再びアクセス数が上昇して来て、これは皆様方のご尽力のお陰であり、大変感謝いたします、有難うございます!
にも関わらず私自身が記事のアップを怠けてどうする、と。すみません、昨日は久々の深酒@結構仕事絡んでる、でございまして、ようやく復活してきた所です(と言っても時刻はもう夕方6時でございますが・・トホホ)。
その辺の経緯は
拙さるさる日記にて後で書かせて頂きます。
さて、金曜日にさる業界系記者の方と電話で長話をさせて頂いたのだが、その記者氏「ダイナシティがMPOを買入消却したと同時に第三者割り当て新株発行を決めたんですけど・・」と。
会社のトップが先日麻薬絡みで逮捕されたのはみなさんご存知の通りであるが、私はこの段階で、この会社に何があろうと関わっては駄目だな、と思っていたので、記者氏にも「関わらなくて良いんじゃない?」と。記者氏ご自身は結構この会社の中味は良いので、こんな変な資本政策は残念です、と。
この会社のMPO、55億は、3月に発行されて、10月10日以降、年に2回のペースで転換価格が修正され、その際の修正幅は95%、上下限は120-80%となっており、当初転換価格は41000円となっている。
しかしその後の社長の逮捕等による株価の低迷、またダイリューション懸念により、恐らくこのCBの転換は進んでいないようである。
今回ダイナシティはこのCBの20億分を100にて買入消却し、同時に新株を27600円で約30億円分発行した。割当先はCBを引き受けた外資系ファンド2社である。
このミッションは誰もが想像出来るように、ダイナシティが割当先ファンドのために転換を肩代わりした、としか思えない。
つまり形を変えた行使価格の大幅修正であり、なんだかなぁ、と思うわけである。
もちろんダイリューションは10億余計なだけだけれど、全く何でもありかよ、って感じですなぁ。
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さて、ご質問がたくさん来るとそれだけ書く意欲も増してくる。
ここでお三方から頂いたご質問に対して分かる範囲でお答えしようと思うので、皆様も考えていただいて、知識の増強の一助にしていただければ幸甚です。
<質問1>
『株価を動かしているのは誰?みたいな疑問です。デイトレなどをしていると僕はどんな人と戦っているのだろうと思ってしまうのです。機関投資家やディーラー等どんな人がどんな手口で取引しているのでしょうか。(ピト様)』
果たしてこの魑魅魍魎の株式の世界、株価を動かしているのは。。
何度か申し上げているかも知れないが、ここまでネットが発達して個人投資家が気軽にネット系証券会社を通じてかなり安い手数料にて市場に参加出来るようになったことは、当然市場に厚みが増すわけで、これは市場関係者としては喜ぶべきことであるが、同時に機関投資家なんかはやりにくくなったと考えてると思う。
それまでは国内系機関投資家は外人動向に細心の注意を払っていた訳だが、ここへ来て個人投資家動向も非常に気になる存在になってきた訳である。
とにかく見えない、さっきまでガンガン買っていたのに急にガンガン売る、常識的には買われるべき話が出ても彼らは反対を行く・・・等枚挙にいとまが無い。
一般的には我々は「投資主体別売買動向」と言うのを見て、ほう今月は個人はこれだけ売ったのか、事業法人は相変わらず動きが鈍いなぁ、って感じでそれを頭にインプットする。
ご存知かも知れないけれど、「GCオプティキャスト」ってHPの
ここ~投資主体別売買動向なんかは分かりやすいと思います。
投資主体を見るときの一般的な分類はそのページにあるように、
「自己、個人、生保・損保、長銀・都銀・地銀、信託銀行、銀行、その他金融、投資信託、外人、事業法人、その他法人」と分けられる。
最初の自己、と言うのは証券会社の自己売買部門のことである。
つまりこれらで分類された各主体がそれぞれと戦っている、とでも言えばよいだろうか。
但し、ネット証券が台頭してくる以前から、個人の売買動向は当然重要ではありましたので、念のため。ゆえに投資主体・・は各社かならず「個人」を前の方に持ってきてます。
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<質問2>
