地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

初心者集まれ~外資規制論議?何を今さら・・・その2

2008-02-14 07:20:46 | 初心者集まれ!株を始めてみる?
今の政府は本当に言ってることとやってることがチグハグ過ぎる。
正直言ってこの記事を読んだら、呆れるのを通り越してもう無力感で一杯になってしまった。。
まずは記事の引用から。

~~~以下日経新聞の記事から引用~~~

英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)がJパワー(電源開発)株の買い増しを求めている問題で、経済産業省は当初、今月13日までとしていた審査期間を最長で5月中旬まで延ばすことを決めた。株式の購入目的などについてより詳しい説明を求め、TCIによる株買い増しが日本の安全保障を脅かすかどうかを検討する。
 Jパワーは国内の電力需要の1割弱を供給する電力卸の最大手。経産省は「外資系ファンドの影響力が過度に強まれば、不当な電力料金引き上げや外国企業への株式譲渡などにつながりかねない」などと懸念。TCIがJパワーの発電や送電事業などにどのようにかかわるつもりかをより詳しく審査することにした。
 TCIは1月にJパワーへの持ち株比率を現在の9.9%から20%へ高めたいと届け出た。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、外資が電力会社株を10%以上保有するには国への事前届け出が必要。経産省による審査期間は申請から原則30日だが、4カ月まで延長できる。
 TCIは配当増などを経営陣に積極的に提案する「モノ言う株主」として知られる。昨年も非常勤の社外取締役受け入れや役員賞与の支給凍結などを提案したが、Jパワーは「現時点で経営体制を見直す必要はない」として拒否した。

~~~以上引用終わり~~~

前回の私の記事では例の空港会社規制のことを書いた。
ダボス会議で首相がせっかく外からの投資を促進する、っておっしゃったのに空港会社に外資規制を掛けるのはどうなの云々かんぬん、と政府内で意見が分かれてるって奴ね。
私の結論は、外資からの投資に関してそんな程度のことに問題を矮小化しないで欲しい、って事だったけれど、いざ目の前に海外から投資をしたい、って要望がぶら下がっているのにこの有様である。

TCIと言えば少なくとも英国では知らない金融関係者は居ないってほどの一流投資会社である。彼らの投資に対する要求は極めて高く、どこの証券会社も間違いなく一目置いている先だ。
日本の今の論調を見る限り、きっとここから3ヶ月の間に渡って、あーだこーだ外資だハゲタカが来た安全保障に関わる会社に対して何でだやっぱりまずいからこの話は丁重にお断りしよう、マスコミやら知ったかぶりのエセ論者が偉そうにそう言った議論を展開するだろう事は目に見えている。

買ってもらったら良い、20%まで買ってもらって色々な要求をしてもらえば良い。
政府は空港会社、それも出来てみてしばらく経たないと果たして外人が本当に買いたいかどうかも分からない会社に対してあーだこーだ言う前に、まずはここでやってみてもらえば良いのだ。
相手の言うことがごもっともであれば、それに沿って会社が変われば良い。
この会社に関してはNTT法だの電波法だので網を掛けてなかったんでしょ?
英国のファンド、しかもThe Children’s Investmentだよ、一体どうやったら彼らが日本の安全保障を脅かそうって言うのだろう。
その程度で脅かされるような安全保障だったら、一体何のために我々の血税をどっさりアメリカに払ってんのさ?そんでもって沖縄であんな悲惨な事件が起こって、「遺憾の意を表明」ばっかりで一体日本政府は本当にどうしちゃったの?

経産省では例の事務次官の「お馬鹿」発言があって、いくら彼らが真剣に考えようともう足元が完全に見えてると思うんですが。

ここで前にも書いたけれど知り合いのエコノミスト、あの「行政KY不況」を提唱している人だけど、彼が同じメールでこう言ってる。
「株価反転のきっかけは、①企業が目を覚ますイベントが起こること ②政府が性根を入れ替えて税制改革を中心とした抜本的な構造改革を断行すること。
第一に中国の企業が日本を代表する企業を買収してしまうこと。中国のモロコシと麦の蒸留酒メーカーはキリンの時価総額の1.85倍、家電量販店でもヤマダ電機の時価総額の1.31倍の会社が中国に現れてきています。・・・」
要はそれくらいドラスティックなことが起こらないとこの国は目を覚まさないよね、と言うことだ。
今回はこれは中国の企業ではないけれど、ましてや恐らく買収の意図があるとは思えないけれど、こういう時にその国が如何に肝が据わっているかがアリアリと分かってしまうと思うんだよね。

