居ったが、そんなん言ったら紙飛行機が宇宙を飛んでく時点でファンタジーですよ。(笑)
リアルとファンタジーの配分の丁度良さが、この作品の魅力になってんじゃないかなぁ。
これがリアルに大きく傾くとイデオンになる…あのラストはリアルもへったくれも無いけど。

見知らぬ子供達が集って楽しくキャンプやってた様な…集った理由が戦争っつうのは皮肉な話ですが…それぞれチームの中での役割を見付け、終いには家族を構成してく、その過程が楽しかった。
けれど冒険は永遠に続くものでなく、大人達の元に戻った子供達は、バラバラになって別の道を行く。
最後に流れたのは『君はス・テ・キ(荻田寛子氏作詞、ありそのみ氏補作詞、渡辺俊幸氏作曲)』と言う歌。
さだまさし氏の妹さんが所属するムーヴ(白鳥座)と言うグループが歌ってたそうな。
ようつべで1つだけ発見、36話の飛ばしっこシーンで流されたものですが、曲調は掴めるんじゃないかと。
感動の中に切なさを含んでる歌詞が、シーンにぴったり合ってた名ソングでした。

遺跡について少々…生命再生装置っつうか、ケイトさんが以前分析した様に、植物の生育を促進させる物なのだろうと想像。
以前TVでチェルノブイリ事故跡地のその後を紹介してたんすが、かつては核で酷く汚染された土地が、植物の浄化力で見事に自然が蘇ったそうな。
汚染する人間が居なければ、汚れ切った自然も、自らに備わった治癒能力で、ゆっくり回復してくと…耳が痛くなる話だが。
そう考えればベルウィックやクレアドに地球人が来た時、無人だった事にも納得が行く。
作品の中で特に語られては居ませんが、かなり奥深い背景が敷いて有るんですよ。

シャロンのリハーサルとか、語りたいシーンは他色々有るんだけど、ラストシーンの感動が全部持ってっちゃった。(笑)
ジミーのメッセージ以降は涙で曇って画面が見えない…彼此6回は通して観てるんだけど、それでも泣いちゃうもんなぁ。
ケンツが絶叫するトコなんか、BGM思い出しただけで泣ける…。

皆で窓から紙飛行機眺めるシーン、さり気にカップルで分かれてるんすよね。
スコット&クレア、フレッド&ペンチなんか、観ている方が照れちゃう程の熱々っぷり。
そこで主人公だけ独り身なのが可哀想っつか、アニメとしちゃ珍しい現象だよなぁと。(笑)
最終的にロディとカチュアが両思いで、くっ付きそうな感じはするけど、カチュアの優しい性格考えると、ジミーに将来求愛されたら、彼を選んじゃう様な気もしたり…。
まぁロディならモテるだろうし…強く生きて行けるさ。(笑)

今迄観たTVアニメの中で1番好きなのを選べと言われたら、悩み抜いて困り果てて1年懸けても答が出せない気がするんだけど、1番感動したTVアニメを訊かれたら私はバイファムを選ぶ。
脚本・演出・作画・音楽等、総合点の高さと共に、スタッフの作品に対する愛情が感じられたから。
人気取りでキャラを殺す案が出た時、断固反対したスタッフが作ってくれたからこそ、バイファムは名作になれた気がするのだ。


…といった所で予定より2日遅れちまいましたが漸く終了。
もっと色々言いたい事は有るんだけど、好きな気持ちが溢れ過ぎて上手く表せない。(苦笑)
もしもお近くのレンタル店に入ってたら借りて観て欲しい。
間違い無く80年代を代表するアニメ作品だから。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菊見月 | トップ | 鼠の海へ1 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした。 (urouro)
2008-12-04 22:24:04
昔の記憶がよみがえりました。

