地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
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素晴らしいコメントです!

2006-02-01 07:55:00 | ライブドア問題
昨日の拙BLOGのコメント欄をご覧頂きたいが、アマポーラさまのコメントである。
彼(OR彼女?)がリンクして下さった、東証のデータをプリントアウトして本日帰りの電車の中でじっくり検討させて頂いたが、それをすればするほどにこのコメントの秀逸さ及びその守備範囲の広さに舌を巻くのである。

彼は日経平均があのライブドアショックにて暴落した週の投資部門別の売買状況(東証のデータ)を示して下さり、そこにマスコミの報道とのきちんとした対比を示してくださったのである。

思い出してみよう、あのライブドアに地検の捜査が入ったのが1月16日(月)。今調べた当日の報道によれば、NHKが午後のニュースでそれを配信した。
当然日経平均はその日から大崩れ、16,17,18日の3日間のチャートを見ればいわゆる「三兵」って感じの非常に悪いチャートになっている。
13日(金)の終値から18日の終値まで1000円以上の下落となったことは記憶に新しい。
さらにその3日の間にあのマネックスが突然担保掛目をゼロにするだの、さらに東証のシステムの危脆さなんかが表ざたになって、まあ大変な3日間だったわけだ。
我々自身はこの下げはあくまでもライブドア事件がきっかけになった、っと見ていたのだが、マスコミがここぞとばかり世論を煽って、結局海外で言われていたような「一つの個別問題」として終わらなくなってしまった訳だ。

その際のマスコミ、特に証券関係者の話として散々流れたのが、
『個人は追証で大変で、さらにライブドア関連の担保掛目が一部の証券会社でゼロになったことにより、とにかく成り行きで売らざるを得なくなっている』
と書きまくった。
つまりこの下げの主体は完全に個人投資家で、特にライブドア株を売買している大半が個人投資家であるがゆえに、その狼狽売りが相場を徹底的に下げた、と言う感じの書き方であったことも記憶に新しいでしょう。

しかしながらそこへ厳然たる反証、それもあの東証のデータをきちんと引っさげて登場してくださったのが、コメント欄のアマポーラさまであるね。
実は私も今振り返れば、あの3日間は個人の狼狽売りだと思っていた(汗)。
しかしながらあの後、あのフィデりティーの話が出て、さらに軒並み証券系ファンドが「大体売った」みたいな記事を先日拙BLOGに載せたが、あの辺りから、あれあれ??と思い始めていたのだね(と言い訳をしてみる)。

さて前置き及び引っ張りすぎた感があるが、その資料、ある程度の知識のある方は是非ご覧頂きたい。一応ここで簡単に説明しよう。

1月16日~1月20日の5営業日での各投資家の売り買い状況の統計を取ったのがこの資料である。

総計で、売りが15兆3240億、買いが15兆2370億あって、差し引きで売りの方が870億円多かった。つまり売りが多かったから基本相場が下がったわけだ。
さてその総計の内訳が以下出てくる。
大きくこれは2つに分かれて、1つは「自己」、もう1つは「委託」注文である。
ここで自己、ってのはいわゆる自己勘定、証券会社の自己のお金の運用資金、委託と言うのは証券会社に注文を出してくる人たち全てを言う。
自己~売り越し5999億、委託~買い越し5129億であったのだ。
つまりこの週にもっとも売ったのは、なんと証券会社の自己売買部門であった訳だ。

さらにこの委託の中味を分けると、法人、個人、外人、証券会社、に分かれる。
法人~買い越し163億
個人~買い越し4225億
外人~買い越し521億
証券~買い越し219億
つまり委託全体では買い越しだったけれどその中でも個人が1桁多く買い越しているのだね。

またこの法人の中味を分けると、投信、事業法人、その他法人、金融機関となる。
投信~買い越し502億
事法~買い越し725億
他 ~買い越し112億
金融~売り越し1177億
法人全体では買い越しだったけど、その中で唯一売っているのがなんと金融機関、彼らの売りを投信やら事法、その他金融が買っていたように見える。
金融機関とはあなたの地元の銀行も信用金庫もみ~んな入ってるよ。