これから役人さんたちがマスコミの力を借りながら密室で3ヶ月間あーだこーだやるよりも、「20%まで大いに買ってくれ、それがわが国の首相の投資に対するスタンスでもある。遠慮は要らない、その代わりその会社が強くなったらその株を再び日本へ売ってくれ、その時は我々は大いにプレミアムを付けて買い戻してやるよ。途中でクソくだらない行動に出たらその時はあんたのファンドがぶっつぶれるくらいの外交問題にしてやるから、君達も覚悟して買ってくれ」くらいの事を言ったらどうよ?
外資導入を促進したいのは結構、でも何も卑屈になる必要は無いし、もっと堂々と世界と対峙したらいい。心配のある業種にはきちんとした網を掛けておけばいい。
やることをきちんとやって、言う事をきちんと言う、それが出来れば何も首相がスイスのダボスくんだりの田舎まで行ってうわべを喋ってくるよりよっぽど効果があるよ、これは私の海外駐在17年の経験から断言できる。

初心者集まれ~外資規制論議?何を今さら・・・

2008-02-06 07:39:10 | 初心者集まれ!株を始めてみる?
今日知り合いから例の建築基準法に関するマニュアルってのを送ってもらって読んでいたのだが、その件はあらためて書く。
今日どうしても書いておきたいのは例の空港会社に対する外資規制の話である。