最終回なんかびょりさんの文章でウルウルしてしまった。
改めていいアニメだったなぁと再認識しました。

確かに紙飛行機はありえないけど、そんな事言ったらこの話自体が成り立たないわけで・・・

それにしても主役のバイファム影薄かったなぁ(笑)
最数回も出てないし・・・


ちなみにこの後のオリジナルビデオはすっかりギャグ化してしまったのは残念・・・

そういえば新作TV版まだ見ていないのですよね。

聞いた話だと評価がわかれているようですが。。


それでは

追伸
各話についてぼちぼちとコメントつけさせてもらいます(^o^;)
返信する
有難う御座いますv (びょり)
2008-12-06 00:19:54
私も書きながら涙出て来ましたよ…感激屋なもんで。(恥笑)
あ、バイファム一応最終回に出て来ますよ…立ってるだけだけど。(笑)
タイトルになってても、スタッフもファンも主役だとは思ってなかったですからねえ。(ちょっと可哀想)

リメイク版の『バイファム13』は、私も恐くて観られません。
ようつべでOPは観たけど…尚更観たくなくなった。(汗)
出来が良かろうとなかろうと、あの最終回があまりに完璧だったんで、余計な付け足しは観たくないと言うのが本音だったり。
なので多分一生観ないでしょう。(笑)

あ、各話にもコメントくださるんですか?
嬉しいですvなんせ古いアニメだから…感動を共有して貰える方は貴重ですよ。(笑)

コメントどうも有難う御座いました!
遂に帰国ですね~、天気が荒れるっつう予報は心配ですが、運が良ければ雪景色が観られるかもですよ!(羨)
返信する
Unknown (軍曹)
2009-07-11 11:17:42
ふとバイファム検索して辿り着きました。今でも大好きなロボットアニメだったもので…。そしたらまさかの全話レビュー!「愛」を感じました。気が付かなかった細かい演出、スタッフの想い等に感動です。子供に観てもらいたいと思える数少ないロボットアニメだと思います(あとライジンオーとか)。最近のロボットアニメは主人公側が(というか製作者サイドが)戦争をコントロールできるものと思うような驕り感じられてイヤです。人間の思惑通りにいかないから戦争は恐ろしいのに…。ともかく泣いたり笑ったりしながら等身大で戦争を考えさせてくれる本当に良いアニメだと思います。最近ミサイルとか飛んできますが、こういう時だからこそ皆にバイファム観て欲しい。もちろん13人のように身を守る為には戦わなければいけないのですが…。
通りすがりの上に昔の記事にコメント書いて申し訳ありませんでした。
返信する
名作アニメでしたね (びょり)
2009-07-11 20:31:00
「愛」を感じましたか?有難う御座います!
そんな私は「軍曹」というHNに「愛」を感じました。(笑)
良いキャラでしたよね~ケンツ。
ジェイナス・クルーは皆好きですが、中でもケンツ・スコット・フレッド・ペンチが、自分は大好きでした。

最近のロボットアニメはあんま観てないのでよく解らないのですが、CGを多用して戦闘シーンを描く為か、ゲームみたいに軽く思えるのがちょっと…です。
そもそも純粋に「ロボットアニメ」って呼べる作品が無いような…。

バイファムは再放送すれば、今の視聴者にも楽しんで貰えるんじゃないかなぁ?
あれだけキャラと一緒になって、笑ったり泣いたりしたアニメは、他に在りません。
私の中でジェイナスのクルー達は、今でも仲良く冒険しています。

コメントどうも有難う御座いました♪
私も偶に「バイファム」で検索して、「名作!」と絶賛してるレビューを見付けては、ニマニマしたりしてます。(笑)
自分が好きだった作品が人に褒められると嬉しいですよね♪
返信する
Unknown (ぎゃん座)
2009-07-18 06:07:08
初めまして。バイファム大好きな「元・中学生」です。(年がバレる;)

当方男であるにも関わらず、元々はロボットアニメには全く興味が無かったのですが、このバイファムだけは部活をサボってまで(笑)毎回欠かさず必ず観ていました。当時の売れ筋だったガンダムやらマクロスやらザブングルやらボトムスやらよりもはるかに名作だと今でも確信しているのですが、視聴率の低迷が非常に残念でした。打ち切り騒ぎの時には、テレビ局に続行のお願いの長い手紙を出したほどです。