『ライブMに関して1つ質問させて下さい。転換は終了したのですが,引け受け先の日興とライブドアは,まだ売却していないようです。これから先,株価が下がると日興とライブドアにとって損失要因となるので,これから先の売却には細心の注意を払ってくると思います。そのため,転換終了は株価にプラスだと思っています。この予想は一般論として的外れでしょうか?(LD株主様)』
ライブドアマーケティング(旧バリュークリックジャパン)に関するMPOの話題は私も過去に書いた。それは
ここですな。
私もその後の株価は余り追っておらずすみません・・ただこの転換終了のニュースは私もチェックしたし、冒頭の記者氏ともこの話題をちょいと話をした。
さて、MPOが発行された時の株価下落要因と言われるダイリューション、つまり株式の希薄化、であるが、これが何故株価下落要因になるのかはもう何度も述べているとおりの理論的なモノであるが、しかしMPO発行の翌日からこの潜在株式が実際に市場に出て来るわけではなく、また主幹事も当然株価を崩壊させるような売り方はまずして来ないので、では何故翌日下がるかと言えば、その「恐れ」を株価に織り込みに行っている、と我々は一般的に考えている。
つまりいつそれら潜在株式が出てくるか分からないが、それらが実現した時に慌てることが無いように、株価が動く、と考えるわけだ。
この考え方は一種「材料出尽くし」と表現されるようなイメージであろうか。
つまりある会社なり相場全体でも良いけれど、とっても良いニュースが実際にアナウンスされた日に株価が下がる、って現象であるね。それまでマーケットではその良い話が噂されており、ゆえにそれを株価が織り込みつつ上昇して来たような典型的なケースにてその「材料出尽くし」による下落ってのが観測されるけど、そういうことだ。
さて、LD株主様がおっしゃることは私も正解だと思う。つまり懸念されていた転換が終わったと言うことは、実際に世の中に潜在株が全て現実の株券として生まれてきた、と言うことであるので、その転換された株を例え主幹事がまだ持っていようとも、既にそれは世間できちんと認知され、総株数が確定したわけだから、もう「潜在株」と言うわけの分からない亡霊に脅かされることは無い。
おっしゃる通り後は主幹事の売り方にもよるだろうが、あるいは既に彼らは借株にて売却しているかも知れないし、仮にそのケースの場合は後は持っている株はその返却に回されるだけだし。
つまり結論としてLD株主様の考え方は正しい。的外れでも何でも無い。
但し、今後の株価についての責任は持てませんので、その辺はご了承下さい(笑)。
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<質問3>
さて3番目のご質問は、先日リンクさせていただいた、
ダントツ投資研究所の夕凪所長様からである。
『「貸し株市場」というものはどんな存在なのでしょうか。また、この貸し株を利用した「信用売り」は市場を通して行われていると思うのですが、どこかの指標として現れる可能性はありますでしょうか。
つい1ヶ月前に JR東海の公募販売がありました。海外にも売却されたかと思います。この時に公募1-2日前に異様な値下がりが発生しましたが、これは主幹事や誰かが値段をコントロールするようなことはあり得るのでしょうか。』
この貸し株市場、実は外部からは非常に分かりにくいと思われる。
いわゆる日証金経由の借り株貸し株、つまり信用取引に基づく貸し借りってのデータと言うのはここに当然ながら乗ってくる。
例えば個人の信用取引と言うのも、要は証券会社がこの日証金から株を借りてきてそれを個人へ又貸しするような格好で行われて居るわけだ。
しかしながら我々法人系に居る人間にとってのこの市場はこれとはちょいと異なる。
各社(証券会社やヘッジファンドやその他もろもろの会社たち)が相対による契約を双方で結んで、株の貸し借りを行う市場の事を我々は一般に「貸し株市場(あるいは借株市場)」と呼んでいる。
相対であるが故に、何かのデータによってそれらを追っかけられるかと言えば、多分それは出来ないと思われる。(冒頭記者氏仲間に詳しい方が居るそうなので、来週にでもきちんと聞きますが)
この行ってみれば「裏貸し株市場」にては当然各証券会社の外部投資家とのアクセスがその勝敗を喫する。
確固たる統計は無いが、マーケットにて最強と言われている証券会社は、外資系のGS、MS、ML、その辺りであろうか。それにバークレーズ辺りが次点で続く。
