瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

どんどん妄想バトン6

2008年10月14日 22時22分46秒 | ワンピース
或る意味タイトル通りに回答してはいる気がする。
問題は設問以外の事まで、長々語ってる点に有るんすが。(汗)
今度こそ正真正銘終わりを目指して、前回の続きです。





「あんな願いで良かったの?」


眠りにつく仲間達を見送った後、最後まで残ったナミさんが、私の下へ寄って来て尋ねる。
小さな彼女に注意を払いつつ、私は皆が脱ぎ捨ててった服やポット等を、デイバックの中へ詰込んでった。


「あんたには後8回分願いを言える権利が有ったのよ?
 なのに1回に纏めて、願いはアレだけなんて…欲が無いのね」

「…欲が無い訳じゃないですよ。適当なのが思い付かなかっただけで…本音大分惜しく思ってますって」


苦笑してチャックを閉じる。
途中引っ掛った所で一旦戻し、中身を詰め直してから、再び勢い良く閉じた。
真下で様子を窺うナミさんが、聞える様に溜息を吐く。


「惜しむくらいなら、格好付けずに言えば良かったのに…馬鹿ねェ。
 あんた、もしかして私達の力を甘く見てる?
 『ナンダラコラの根っ子』には、あまり大きな願いを叶える力は無いけど、小さな願いなら幾らでも叶えられるんだから!」

「そんな基準を測るのに難しい力じゃ、何を願えば良いのか余計悩んじゃいますよ!」

「だって…折角私達が……!」


その先は耳を澄ましても聞えない位の声で、ブチブチブチブチひたすら呟く。
口元が若干尖り、スネている様に見えた。
力を過小評価された気がして、面白くなく感じたのかもしれない。
幼い態度に我慢し切れず吹き出してしまえば、彼女はムッとした顔でこちらを睨んだ。


「残念ながら欲が深過ぎて、大きな願いしか浮かばないのです。
 ささやかな願いが叶って満足する程、人間が出来てないんですよ。」

「『世界平和』とか?」

「いや、『贔屓の野球チームが優勝』とか……けどもう結果出ちゃった後ですからねぇ」


もしも間に合ってたら、それを願いにしたのになーと、これは本気で惜しく思った。
まぁ今更言っても仕方ないし、それで叶えられる優勝は、あまり感動出来ないだろう。
彼女は未だ納得いかない面持ちだったが、早く眠りにつかせる為にも、ここらで別れを告げようと決意した。

座ったままデイバックを背負う。
視線を落して彼女に向い、右人差し指を差出す。
意味を悟った彼女が、指を両手で握った。

草を撫でて吹く風が、潮の香りを再び連れて来てくれた。
今度彼女と仲間達が目覚める時には、そこに花の香りも加わるだろう。

花の波に包まれ、皆の輝く顔が、目に浮かぶ。
側に居て、その情景を眺められたら、どんなに幸福か。


「それじゃあ、お元気で。短い間でしたが、一緒に過せて楽しかった…!」

「そお?私もまぁまぁ楽しくはあったわ!…少し不便にも感じたけど」

「近くに乾パンの入った缶を埋めときました。目覚めてお腹が減ったら、皆と一緒に食べて下さい」

「解ったわ。有難う!」

「ルフィは『肉が食いたい』って文句を言うだろうけど…魚とかなら側を流れる運河に沢山居ますから。
 但し白鳥は食べないように言っといて下さい。
 あの鳥は此処のアイドルなもんで。」

「うん、解った!くれぐれも男共には注意しとく!」

「他には観光客の隙をついて食べ物奪う手も有るし…タフなあいつらが一緒なら、飢える危険は無いでしょう」

「知ってるわ!だって生れる前からの付合いだもの!」

「それから――」



――どうか生れたからには、楽しい人生を送ってください。



「……その『願い』はもう聞いたってば!」


彼女が優しく微笑する。
オレンジの髪が風でふんわりと踊った。
潮の香りが強くなった気がした。

ああ…もう駄目だ、限界だ。
これ以上何か言ったら泣いてしまう。
既に目頭には熱が感じられ、私は強く唇を噛締めた。

無言のまま、ゆっくりと指を離した。
気持ちを察したナミさんが、先に埋まった仲間同様服を脱ぎ、私に向って差出す。
ナミさんの背後の地面には、彼女用の小さな穴が開いていて、これからそこに埋まって半年間眠るのだ。
周りには先に眠りについた仲間が居る。
もう何も心配する事は無い。

