年々短くなって行く秋、東京での紅葉狩りは冬の風物詩になりそう。
それはさて置き前回の続き、中期も遂にクライマックスです。
★第50回「響子が一目惚れ?!一刻館にヘンな奴登場」 脚本:伊藤和典 コンテ:小島多美子 演出:鈴木行 作画監督:音無竜之介(高橋ナオヒト)
…春到来を告げる季節風とともに、一刻館へ新たな入居者がやって来る。
名を「三越ぜんざぶろう(善三郎?)」と言うこの男、春の陽だまりを思わせる穏やかな相貌なれど、何処か腹の読めない中年だった。
だが一刻館の住人達は男に不審を抱く事無く、五代以来久方振りの入居者を歓迎する。
そして三越に亡き夫の面影を重ねる響子さん…急速に接近して行く2人に、五代は焦りを隠せずにいた。
だが、時同じくして商店街では、「一刻館が取り壊される」という、出所不明な噂が囁かれるようになり――
なんか今回めぞんというより、パトレイバーっぽい話だなと。(笑)
まずゲストの「三越さん」がパトレイバーに登場しても不自然じゃないキャラ。(笑)
水虫持ちなんて知れば尚の事、後藤隊長を思い浮べずにおれん。
同じ脚本家が書いてるからね、しょうがないね。(笑)
この前後編の後に1話残してるといえ、中期スタッフ的にはこのオリジナル回こそ、最終回の積りで作ったに違いない。
BGMを極力使わず物の音で表現してみせたり、窓から覗き込む様な構図、地の一点にカメラを据え置き撮影した様な画面作り等々、ザ・中期演出の集大成といった感じ。
早春を感じさせる突風と雨。
傘を伝う雫がたたきを濡らし、広がってくシーンなんて、恐ろしくリアル。
絵で見せず、近付いて遠ざかる音のみで表したバイク。
印象的だったのが「踏み切り」シーン――中期ではほぼ毎回踏み切りが出て来たけど(そういえば前回珍しく見られなかったな)、今回の場合、商店街で三越と出くわした響子さんが、談笑しながら踏み切りを渡る→反対方向から渡って来た五代が2人に気付く→声をかけようとする間も無く降りる遮断機→五代に気付かないまま離れてく2人、とかなり意味深なシーンに思えた。
彼岸と此岸を別つのが三途の川なら、踏み切りは死人に寄り添おうとする響子(彼岸側)と、五代(此岸側)との間に流れる川を比喩してる…なんて想像は穿ち過ぎ?(汗)
五代「恐れをなして、逃げたとか…」
朱美「何からァ?」
五代「え?え、えと……」
演出だけでなく脚本も今回は非常に気合が入っていた。
こういうミステリータッチの話は好きで得意なんだろうなぁ、脚本家。
キャラ同士の会話もテンポ良くって楽しい。
アニメのオリジナルキャラを仲間入りさせた場合、既存のキャラの中で浮いてしまう事がまま有るのに、三越さんについては自然に溶け込んでるように感じられた。
響子さんが三越さんに惣一郎さんの面影を見るのにも納得できる。
これは寸法の合わない着物や甘食といった、原作に在る惣一郎さんのエピソードを、アレンジして使ってるからでしょう。
響子「それ…袖が長いんじゃありません?」
三越「ええ…代わりに、丈が短いんです」
響子「あら!」
五代「よっぽど気に入ってるんですねぇ。そんなになるまで着るなんて」
三越「はい」
四谷「ま・さ・か!亡くなった奥様の手縫いだとか…」
三越「!………ま、そんなところです」
――それを聞いてシーンと押し黙る住人達。
四谷「…あ、これは失礼しました!ほんの出まかせの積りだったのですが…」
三越「いや!気にしないでください。…もう昔の事ですから」
――とフォローされるも、しんみりする場の雰囲気。
五代「…お!おばさん!いつものチャカポコは!?」
一の瀬「ああ…!そうだね!!」
朱美「(三越に)ぜ~んぜん呑んでないじゃないのォ~ほ~らァ~~!(隣に居る響子に)管理人さんも呑も♪」
響子「…そうですね!よぉし!今日は私も羽目を外しちゃおうかな!」
四谷「この人が羽目を外すと!…恐いんですよ?」
響子「ど、どういう意味ですか?」
四谷「そうでしょ?五代君…?」
五代「な、なんで僕に同意を求めるんです!?」
…ま、原作の四谷さんならこんなくらいで済まなそうに謝ったりしないし、朱美さん一の瀬さんもフォローしたりはしないと思うけどね。(笑)
三越「本当は甘食が欲しかったんですけどね」
響子「甘食無かったんですか?」
三越「はい。置いてないと言われました」
響子「そうですか…」
甘食は原作では桜餅だったような?