アメリカには巨大なファンドがいくつも存在し、例えばカリフォルニア州年金だの軍人退職者年金だの何だのカンダの、さらにアメリカの大手企業なんかもきちんと投資をしており、その中には日本株もどっさり入っている訳だ。
つまりその辺に太いパイプを持つ米系証券は、ほぼどんな銘柄でも借りられる、と言われている。
何か巨大な年金→GS等の証券→ヘッジファンドやら投資家
と言う形で株が貸借される。
さらにこの一種の発展系がいわゆる「プライムブローカレージ業務(Prime Brokerage)」と呼ばれるもので、ヘッジファンドはご存知の通りそのレバレッジを使って巨大なお金を動かす訳であるが、この辺の面倒をまとめて見ましょう、と言うのがそれである。
借株の手配から、その借株を売った代金を保管し、またそれを使うときにはそこからお金を出し入れして・・・みたいなサービスを行っている。同時にヘッジファンドの名前もこのプライムブローカーが隠してしまう格好になる。何故なら株を借りる窓口も株を買う窓口もさらには買った株を保管する窓口も全てこのプライムブローカー行っている訳だから。
良く四季報等の大株主にこれら外資系証券会社の名前+何たら・・って載っているのは、実際はその証券会社では無くてその裏のファンド系だと思って良いだろう。
このプライムブローカレージ業務、お金の面では国内系証券も可能だけれど、この借株の面での力不足が否めないので、私がロンドンに居たとき、隣の部署で頑張っていたけれどさしたる成果は出ていなかったように記憶している。
何かファイナンスの噂がマーケットに流れると、各社借株デスクに突然その銘柄を持ってないか、と言う問い合わせが殺到する。今時のMPOに関してはその参加者は当初から全て決まっているので、ただそれに乗じて空売りを仕掛けよう、なんて連中はやはり繋がりのある借株デスクに打診はしているだろうね。
そういった声を集めてまとめているのが、例えば冒頭の記者氏の属する会社であり、それらの情報は故に残念ながら極めて限定された所へしか行かない。
これがソニーだ日立だって銘柄ならば、いつなんどきでも貸すべき株なんてジャブジャブあるけれど、こと小型銘柄に関してはその証券会社の裏の借り先の豊富さによる。
私もいくつか借株デスクの人とは知り合いなので、たまにその動向を聞いているけれど、実際の数字やらはなかなか教えてもらえないのである。
ゆえに、これは夕凪所長様が頑張っても、恐らくきちんとしたデータは取れないと思われます・・・残念っん。
さて次なるご質問である。
私は実はつぶさに見ていないのであるが、仮にその株価の下落がオフィシャルな公表前だとしたら、それはインサイダーの疑いがある。
一般的に、ある銘柄に関するファイナンスにおいて、その主幹事が値段等をコントロールすると言うことはありません。昔は価格安定操作期間、みたいのがあって、ファイナンスが発表されてから無事に払い込みが終了する期間中はそういうのが設定されることがあった。
しかしこれも、その期間中に変な売りだとか買いがあった場合に、主幹事がそれに向かいましょう、と言うもので、主幹事の意図的な価格操作とは全然違う。
現在もたまにあると思うけれど、また新規公開株において「冷やし玉」なんてのもその変形である。余り過度に買い注文が殺到し値段が付かない場合などに、主幹事があらかじめある程度持っている株をその買いにぶつけて、熱気を冷やして値段を付けよう、と言うものだ。
そう言った意味での主幹事の価格コントロールがあるとは言えるが、例えば公募価格をもっと上げるために主幹事がガンガン買う、あるいは転換価格を下げさせるために売る、といった行為はこれは罰せられます。
ただぶっちゃけ、そういう不穏な動きってのはたまに見られます。
ある会社がCB発行を決議して公表した、しかし株価はその2-3日前から突然下がっている・・・と言ったケース。。
これは主幹事の何処からか情報が漏れて、それをキャッチした投資家なり集団なりが仕掛けたもの、って感じの解釈が妥当だと思われるけれど、主幹事自身がそれをすると言うのは現代では無いと考えて良いでしょう。
我々市場参加者が東証に「手口の公表」を折に触れて求めているのは、その辺の透明度を増すためなのですな。
手口非公表は本当に愚策だと思っております。
とりあえず今日はここまで。
さらなるご質問、お待ち申し上げております!