彼女から渡された服をバッグのポケットに詰めた後、私は思い切って立ち上った。
見上げるナミさんの瞳も、心なしか潤んで見える。

もう顔を見てられなくて、背中を向けた後はそのまま走ってこうと考えた。
そんな自分の背後で、ナミさんが私に向い、叫ぶ声が耳に届く。


■「ナミ」はそろそろ戻らなくてはなりません。最後に一言、何と残したと思う?


「あ!!…ねー!!!そう言えばあんたの名前は何て言うのォーーー!!?」


耳には届いていたが、私は振り返らずに走って行った。
逃げる様に遠ざかる私の背中に、ナミさんの遠慮無い文句が突き刺さる。
だからと言って名前を口にする訳にはいかない。
だって私は一介のファン…立入らずに、外から応援するしかないのだ。

裏道から広場に出た所で、彼女の声は聞えなくなった。
鼻を啜りながら真っ赤な顔で泣いてる私を見て、通りすがりの観光客が怪訝そうに避けて行く。

泣き止む頃には、煉瓦敷きの道に伸びる影が、大分長くなっていた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




そういう訳で長崎ハウステンボスには、ワンピースのキャラに似た小人が居る。
もっとも冒険好きの彼らだから、ひょっとしたら船を建造して乗込み、海を越えて何処かに行ってしまったかもしれない。
もしもまだ居て貴方が巡り会ったなら、彼らの為に服を作ってあげてくれないだろうか?



ところで後日あの八百屋を訪ねに再び某所へ旅に出たのだが、店が在った筈の場所には空き家が1軒建ってるだけだった。
付近に住んでる人に主人の行方を尋ねたりしたのだが、不思議にもその八百屋自体を知ってる者すら1人も見付からなかった。
空き家は私が訪れる前から、ずっと空き家のままとの事だった。

もしかしてあの八百屋は、昔ゾロが『BLUE』で話に出した、『悪魔の八百屋』だったのではないか?

私は今、そう考えている。




【おわり】



 
 
■お疲れさまでした。最後に5人の家の庭に指定キャラを埋めてください。


済みません…間が空いたんで、それはしないでおきます。(汗) 
 

いや~~終りました…漸く終りましたよ!(苦笑)
バトンを回して戴いた真牙さんには、心から有難うと言いたい。(笑)
いや本当、楽しかったです。
こういう己の妄想を表に出すバトンは照れるんですが、開き直れば結構楽しめるものだなと感じた。
お題に合せて話を書く感じ?(笑)むしろ展開が決められてる分、書き易い気がする。
つって、それだとバトンの方向からは掛け離れちゃいますが…。(汗)

書きながらこの設定で話を書きたく思ったり。
勿論自分はもう出しませんよ?(苦笑)
『誰も知らない小さな国』のワンピ版で、小人(植物?)な麦藁達と観光目的で訪れた人間との交流話っつか。
例えばビビちゃんとか、パウリーとか、マキノさんとか。(←己の好みが入った人選)
上手い事ハウステンボスの紹介も出来るし…本当に書いた時には、生温かい目で見守って下さいませ。(笑)

こんな訳解らん話を最後まで読んで下さった方、有難う御座いました!
明日からは再び那須旅行記に戻りますんで。
これもハウステンボスに行く前に終らせんと、行った記憶が核融合起こしちまう。(汗)


写真は那須ガーデンアウトレット屋内の子供遊技場。
三輪車に乗った小さな子供達が、楽しそうにグルグル回ってました。
雨が降ってた為、こちらのスペースは大賑わいだった。


【追記】…後日この話は『Baby Factory』の真牙さんに押し付け…もとい献上しました。
       したらノリが良く人の好い真牙さんは、快く飾って下さいました……ゾロ誕会場に。(笑)
       その後も勿体無くも「treasure」部屋に飾って頂いてます。
       誠に身に余る光栄、どうも有難う御座います、真牙さん。(礼)
       ちなみにそこで飾って頂いてるのは、バトン形式から外して、多少文章を変えてあったり。

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