ちなみにこの金融機関の中味は、生損保、都長銀・地銀等、信託銀行、その他、に分かれるのであるが・・
生損保~買い越し30億
都長地銀~買い越し316億
信託~売り越し1747億
その他~買い越し223億
と、唯一信託銀行が大幅な売り越しとなっている。信託とはなんぞや??言わずと知れた、例えば年金であるね・・

ちなみにその前週に売り越したのも自己、そして法人、法人の中味は金融機関、そしてその中味は生損保と信託であった。

さんざんぱらあの週のマーケットの下げは個人の狼狽ってことで現在は片付いているけれど実はとんでもない!
売って売って売りまくっていたのは、自己勘定と信託銀行であったのである。
個人は基本ずっと買っていたのが現実なのである。

良いですか、これが本当の姿なのです。
いかに事実がゆがめられて伝わっているか、この件を見ただけでもぞっとしませんか?
私は正直この資料をつぶさに見るにつけ、ほんとにぞっとしました・・・

この事実をどう受け止めるかはもちろん個人の自由であるが、是非世の中にインパクトを与えられる方がここをご覧になっていらっしゃったら、世の中に本当の事実を教えてあげてください。

確かにあの週を一つの塊と見れば、ライブドアの他にあの東証システムの問題があたので、遠い将来にそこを振り返れば「いやぁ、あの時はライブドアは個別問題だったけど、やっぱり東証のシステムの問題があったからさ、ファンドマネージャーの俺としてはどうしても売らざるを得なくてさぁ」ってなコメントが出ようと思う。そしてそれは未来においてその時を検証してみれば間違いではないかもしれない。
だからこそこの我々の記憶の新しいうちに、事実をきちっと刻んでおかねばならないと思う。

考えてみれば、そして私も何度か吼えたように、東証のシステムに関する世の中の報道はどれもソフトであったよね。みんな東証を責めるよりも、東証のシステムが混乱したのもライブドアのお陰じゃ!って論調だったよね?
しっかりと覚えておこうね。

PS
アマポーラさま、重ね重ね、有難うございました!!


5 コメント

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Unknown (アマポーラ)
2006-02-03 11:44:02
詳細解説有難うございました。



2004年の春の連休の時、中国が唐突に銀行融資引き締めを発表して商品相場や株式が売られ日経平均も滝下げしましたが、その際も1ヵ月強で裁定買い残が8億株ほど減少しました。

この時は個人や外人の売買代金も1兆から2兆円水準で現在の半分以下だったので下落幅も大きかったような気がしました。もしかしたら個人投機、投資家もこの時感覚的に学習したのかもしれません。



今回は12月の段階で裁定買残も頭打ちになり、他の指標も日証金の信用残も高い水準にありました。もしかしたら本バブルが崩壊するときにあった、先物やデリバティブでポジションを建て、その後現物を放出というミニチュア版があったのかな?とも想像しますが、自己売買部門も持ち高は各社膨大だと思いますので、当然のことながら受身的に先物にヘッジ売りを出し、裁定解消売りやプログラム効果で拍車がかかったのかな?なんて思ったりもします。また先日の東証データでも、自己勘定で出て来る数字の中にも顧客のポジションが混ざっている事もあると詳しい方に教えていただいた事があります。



いずれにせよ、自己売買部門の行動パターンなども個人投資家や外部からは謎が多いので、事情通の方が幸田まいんサン風に”実録 自己売買部門”的小説を書かれたりするのを密かに期待しています。(小鬼センセイ如何でしょうか?)