ロボットアニメに興味が無かったにも関らずこの作品を欠かさず見ていたのは、まさに「ロボット」にはあまり興味が無かったからであって、そのおかげで、かえって13人の子供たちの日常を細やかに描いていたところに強い魅力を感じました。中でも、有名なエロ系絡み(笑)の事件や、ケイトさんに対するロディの思春期の少年らしい想いなど、このような部分に重きを置いて作られた「ロボットアニメ」が他にあるでしょうか?
戦闘シーンの少なさや、主人公地味さと主役ロボの地味さが欠点のように言われることもあり、またそれが視聴率低迷や、イマイチ人気No.1のアニメにならない原因のようですが(隠れファンの人はたくさんいるみたいですけど)、でも、自分には全く気になりませんでした。それどころか、「こんな作品を作る“大人”ってスゴイ!」と、当時子供ながらにも思ったものです。本当に「リアリティ」のある作品だと思うのです。

また、これもよく語られていることですが、全詩英語且つかっこいいセリフ&演出のOPや、エンディングも素晴らしく(アイ・キャッチャーも大好きでした)、また、明らかに(良い意味で)アメリカンなテイストを意識した設定や演出などにも本当に魅力を感じ、戦闘シーンよりも、そういう部分を楽しんでいました。
勿論ストーリー自体も実によく考え、練り上げられた素晴らしいもので、単純な勧善懲悪や安易なハッピーエンドにしなかったのも、本当に素晴らしいと思います。泣かされた場面が本当にいくつもありました。

バイファムの個人ファンサイトを作ってらっしゃる方の多くに共通した特徴だと思うのですが、本当に作品に対する愛情が溢れ出ていますね。こちらのサイトも、読んでいて本当に楽しかったし、嬉しかったです。偶然にもこの一週間ほどの間に久しぶりにバイファム全編を観た直後だったので、感慨もひとしおです。

突然で、大変長々と失礼しました。それではまた。
返信する
初めまして! (びょり)
2009-07-18 20:17:07
80年代前半にサンライズが制作したロボットアニメは、今観ても本当に斬新に感じられます。
リアル=「らしさ」を追求する事により、地に足の着いた世界を出現させていた。
挙げられた作品全て、放送時は視聴率低迷に苦しんでたのに、終わった今では伝説として語り継がれてる点が、皮肉に感じられて面白いです。(笑)

バイファムの功績は色々有れど、特に1点挙げるなら、それ迄ロボットアニメファンじゃなかった人達を、惹き入れた事じゃないかと。
私の周りでも、ロボットアニメは好きじゃなくても、バイファムは好きだと言う人間が、結構居るんですよ。
芦田氏の設定した愛くるしい絵柄の魅力も有るだろうし、学園もの+SFといったノリは、当時中高生だった視聴者にとって、入り込み易い世界観だったでしょう。
サンライズが制作したオリジナルロボットアニメの中で、マニア以外にもウケた稀有な作品ではなかろうかと。(笑)

サンライズにとっては初のゴールデンタイム進出アニメ。
幅広い世代に受容れられようという意気込みが感じられましたよね。
視聴率は低かったらしいですが…TV局に続行の手紙が多数届き、結果打ち切られなかったアニメは、他に無いんじゃないでしょうか?
視聴率なんて本当に目安にしかならんなぁと思いますよ。
そうか…その時ぎゃん座さんも手紙を…お陰でバイファムを最後まで観られました。
有難う御座います。(笑)

バイファムで何が好きかっつうと、「13人皆が主人公」という描き方ですね。
画面いっぱい出せるだけキャラを出して、隅っこまで動かして、「要らないキャラなんて誰一人居ないんだ」という、スタッフの愛情が嬉しかった。
その分ロボットは出番削られ割食ってましたが(笑)、13人の活きたやり取りが本当に好きでした。
それでいてヒーローには描かず、最終的には普通の「子供」に戻らせた点に、大人らしい厳しさを見たなぁ。
作品中で子供達を生かす為に散っていった大人達…あれはスタッフの化身じゃないかと自分は考えたりします。

バイファムのファンサイトには、全話レビューを書いてるトコが多いですね。
これだけファンから長く愛されてるアニメは少ないですよ。
それも漫画原作無なのに。

懐かしい話に乗って頂き、有難う御座いました!
嬉しかったです♪
返信する
別れの名シーン (ぎゃん座)
2009-07-18 22:23:36
早々のお返事、ありがとうございます。
書き出すとキリがないのですが(自分でサイト作れってか? 笑)、とりあえずあと一点だけ。