まずは以下の記事、Reuterニュースから。

[東京 5日 ロイター] 渡辺喜美金融・行政改革担当相は5日の閣議後の記者会見で、国土交通省が今国会へ提出を予定している空港整備法改正案をめぐり、空港会社への外資規制を導入する方向になっていることについて「金融担当相として反対だ」との見解をあらためて示した。渡辺担当相は、日本の金融・資本市場の国際競争力強化の流れに逆行すると指摘したうえで、5日の自民党の関係部会の結論をみたうえで、冬柴鉄三国土交通相との会談を申し入れる意向を示した。
(中略)
渡辺担当相は「安全保障の問題であれば資本規制をしなくても、とりうる手段はいくらでもある」としたうえで「他にとりうる手段があるにも関わらず、資本規制という、鎖国的・閉鎖的な手段をとるのは間違いだ」と指摘した。さらに「日本市場の競争力を強化して外国からの投資を促進しようと、首相を先頭にダボス会議にまで行ってきた。ダボス会議から帰ってきたらいきなり外資規制とは、日本がどちらの方向を向いているのか疑われる」と強調した。

~~~~~
私正直渡辺担当相って良く知りません。
さらに本件に関しては私自身は正直規制しようがしまいがどっちでも良くて、ただこの大臣が本気でこんなことを考えておっしゃっているのだとしたら、やっぱり日本の政治は終末が近い、と思った次第でありますね。
大いに議論されるのは良いことですが、この海外からの投資促進と言う話をこんな程度の話にすりかえられちゃっているのがまずは非常に悲しい。

大臣殿、首相がダボス会議で何を言ってこようが、さらにそれに力を得て大臣が何を発言されようが構いませんけれど、こと投資促進に関してこの空港会社の例を引き合いに出されるのはどうか、と。
ライブドア問題であれだけ世間が騒ぎ政府が騒ぎ何だか外資をハゲタカだなんだと揶揄してそんでもって国内企業は意味不明の買収防衛策を作って徹底的にハゲタカさん達を排斥したばかりじゃないですか?
この空港会社ごときにいきなりどうしたのでしょうね。
大体全く外資を入れない、って話じゃないし、恐らく外人持ち株制限をしよう、って話になると思うんですけどね、実際外人の持ち株制限してるじゃないですか、日本の一流企業の一部は。
どうしてこの手のことが同時に報道されないのかちょいと不思議なんですけど。

ANA、JAL、スカイマークはそれぞれ航空法で、またNTTはNTT法でそれぞれ外人の持ち株比率は3分の1まで。
さらに放送局(フジテレビとかテレビ朝日、テレビ東京他)とかは電波法放送法にて5分の1まで、それぞれ制限されてるわけですな。

諸外国でこういった空港だとか港だとかが民営化されてヒースロー空港がどっさり他国の会社に買われちゃった、みたいな事もあるので、私自身は、当然政府は慎重になるだろうし、国防上の理由って言われれば、それもそうだなぁ、って思う程度なのだけど、その反対の理由が「外人の投資促進を阻害する」なんて今さら笑止千万だと思うんだよね。
これだけマーケットが悲鳴をあげてる~ってみんなが叫び、さらに実際のマーケットの状態を考えたら、少しは分かりそうなものだと思うのだけれど、いまだに例えばサブプライムではご存知のように、わが国の金融機関のダメージは大したこと無い、みたいな事しか言えないんでしょ。そういう方々が突然この空港会社に関する話で2つに分かれて賛成、いや鎖国的で反対、なんて全く説得力が無くて、むしろその後ろに見え隠れする利権のようなものの分捕りあいでもしてんのかな?って思う今日この頃なのだ(ってちょっと有名BLOGの〆かた借用)。



初心者集まれ~一体今時のコンプライアンスって

2008-02-02 07:59:05 | 初心者集まれ!株を始めてみる?
ちょっとまた初心者コースと外れるかも知れないが、やっぱり不思議なのでここに書いておこうと思う。
いや、先日、弊社のエコノミストの試算によると昨年の建築基準法改正によってトータルGDPの約1%が失われた、って記事を書いた。
果たしてその実態と言うか実情ってのはどんなものなのか(偉そうなことを自分で書いていながら)どうもピンと来ないので、ここは後学のためにも恥を忍んで知り合いの建築家に聞いてみたのだね。
ちなみにこれから書くことに万が一間違った箇所があってもそれは知り合いのせいではなく、わたしの誤記憶もしくは勝手な解釈によるものなので、最初にお断りしておく。
また超ご多忙の折、快く色々と教えていただいてありがとうございました!!

さて以下が知り合いに教えてもらった内容である。

建物を建てることが決まった時点で役所へ建築許可申請を出すのだが、その際に提出する図面が(例えば)10ある。この申請は図面等に不備が無ければ21日以内に承認されて、建築のGOサインが出る。その間にもしも図面に不備なんかがあれば連絡があるので必要な修正を施し、またその間に軽微な修正が必要となった場合はそれも認められた。いずれにせよ約1ヶ月でGOサインとなる。
その書類が審査されている間に、承認後どのみち必要となる40の図面を仕上げ、GOサインと共に全てが動き出す、と言うのが昨年改正前までの簡単なプロシージャーだった。

しか~し、改正後は、21日が75日に延長され、さらに申請の段階でトータル50の図面の提出が求められ、また申請期間中(75日)の軽微な修正は一切認められず、さらに提出書類に不備があった場合には全て1からやり直しとなった。
極端に言えば、74日目に書類の不備を指摘された場合、また1から75日がやり直しとなる・・・