ともかく、惣一郎さんのエピソードを三越さんにあてた事で、似た雰囲気を持つ男というキャラ付けを成功させている。
五代 「え?似てるんですか?」
一の瀬「雰囲気がねぇ…らしいよ。あんたに言おうかどうしようか迷ったんだけどねぇ…薄々感じてたんじゃないのぉ?…考えようによっちゃ、三鷹さん以上のライバルになるかもしれないねぇ」
五代 「またぁ…!」
一の瀬「向うに惣一郎さんの影を見てるとしたら、相手が悪過ぎる。まぁ、無理に張り合おうとしないで、様子を見るんだねぇ」
しかしこういう、ヒロインの昔の男に似た人物が登場して、ヒロインが惹かれる展開ってのは、主人公(五代)に感情移入する男ファンにとって、軽く地雷だったりすんじゃないかなぁ?
男女逆にして考えると、少女漫画の地雷パターンになる。(ヒロインの好きな男の前に、男の昔の恋人そっくりの女が登場する的な…)(笑)
しかも既存のキャラのエピソードを取って、他のキャラにあてるというのを、改悪と見るファンも結構居るだろう。
こずえ「段ボールが1つだけ?」
五代 「うん。とにかく、引越荷物はそれしかないんだ」
こずえ「随分変わってるんだ。…どんな人かちょっと見たい気もするなァ」
五代 「どうして?」
こずえ「どうしてって…だって…その人が一刻館に居て、もし、五代さんがずぅっと一刻館に居るとしたら…うふっv…もしかしてあたし達がァ…v」
…「将来の隣人になるかもしれない人に会ってみたいじゃない?」って事かな?
会話だけ拾うと乙女爆発だが、今回のこずえちゃんはいじらし可愛い。
アニメ中期全般を通し、こずえちゃんはいじらしく描かれていて、スタッフの愛情を感じられる。
三鷹さんも――
三鷹「どうしたのぉ?何時にも増して陰気じゃない!」
五代「放っといてください!」
三鷹「音無さんと何か有ったの?」
五代「!…別に!」
三鷹「ふん!可愛くない性格!…あ、そうだ、五代君!」
五代「何か用ですか?」
三鷹「いやぁ…そのぉ……あのさぁ、例の新しい入居者どぅお?」
五代「どうって?」
三鷹「だからぁ~つまりね?」
五代「……いい人ですよ」
三鷹「あああちょっと!?」
この後、憮然とした三鷹さんが乗り込んで、車体がリアルに沈む動きに注目!
三鷹さんにしろこずえちゃんにしろ、そして一の瀬さんの旦那さんや茶々丸マスターにしろ、中期はサブまで等しく愛情篭めてるところに好感持てる。
まー中でも四谷さんに最も愛情篭めてたように感じましたけど。(笑)
全キャラ入り乱れてのドラマって、個人的には好みなんですよ、ってな訳で傑作=★を付けました。
三越「不思議ですねぇ」
五代「は?」
三越「一刻館の人達って、何だか家族みたいに思えるんですよ。私の事を誰一人詮索しないし、ずっと前から一緒に暮らしてたような付き合い方をしてくれて。…何と言うかぁ…とても不思議です。とても…嬉しいんですけどね」
五代「けど?」
果たして三越さんは一体何者なのか?――謎解きは後編でって事で。
銭湯帰りの夜道で、踏切りの音が聞えるのが、また良い雰囲気。
一刻館に帰ってからの、響子さんとの甘酒を巡る会話も、ほっこり温まる。(甘酒だけに)
例えばこの回実写化するとして、構図等そのままに実現可能だろうけど、それってアニメでは画期的な事なんすよ。
(個人的評価)脚本○ 演出○ 作画○ …今回の予告は一の瀬さん、朱美さん、響子さん、四谷さん…あれ?五代君は??