> それでいてヒーローには描かず、最終的には普通の「子供」に戻らせた点に、
> 大人らしい厳しさを見たなぁ。

とのことですが、本当におっしゃるとおりですね。
一見、お気楽でご都合主義的なように見える展開もある中に、反面、実にきっぱりと「シビア」に描かれている部分があって、それが本作の魅力でもあると思います。
(「命令が無ければ動けない」と、兵隊から子供たちが見捨てられた?シーンや、ジェダがカチュアを犠牲にしてでもミュラーを逃がさないよう命令したシーンなど。)

で、本題ですが、、数多い別れの名場面があったバイファムの中で、個人的に最も好きな別れのシーンは、
最終話でロディが、戦闘で黒く汚れたバイファムに向かい、
「お前ともいよいよお別れだな…」
とつぶやくシーンです。
もう、モロに頭の中で、それまでの出来事を回想しまくってしまいましたよ。お前が乗ってたわけじゃないだろうが、って自分にツッコミたくなるくらいで。(笑)
本編はやや冗長だという批評も時折見受けられますが、今時の何でもワンクールで終わってしまうドラマなどを物足りないと感じてしまう自分としては、あの「冗長さ」はむしろ嬉しいくらいで、また、長かっただけに余計共感できる部分も大きいのです。
ケイトさんや、ククトニアンの子供との別れのシーン以上に、こみ上げてくるものがありましたし、今でも一番ブワッと泣ける場面の一つです。

こんな気持ちにさせてくれた作品は、アニメに限らず、映画やドラマなどを含めても、自分にとっては他にはありませんでした。それも、バイファムを最高の名作だと思える一つの大きな理由です。

管理人さんの最も好きな名場面はどこですか?
良かったらまたお聞かせ下さい。
それでは。
返信する
私の推す名場面は… (びょり)
2009-07-19 19:55:15
バイファムに登場する子供は純粋だけど、反面大人はリアルな複雑さを持った人間でしたね。
大人になった今では、むしろケイトさんを始めとした大人に感情移入してしまい、また別の観方が出来てしまいます。
個人的に「親子で観たいアニメ№1」に挙げますよ。(笑)

ロディとバイファムの別れのシーンは、短いながら、最後まで観続けて来たファンにとっては、感慨深いものでしたね。
脇役に徹したロボに、ロディと一緒に「有難う」と言いたくなった。

私は放送した回位の長さで丁度良かったんじゃないかと思いますよ。
予定ではもっと長かったらしく、後年、制作出来なかったエピソードを『バイファム13』としてリメイクしたけど…要らなかったんじゃないかなぁ?
あの長さで纏めたからこそ、バイファムは名作になったように感じます。

私が推す名場面は…有り過ぎて書き出すと1回分の記事になってしまいそうです。(笑)
それでも思い付いた中で挙げるなら――

・まだ出会ってばかりの頃、おっかなびっくり近付いてく子供達の描写。
・洗濯物を敵に見付けられ、「またお洗濯し直さなくちゃ」とのたまうペンチに、「んな事言ってる場合か!」と怒鳴るバーツ。
・ロディやバーツに極自然に「おやすみ」と手を振り、直後その手を不思議そうに見詰めるスコット。
・オルゴールの音に聞惚れるフレッド。
・「いけない事を『いけない』と言えない、これ1番恐い事です」というジェダさんの台詞。(名シーンとはちと外れるが)
・『戦え!!バイファム仮面』での絶妙なキャスティング。
・同回での飛ばしっこシーン。
・あの回は全てが名シーンって感じがしました。
・そして勿論ラストの紙飛行機…

…挙げ切れないな…挙げ切れないですよ、本当。
食事の時とかも、それぞれのキャラに合った仕草で、そういう細やかな演出が好きでした。
ロボットアニメなのに生活描写が多かったですよね。(笑)
だからキャラが13人居ても、全員活き活き感じられたという。
多分もう2度と出会えない名作でしょう。

コメント有難う御座いました!
なんか思い出してる内に、また観たくなっちゃいましたよ。(笑)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。