では、日々のコラム楽しみにしております。



追伸 レストルーム♀を利用してます(^^) ずっと前に、2ちゃんねるでネカマってかかれた事があります。ネカマ??謎の言葉でしたがネットオカマの事でした(笑)
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驚愕の舞台裏 (【uz】)
2006-02-04 11:38:10
はじめまして。

willwinさんのblog「株は世につれ」からやってきました。

「東証手口非公表はやっぱり問題だろうって 」の記事もあわせて読ませていただきました。



「個人の狼狽売り」と決め付けられていたことの舞台裏を知って驚きました。



投資経験は浅く、まだまだ勉強が足りませんがあなたのような内側からの視点での記事を拝見して踊らされないように、賢く立ち回りたいと考えています。



勝手ながらトラックバックもさせていただきました。

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Unknown ()
2006-02-06 08:17:22
はじめまして。

2ちゃんねるから流れて来ました。



1月16日の週の個人買い越し額の件ですが、

私の資料によれば5296億円でした。

小鬼様の資料とは少し違いますが、そこはご愛嬌。



この週の個人の買い越し状況をもう少し詰めてみると、

過去2番目の金額だそうです。

では、過去最高は?

なんと!

87年。バブル前夜のブラックマンデーの週だそうです。



この時の暴落でも個人が買い捲り、その筋の人達が狼狽売りをしているようです。

そしてここからバブルが始まった・・・



引かされた玄人筋が時間をかけて買い直し、

個人も提灯買いを行い、買いが買いを呼びバブルへと。



さて、歴史は繰り返すのでしょうか(笑)



それにしても、地球の裏側におられることを感じさせない素晴らしいブログですね。

お気に入りに追加させていただきました。ペコリ
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Unknown (小鬼)
2006-02-10 08:31:28
アマポーラさま

こちらこそ本当に有難うございました!ほんと良く勉強されていらっしゃいますよね。実はアマポーラ様が本当は幸田さんなんじゃないか?って思っちゃうほどです。

自己売買部門も正式に在籍した事が無いのでなんとも手探り状態なのですが、それにしてもこれだけ盛り上がってきますと、やっぱりその実情、それも例えば世間から大いに誤解を受けている部分なんかをきっちり訂正がてら皆さんにご紹介しないと!って思いますよね。

私は暴露的なモノは嫌いなのですが(どうしても自分の男の美学みなたいなモノにそぐわないのですね)、そうではなくてもっと客観的にみなさんに実情を見ていただきたいなぁ、と思っております。

頑張りますので、今後ともどうぞヨロシクお願い申し上げます!!





UZさま

貴BLOG拝見いたしました。拙BLOGのご紹介、有難うございました!

もしも本当に投資の経験が浅いのであれば、どうぞご自身で気付かれているように回りの意見に左右されてしまうような愚は犯さないように頑張ってください。

ご自身できちんと調べて、不明な部分は是非その会社のHPなり、場合によっては株主を語って会社に直接電話するなりってことをしてみて下さい。私もある銘柄を顧客から聞かれてそれをアナリストがカバーしていないときは、海外在住株主を語って、良く会社さんに直接電話して状況をうかがったりしています。これは決して恥ずべき行為でも何でもありません。それに対して応対が不親切であれば、例えば投資を見合わせたりとか。

どうか頑張ってくださいね!何かご不明の点でもございましたら何なりとお問い合わせくださいね!





鉄さま

コメント有難うございます!

おお、拙BLOGがどっか2ちゃんねるに載っているのですか?だとすれば興味があります(笑)。まあ2ちゃんだったら色々と叩かれているのかも知れませんが、それでも載らないより載ったほうがこっちも燃えますよね(笑)。

確かに歴史は繰り返す、これの応用がエリオット分析とかじゃ無いですか。エリオットもその道のプロに聞くとほんと説得力があって困ります(笑)。

彼によれば今年は大いなる行って来い、だそうで、11月のアメリカ中間選挙辺りが今年の底では無いかって言ってました。

こちらこそ拙BLOGのようなものをお気に入りに入れてくださって感謝感謝です。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!!
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Unknown (Unknown)
2006-02-11 09:47:30
>>総計で、売りが15兆3240億、買いが15兆2370億あって、差し引きで売りの方が870億円多かった。つまり売りが多かったから基本相場が下がったわけだ。



基本的な疑問として、売りと買いの金額が合わないことなんてあるのだろうか?合致しないと売買が成立しないと思うのだが。単なる誤差ではないのだろうか?

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