【続】
それはさて置き前回の続き、中期も遂にクライマックスです。
★第50回「響子が一目惚れ?!一刻館にヘンな奴登場」 脚本:伊藤和典 コンテ:小島多美子 演出:鈴木行 作画監督:音無竜之介(高橋ナオヒト)
…春到来を告げる季節風とともに、一刻館へ新たな入居者がやって来る。
名を「三越ぜんざぶろう(善三郎?)」と言うこの男、春の陽だまりを思わせる穏やかな相貌なれど、何処か腹の読めない中年だった。
だが一刻館の住人達は男に不審を抱く事無く、五代以来久方振りの入居者を歓迎する。
そして三越に亡き夫の面影を重ねる響子さん…急速に接近して行く2人に、五代は焦りを隠せずにいた。
だが、時同じくして商店街では、「一刻館が取り壊される」という、出所不明な噂が囁かれるようになり――
なんか今回めぞんというより、パトレイバーっぽい話だなと。(笑)
まずゲストの「三越さん」がパトレイバーに登場しても不自然じゃないキャラ。(笑)
水虫持ちなんて知れば尚の事、後藤隊長を思い浮べずにおれん。
同じ脚本家が書いてるからね、しょうがないね。(笑)
この前後編の後に1話残してるといえ、中期スタッフ的にはこのオリジナル回こそ、最終回の積りで作ったに違いない。
BGMを極力使わず物の音で表現してみせたり、窓から覗き込む様な構図、地の一点にカメラを据え置き撮影した様な画面作り等々、ザ・中期演出の集大成といった感じ。
早春を感じさせる突風と雨。
傘を伝う雫がたたきを濡らし、広がってくシーンなんて、恐ろしくリアル。
絵で見せず、近付いて遠ざかる音のみで表したバイク。
印象的だったのが「踏み切り」シーン――中期ではほぼ毎回踏み切りが出て来たけど(そういえば前回珍しく見られなかったな)、今回の場合、商店街で三越と出くわした響子さんが、談笑しながら踏み切りを渡る→反対方向から渡って来た五代が2人に気付く→声をかけようとする間も無く降りる遮断機→五代に気付かないまま離れてく2人、とかなり意味深なシーンに思えた。
彼岸と此岸を別つのが三途の川なら、踏み切りは死人に寄り添おうとする響子(彼岸側)と、五代(此岸側)との間に流れる川を比喩してる…なんて想像は穿ち過ぎ?(汗)
五代「恐れをなして、逃げたとか…」
朱美「何からァ?」
五代「え?え、えと……」
演出だけでなく脚本も今回は非常に気合が入っていた。
こういうミステリータッチの話は好きで得意なんだろうなぁ、脚本家。
キャラ同士の会話もテンポ良くって楽しい。
アニメのオリジナルキャラを仲間入りさせた場合、既存のキャラの中で浮いてしまう事がまま有るのに、三越さんについては自然に溶け込んでるように感じられた。
響子さんが三越さんに惣一郎さんの面影を見るのにも納得できる。
これは寸法の合わない着物や甘食といった、原作に在る惣一郎さんのエピソードを、アレンジして使ってるからでしょう。
響子「それ…袖が長いんじゃありません?」
三越「ええ…代わりに、丈が短いんです」
響子「あら!」
五代「よっぽど気に入ってるんですねぇ。そんなになるまで着るなんて」
三越「はい」
四谷「ま・さ・か!亡くなった奥様の手縫いだとか…」
三越「!………ま、そんなところです」
――それを聞いてシーンと押し黙る住人達。
四谷「…あ、これは失礼しました!ほんの出まかせの積りだったのですが…」
三越「いや!気にしないでください。…もう昔の事ですから」
――とフォローされるも、しんみりする場の雰囲気。
五代「…お!おばさん!いつものチャカポコは!?」
一の瀬「ああ…!そうだね!!」
朱美「(三越に)ぜ~んぜん呑んでないじゃないのォ~ほ~らァ~~!(隣に居る響子に)管理人さんも呑も♪」
響子「…そうですね!よぉし!今日は私も羽目を外しちゃおうかな!」
四谷「この人が羽目を外すと!…恐いんですよ?」
響子「ど、どういう意味ですか?」
四谷「そうでしょ?五代君…?」
五代「な、なんで僕に同意を求めるんです!?」
…ま、原作の四谷さんならこんなくらいで済まなそうに謝ったりしないし、朱美さん一の瀬さんもフォローしたりはしないと思うけどね。(笑)
三越「本当は甘食が欲しかったんですけどね」
響子「甘食無かったんですか?」
三越「はい。置いてないと言われました」
響子「そうですか…」
甘食は原作では桜餅だったような?