また、着工申請時に全ての図面が必要って事はどういうことかと言えば、壁の色から備え付ける予定の家具の色等まで提出する、と言うことであり、当然75日の間に施主が「やっぱり壁の色ですけどクリーム色じゃなくて、あの4畳半の部屋の南側の一面だけ白にして下さらない?」なんて事になったら、しかもそれが74日目にそんなリクエストが来たら、新法は「軽微な修正」を認めていないので、たった一箇所の壁の色を変えたい、と言うだけで、再度75日の修行に入らなければならないそうで・・・

つまり建物をこれから建てます!って許可に最低限2ヵ月半、下手すりゃその倍、3倍の時間が掛かる、と言うことだ。ようやくOKが出たときには季節は冬から暑い夏になっており、そうなりゃ当然施主だって気持ちも変わるわな、なんたって一生で一番でかい買い物なんだし。

知り合い曰く、一番大変なのは規模の大きいデベロッパーだろう、と。
確かに流れ作業的に進んでいた日常の業務の流れが突然変わり、しかも時間ばかり掛かり・・・
業界ではもっぱらこの改正を決めた役人のトップが現場を全く理解していない頭でっかち野郎だった、って事らしい。

さて、我々の業界にも似たような話は一杯ある。特に近年金融に対するコンプライアンスが非常に厳しくなっているので大変である。
海外では昔からこの「コンプライアンス」の概念ってのはあったし、でもわたしも若い頃は「何くらだねー事で騒ぐんだよ全く、やったもん勝ちの世界じゃねーかよここは」
とか思っていたけれど、気付いてみれば今コンプラに最も厳しいのは日本じゃないかなぁ、って思う。海外は基本線は昔と変わっていないと実感するんだけど、日本じゃわたしが居ない間にその部分だけが光速で進んじゃった感じがしてる。

この建築の話でもっとも笑えない部分が、要は数ある地元の役所が一番混乱しちゃってる、って事らしい。つまり彼らが質問に一切答えられないって事だ。
「これはどうなんですか?」「分からない」
「あれはこれで良いんですか?」「分からない」 
これはさらに上の組織からのきちんとした指導不足が原因と思われる。
ひとえに法律が改正されました、と言っても業界人にはそれは余りにも常軌を逸脱しているわけで、ゆえに地元の役所に質問が殺到するわけだけど、役所もその上の役所の意図がはっきりせず、そしてその役所のまた上の意図がはっきりせず・・・よって地元の、役所ピラミッドの底辺をなす小役人さんたちは大きな責任を回避したいがために結局「分かりません」って事になるわけだ。

我々の業界でも、「これに関してはどうなんですか?」という質問が殺到した場合、協会はとりあえず「じゃあこういう感じで」、と言う対応にまずはなるようだ。それで各社は「そうかそうか」って事である程度その件に関しては普通に回っていたのが、ある時の検査でどこかが「いや、協会がこういう感じで、と言ったので」と対応した場合、今度は当局がそれに激怒して、結局各社が急な対応を迫られる。場合によっては当該業務を一旦停止することもある、って感じの流れになっているようだ、日本では。

結局現在のコンプライアンス体制って、みんなとりあえず同じように歩くけれど運悪く誰かが地雷を踏んで、そしてその地雷の爆発によってその件に関する線引きがようやくキレイに決まる、という気がする。
確かに法令なんて解釈の問題の部分が大きいんだろうからある程度はそういうことは仕方が無いのかも知れないけれど、でも解釈自体に大きな振幅があるとすれば、それは振幅の周波数の高い部分を取ろうが低い部分を取ろうが、私はどっちを取っても決めた人は文句を言えないよね、って思うんだけど。
そういう振幅が嫌なら決めるときにもっと精度を上げればいいだけジャン、と。

楕円形の400メートルトラックでのリレーのように、最初の走者からアンカーまでが全て同じコースを走らなければならないようにしたいのであれば、最初からそういうルールにしておくべきだと思うし、同じトラックでの長距離走のように1から8までのコース内であれば別に好きな所を走ってOK的なルールにおいては、例えば相手を妨害しなければジグザグで走ろうが、あえて自分だけ一番外側を走ろうが、後ろを向いて走ろうが、ケンケンしようが、それは良いと思うのだけけれど、どうもこの頃の規制ってのは、長距離走的なルールを決めて、でも実際ジグザグに走れば「それはルール違反」、一番外側をのんびり走ればそれは「やる気が無いなら退場せよ」、後ろ向きやらケンケンに至っては「ふざけるな」的なモノになっちゃってるんじゃないかなぁって気がする。
現在の建築業界においては、
「後ろ向き走りはありですか?」「分からない」
「一番外側を走っても良いですか?」「分からない」

いやもっとひどいかも知れないね。
「メガネを掛けて走っても良いですか?」「分からない」
「相手と手と手が接触しても良いですか」
「息しても良いですか・・・」
そんな質問にもろくに答えられないような法改正をしてしまった、って事だろうな。だとすりゃほんと木村剛さんのおっしゃるように現代はまさしく「コンプライアンス不況」であって、わたしの知り合いのエコノミストが言うように「行政KY不況」だわなぁ、トホホ。

~~~
ちなみに建築基準法はスタート時よりは多少緩和措置が出始め、さらに75日もその半分程度でどうにかなるだろう、といわれ始めているそうですが、でもでもまだまだこの余波は続くようです。
ああ、GOOD LUCK!!としか言いようが無いなぁ。
こんな漫画にもならないようなベタな展開、本末転倒な展開、そんなことを真剣にやっちゃってやった気になってる政府の今のあり方を考えるにつけ、やっぱりお先真っ暗な気分になってしまうのだね。

ああ、あらためて、頑張れ日本!
と叫んでおこうぞ。