![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/4d/d357b88e763a5c85e218a3564e58935e.jpg)
さて、私の本作の映画鑑賞の決めは、愛と喪失がテーマーというよりも監督がファッション・デザイナーのトム・フォードである一点です。ブランドの地位は確立されながらも、なんだか一昔前の看板になり下り坂をおりつつあったグッチを革新的に復活させて、デザイナーとしての名前と実力を世界に知らしめたトム・フォード。男性には、アフガニスタンのハーミド・カルザイ議長を「世界一シックな男」と批評したデザイナーと言った方がわかりやすいかもしれません。映画には、このトム・フォードの美意識がすみずみまで行きわたっています。衣装は勿論、主人公のジョージがパートナーと暮らすガラス張りの家、車、音楽と60年代を忠実に再現しながらも、今や失われた当時のセンスを美しく表現しています。ほとんど趣味の世界のように純粋で美しい景色のおかげで、女性からすると、生々しくともすると嫌悪感を伴う可能性のあるゲイという恋愛形態もうまく融和されていきます。経済的な裕福さと知性があって描ける美しさには、風景や自然な美しさとは別の、モノをつくる人の芸術性といった力量も問われます。
「美しいということもひとつの才能だ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/db/179cf9d2342d7ee43f195e2e6870d6f5.jpg)
さて、そんなトム・フォードの美意識にカラダをはって?こたえた俳優陣も、ナイスでした。
主人公のジョージを演じたコリン・ファースは、名作『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』で歴史学の教授を演じたロバート・バートンを彷彿させます。3流大学の文学の教授という人生へのけだるさを感じさせ、愛するパートナーを失った孤独感がただよい、コリン・ファースはまさにはまり役です。『真珠の耳飾りの少女』のフェルメールとは全く別人でした。パートナー役のマシュー・グード、ニコラス・ホルト、ジョン・コルタジャレナなど、トム・フォード好みの男性が次々と登場してそこにいるだけで目の保養になります。やはり美しいというだけで才能ですね。
監督・脚本・製作:トム・フォード
2009年米国製作
私のほうこそ、いつも樹衣子さんの豊かな感受性と冷静な知性が感じられる記事を楽しませていただいていますよ。
「美しいということも一つの才能だ」
は、まさに監督の人生哲学のようなもので、彼なりの美意識がそのまま形になったような映画でしたね。
ああ、真珠の首飾りの少女も、もう一度観たくなってきました。
この映画は私好みで、新宿まででかけた甲斐がありました。
>彼なりの美意識がそのまま形になったような映画でしたね
この映画の感想で、有閑マダムさまが「キレイではあるけれども、神経にさわる美しさ」と書いてらしたのが、気になっていました。
思うに、このカップルにはこどもがいません。
日本の雑誌でも、専門職でこどものいないカップルのお部屋紹介の記事や写真を見ますが、
本当に整然と整っています。だから、というわけではないですが、どんなに愛してもこどものいないカップルだなと感じました。
それからスペインの俳優志望の青年が、「恋人はバスのようなもの。去ってもまたすぐ次のバスがくる」
というセリフがとても気に入りました♪
ジャージ姿のkimion20002000です(笑)
ドレッサーの綺麗にクリーニングされたYシャツも美意識ですね。
僕なんかは、ぐちゃぐちゃに放り込んでありますからねぇ。
あの場面は、けっこう印象に残りますよね。
ゲイの方は、美意識にたけ几帳面な方が多いのかなと思いました。
丁寧にたたんで整理してしまった方が、合理的ではありますがね。