ともかく、惣一郎さんのエピソードを三越さんにあてた事で、似た雰囲気を持つ男というキャラ付けを成功させている。
五代 「え?似てるんですか?」
一の瀬「雰囲気がねぇ…らしいよ。あんたに言おうかどうしようか迷ったんだけどねぇ…薄々感じてたんじゃないのぉ?…考えようによっちゃ、三鷹さん以上のライバルになるかもしれないねぇ」
五代 「またぁ…!」
一の瀬「向うに惣一郎さんの影を見てるとしたら、相手が悪過ぎる。まぁ、無理に張り合おうとしないで、様子を見るんだねぇ」
しかしこういう、ヒロインの昔の男に似た人物が登場して、ヒロインが惹かれる展開ってのは、主人公(五代)に感情移入する男ファンにとって、軽く地雷だったりすんじゃないかなぁ?
男女逆にして考えると、少女漫画の地雷パターンになる。(ヒロインの好きな男の前に、男の昔の恋人そっくりの女が登場する的な…)(笑)
しかも既存のキャラのエピソードを取って、他のキャラにあてるというのを、改悪と見るファンも結構居るだろう。
こずえ「段ボールが1つだけ?」
五代 「うん。とにかく、引越荷物はそれしかないんだ」
こずえ「随分変わってるんだ。…どんな人かちょっと見たい気もするなァ」
五代 「どうして?」
こずえ「どうしてって…だって…その人が一刻館に居て、もし、五代さんがずぅっと一刻館に居るとしたら…うふっv…もしかしてあたし達がァ…v」
…「将来の隣人になるかもしれない人に会ってみたいじゃない?」って事かな?
会話だけ拾うと乙女爆発だが、今回のこずえちゃんはいじらし可愛い。
アニメ中期全般を通し、こずえちゃんはいじらしく描かれていて、スタッフの愛情を感じられる。
三鷹さんも――
三鷹「どうしたのぉ?何時にも増して陰気じゃない!」
五代「放っといてください!」
三鷹「音無さんと何か有ったの?」
五代「!…別に!」
三鷹「ふん!可愛くない性格!…あ、そうだ、五代君!」
五代「何か用ですか?」
三鷹「いやぁ…そのぉ……あのさぁ、例の新しい入居者どぅお?」
五代「どうって?」
三鷹「だからぁ~つまりね?」
五代「……いい人ですよ」
三鷹「あああちょっと!?」
この後、憮然とした三鷹さんが乗り込んで、車体がリアルに沈む動きに注目!
三鷹さんにしろこずえちゃんにしろ、そして一の瀬さんの旦那さんや茶々丸マスターにしろ、中期はサブまで等しく愛情篭めてるところに好感持てる。
まー中でも四谷さんに最も愛情篭めてたように感じましたけど。(笑)
全キャラ入り乱れてのドラマって、個人的には好みなんですよ、ってな訳で傑作=★を付けました。
三越「不思議ですねぇ」
五代「は?」
三越「一刻館の人達って、何だか家族みたいに思えるんですよ。私の事を誰一人詮索しないし、ずっと前から一緒に暮らしてたような付き合い方をしてくれて。…何と言うかぁ…とても不思議です。とても…嬉しいんですけどね」
五代「けど?」
果たして三越さんは一体何者なのか?――謎解きは後編でって事で。
銭湯帰りの夜道で、踏切りの音が聞えるのが、また良い雰囲気。
一刻館に帰ってからの、響子さんとの甘酒を巡る会話も、ほっこり温まる。(甘酒だけに)
例えばこの回実写化するとして、構図等そのままに実現可能だろうけど、それってアニメでは画期的な事なんすよ。
(個人的評価)脚本○ 演出○ 作画○ …今回の予告は一の瀬さん、朱美さん、響子さん、四谷さん…あれ?五代君は??
【続】